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第11話

 「記念ね・・・」


代金を支払ってそのまま装備し店を出て、今度こそ依頼者に会う為に歩きながら先程の雑貨屋の主人を思い出す。

あの顔は記念というよりも上客を見つけて唾つけておこう的な感じだったな・・・


「・・・お約束イベントって、現実によくある事だからそういう名前があるってわけじゃないんだな」


割と賑やかな繁華街を抜けて何事もなく[宿の1階]に着いてしまって、しみじみとそう独り言をこぼしながら宿の敷居をまたいだ。


「いらっしゃ・・・おや、お帰りなさいませかな?」


「・・・どうもー」


宿に入るとちょうど主人がフロント周りの清掃をしていて、目が合った途端に茶目っ気のある常連さん勧誘活動。


「・・・もしかしたら今日もお世話になるかもしれませんけど、ココに泊まってるカロリア

という人に用があって来たんです」


「あぁ、もう依頼を受けてきたんですか・・・っと、ちょっと待って下さいね」


そう言って掃除道具を脇に片付けチラッと宿泊者名簿に目を通した主人。

やはりというか、こういった依頼者を訪ねて来る人が居る事には慣れている様ですんなりと見つけると私にそばのテーブルで待っているように言うとカウンター横の階段を上っていった。

訪ねた客に宿泊客の情報を全て漏らさない事に好感を持ちながら座って待っていると一人の女性が主人と一緒に降りてきた。

で、その女性の服装を見て全て理解した・・・イヤ、させられた。


「・・・まわりくどい。」


宿の主人に何かを頼んでから近づいてきたその女性、多分カロリアさんに向けてまず一言。


「は・・・?」


無論、女性は何の事かさっぱり分からずキョトンとした顔をしている。


「戻ったらケイナに言っておけ・・・まわりくどい、親衛隊に入る気はない、賊退治は手伝ってやる、私が倒したモンスターの褒賞金はありがたくいただく」


「・・・、・・・なるほど」


そう言ってキョトンとした顔から納得した顔になり私の向かいの席に座るその女性。

こちらに向ける顔は微妙に微笑を浮かべ、この状況を楽しんでいる様に見える。

ケイナと呼び捨てにしても顔色一つ変えない事から自分の立場もわきまえている様子。


「私がカロリアよ。で、・・・全てお見通しってわけ?」


目線がほぼ同じになってからそう言うカロリアさん。


「ケイです。コレで全てなんですか?」


「・・・いいえ、違うわ」


「では、ケイナの用事はコレで終わり・・・次に、私は合格ですか?」


「・・・・・・えぇ、その頭の回転の良さは文句無く合格ね。驚嘆きょうたんに値するわ」


そう言うとカロリアさんは暫く無言で私の顔を見た後、肩をすくめ少しはにかんでマイッタわといった表情だった。


「・・・解説が必要ですか?それとも裏へ回って軽くお手合わせでも?」


「いいえ、両方とも契約する事には問題ないわ。それだけ回転が良ければ多少の苦境は問題ないでしょう」


「お待たせしました」


ちょうどそこへ主人がお茶セットを運んできてテーブルに置く。

主人の、まるでそれが当たり前であるかのように洗練されたお茶のれ方に感心しているとこれまた当たり前のような優雅さで茶の香りを嗅ぎ一口含む目の前の女性に育ちの良さが垣間見えた。


「さて、・・・私個人的にはさっきの解説をお願いしたいのだけど、よろしいかしら?」


一息ついた後のこの言い回しに興味があります!的な雰囲気に理性的で直感をあまり信じない秘書タイプといった感想を持って苦笑した。


「・・・何か?」


「あ、いや何も・・・解説、どこから話しましょうか?」


「・・・そうね、まずはなぜ私がケイナの連れと?」


自分のリズムがあるらしく一呼吸置いてからの質問に先程受けた印象を濃くする。

こういうタイプはそのリズムをことごとく乱してやれば自分から崩れるが、リズムに乗られると物凄く強い・・・仲間であったり対等な立場であるのなら頼もしい味方だが敵になると多少厄介やっかいだ。


「それはカロリアさんの服装ですね。ケイナとケイナの連れが鎧の下にほぼ同じ服を着ていました、皆が同じ服を着ているという事は同じ組織に属しているという事とほぼ同義です。それに同じ服同じ組織と言ってもこの辺りでは全く見かけない服、だとするのならそれは地方ではなく中央から来たケイナ達と何等なんらかの関係性をうたぐっても不自然ではない・・・という事です」


「・・・なるほど」


カロリアさんが納得したように一つうなずいて、意見を言おうとしたのかまた少し間を取ろうとするのに気付いて先を制してみる。


ちなみに、まわりくどいと言ったのは前に親衛隊には入らないと断った私をもう一度勧誘する為にかは分かりませんがわざわざギルドに私が受諾しそうな依頼をして、同行期間の延長を図ったから。賊退治は元々ギルドから勧められてまぁ出会ったらヤるかな位には思ってたから、私が倒したモンスターの褒賞金についてはココから王都まで4日程でランク制限がB以上なのに報酬が50エルは高すぎる、ならば何かあると思うのが当然、元手も必要だけどケイナと居た時に倒したモンスターの証明部位をちゃんと獲っていたのを思い出してコレが元手かと推測したわけですよ」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


無言で少しだけ複雑そうな顔をしているカロリアさんと、それを観察する私。


バァァァーーーン!!!


それにカロリアさんがリアクションを返そうとしたのだろう口を開いた時。

いきなりの大音響はこの宿の入り口ドアから発せられたもの。

ビクッとして視線をドアに向けたカロリアさんに習って振り返るとそこに居たのはパニック状態と言えそうな程取り乱したクフトだった。

カロリアさんは入り口に向かって座っておりちょうど柱の影で外が見えなかったので多少驚いたのであろうが、私は窓からチラリとギルド方向から走ってくる人を視界の隅で見ていたので入り口に背を見せていても驚く事はなかった。

そしてはたから見ると奇妙な静寂に包まれたその空間を、一人の男が台無しにしてくれたに対してなのか、カロリアさんがスッと立ち上がってクフトの元へ歩いていく。

その姿には一分の隙も無く、尚且つ内からにじみ出てくるかの様なその怒りのオーラはこの宿の1階をおおい尽くさんばかりだった。


「・・・クフト、修理代はあなたの分け前から出しておくから」


そう言ってカロリアさんは怒りオーラ全開でクフトの前に腕を組んで立ちクフトを睨みつける。

まるでドラゴンの巣に何も考えないで突入し母親ドラゴンの怒りを買った大バカ冒険者の様だったとは宿の主人の後日談。

クフトはクフトで、まるでここまで全力疾走でもしてきたかのように息を切らせていたがこの一言でハッと我に返ったのかドアを見て固まっている。

そこには上側の蝶番ちょうつがいが取れ、め込みガラスが粉々(こなごな)になって壊れたドア、それにドア脇の壁にも真新しいドアの取っ手の形をしたへこみがあった。

ドアの壊れ具合を見るに腐っても親衛隊、という事なのか・・・


「この様なドアぐらいいくらでも・・・ってそれどころではない!カロリア!ひめっいやケイナは何処いずこもといどこにおる!?」


明らかなお金持ちの見下し発言に宿の主人も閉口させつつ、自分がココに来た目的を思い出しまた慌て始めるクフト。


「2階に居るのか!?どこかに出かけていらいるのか!!?」


「少し落ち着きなさいクフト」


カロリアさんとクフトの痴態を眺めつつ、放っておけば上に居るケイナが降りてきて黙らせるだろうと独り我関せずを貫いて少し冷めたお茶を飲む。


「・・・何の騒ぎだっ!!!」


やはりというか、ちょっとして自分の部屋から出てきたケイナをチラリと横目に見て、まだ我関せずを貫く。

面倒・・・この言葉が私の心の半分近くを占め、残りの大部分はこの後の展開を見世物として楽しむ事にしたから。

で、クフトはケイナの剣幕に驚いてちょっと放心気味。


「あ、・・・えっと、」


「またいつもの様にクフトが馬鹿をしただけです。すみません主人、ちゃんと修理代払わせますので」


ぅわっ・・・カロリアさん超毒舌って、いつもの事なのかクフト・・・。

そこにすかさず口を挟むカロリアさん、・・・やっぱり秘書タイプなんだろうなぁ。

宿の主人はカロリアさんの言を聞いて一つ頷き了承。

もしかしたらコレが初めてではなのかもしれない・・・


「またか・・・クフト!何度言えば分かるんだっ!」


「いいぇや、ひケイナ、今度ばかりは緊急度Zでだ!」


「・・・何その緊急度って」


おぉー、カロリアさんツッコミきびしー・・・。


「・・・あの!あのケイとかいう男の事をギルドで聞いてきたのんだが」


「のんだが・・・何語でしょう?」


「うるさいカロリア!」


おーおぉー・・・


「・・・クフト、落ち着いて、ゆっくり、喋りなさい。はい、深呼吸ー?」


うわーケイナまで・・・ぅん、弄られキャラ決定だな。


「ハ・ハイ!・・・スーハースーハー」


「はい、ケイがギルドでどうしたって?」


そういった一連の出来事を近くに寄ってきた宿の主人と苦笑しながら眺めていたのだが・・・


「ハ、あの男支部では登録できず王都に行く事になったとかっ!」


「・・・声が大きい」


ボソッと突っ込みを入れつつこちらの様子を見るカロリアさんの視線を感じながら宿の主人の驚いた顔を見つめて苦笑する私。

ていうか、クフトのバカはまだ私に気付いていないのだろうか・・・

気付いていないんだろうなぁ・・・背中向けてるし。


「ん?あぁーっ!!」


周りに宿の主人とか他の人が居る事にも気付いていないのかも・・・と思い椅子の音をたてながら振り返ってクフトを見てみると、その音で今更に気付いたのかギョッとした顔をして私や宿の主人を見るクフト。

ん、気付いてなかったね確実に・・・


「・・・よぉ」


「あ、クフト。王都までの護衛に彼雇ったから」


「おやおや、ナンバーズ入りと初仕事おめでとうございます」


「どうもー、・・・で、ケイナ明日出発でしょ?私の部屋は?」


「あ、うん・・・クフトと相部屋オッケー?」


ケイナの言に宿の主人の祝詞しゅくしを受けて、返礼して、必要な事をケイナに聞いている最中、面白い様に固まっていたクフトをチラリと見て宿の主人に向き直る。


「主人、部屋空いてるか?あんな奴と同じ部屋自腹切ってでも嫌だから」


「はい、昨日のお部屋が空いております」


「じゃぁそこで」


「毎度ありがとうございます」


「明日1つ時(午前8時)ココ集合ねー」


ブチッと切れて私に襲いかかろうとしカロリアさんに抑え込まれケイナに拳骨を貰ってるクフトを尻目に主人から鍵を受け取って、ケイナの指示を手の平で受けながら自分の部屋に上がっていった。

ん〜始めの方で書いたとおり、思いつきで始めたツケが・・・上手く書けないorz

更新速度・・・あぁorz

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