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72、破られる平穏

 ここの所平穏が心地よい。

 そう俺は思いつつその日はゆっくり過ごしていた。

 何しろ昨日は大変だったのだ。


「ギルドでのイベントでフリーマーケットをやることになったから、いろいろと寿也や百合と相談して日本食で使うような調味料を話し合って、それから寿也に呼び出してもらって売ることになったものな」


 フリーマーケットなので、何を売ろうかといった話になり、最終的に食品がいいだろうといった話になったのだ。

 寿也は嬉々としてカップラーメンを量産し始め、幼女のライカもそれに一緒になって運んだりしていたので俺と百合で何を売るか決めることに。

 百合がう~んと唸ってから、


「調味料だと、醤油と味噌だよね。味噌はどんな味噌がいいだろう?」

「何種類か味噌も用意してみるか。醤油も種類があったしどういったものがいいだろうな」

「味噌は白味噌と、普通のお味噌の二種類にして醤油は、濃い口と薄口の二種類でどうかな」

「……たくさんあると選択しにくいしな。初めは少なめにして様子を見よう。じゃそれはいいとして、調味料の使い方も教えないと分かりにくいよな。どんな風に紹介しようか」

「ほかに売りたいものと合わせるのがいいかな。味噌は……ネギ味噌か何かにする? それともみそ炒めを作って少しずつ味を見てもらう?」

「味噌は見そのまま味を見てもらった方がいいと思ったが、どう使うか紹介するのにはその方がいいか。野菜炒めにしてもいいしスープにしてもいい。じゃあ大量のそういった試食できるものを作って……醤油はどうしようか」


 次に醤油はどう扱おうかといった話を百合にする。

 そうしていくうちに、売り出すものと一緒に味見をしてもらおうといった話に。

 納豆などは癖が強いので今回はやめて、


「やっぱり豆腐、か。癖がなくそのまま醤油をかけて食べてもいいし調理をしてもいい。薬味の類はこの世界にあるかが気になるが、そのあたりはクレアに聞いてみようか」

「豆腐に醤油は美味しいよね。お味噌汁にもいいし……あ、揚げ出し豆腐も美味しいよね」

「そうやって聞いていくとお腹が空いてくるのはなんでだろうな」

「そうだね~」


 といった話になり、次の日のフリーマーケットでの試食も兼ねてその日の夜は料理を作って並べた。

 大目に料理を作って好評なものを試食に出すことに。

 結果は、どれも良好で、問題が代わりに生まれてしまう。


 つまりどれも美味しいらしい。

 おかげで全部を少量ずつ味見してもらうことになった。

 他にも日本酒の類は出せるのかと寿也に聞くと、


「料理に使ったものなら出せるかもしれない。もともとアルコールの入ったお菓子で酔うからあまり知らないんだ」


 といった話を寿也としつつ、スマホをつないで、出てきたお酒の名前を全部いっていく。

 幾つも読んでいくと二種類ほど取り出せたので、それをクレアの父に味見してもらい太鼓判を押してもらったりした。

 そしてフリーマーケットではそれらの試食は好評で、全てが速いうちに売り切れてしまった。


 今度はお惣菜を作って売ってもいいかもしれない、などと俺たちが話しているとそこで、


「たのも~!」


 そんな男の声が屋敷の外から聞こえたのだった。

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