68、帰る
タケノコの天ぷらなどは、好評のようだった。
俺たちの世界の醤油や味噌……今回は白味噌を使ったが、感触は良好だった。
今のところはうまくいっている。
正確には、うまくいった、だが。
とりあえず後はアイスクリームのみだ。
そう思っているとそこでサラが、
「このタケノコの天ぷらというものはサクサクして美味しいですが、他にも色々使えそうですね」
「ええ、俺たちの世界では、肉やら野菜やら、いろいろなものをこうしてあげて、塩以外にも甘辛いたれにつけたりなどして食べたりしています」
「なるほど。所でお変わりもいただけますか?」
お代わりをさらい所望されると同時に、クレアも欲しいという。
だからお変わりの天ぷらを出しておく。
その間にお皿にアイスクリームを百合が乗せていく。
アイスは謎の幼女も興味をもったらしく、欲しそうにこちらを見るので彼女の分も百合は用意してくれた。
そしててんぷらを食べ終えたクレアとサラにアイスを食べてもらう。と、
「うん、美味しいです。この果実はミルクと合いますね」
「甘いものは別腹と言いますしね。美味しいです」
と言って食べていく。
今のところすべて好評だがどうだろうか。
そう思って俺が様子見しているとそこで、料理人が立ち上がった。
「それで、どちらの方が旨い」
震える声で聞いているあたり、自分たちが負けると確信しているのかもしれない。
だが勝負は勝負。
俺達にはもう挑んでこない、そういった約束だったはずなのだけれど……。
「許せない。ここで負けるなど……許せん」
そう言いだして二人の料理人はは武器を取り出した。
どうやら力づくで俺達を倒すつもりらしい。
そういえばと俺は思い出した。
「あの倒した料理人、グズダもそんな感じではあったが……勝てなければ力づくで、というのがお前たちの流儀なのか?」
「は! 勝てばいいのだよ、勝てばな!」
「……そうかそうか」
俺は疲れたようにつぶやいて、二人に向かって魔法を使おうとしたところで……サラが動いた。
再びどこからともなく箒を取り出して……俺が強化したもので、敵を倒してしまう。
一回はたいた程度でその料理人たちは気絶したようだった。そして、
「では後かたずけをして帰りましょうか。キノコもたくさん撮れましたし、今日はみんなでバーベキューもいいですね」
クレアがそんなことを言い出したのだけれど、俺としては、
「これだけ食べたのに?」
「少し運動をすれば大丈夫ですよ」
「そうですか」
俺はそうとしか答えられなかった。
女性に食事を聞くのはあまりよろしくないと聞いていたからだ。
そして俺は、道具類を全部元の場所に戻す……家を呼び出してそこに入れていく。
後はこの料理人たちだが、
「縛り上げて連れていくか。抵抗されると面倒だが、ここに放置すると魔物のえさになりかねない」
そう俺が言って、手分けして縛り上げて連れて帰ることに。
約束を守るといった概念のない人物たちだが、放置するには忍びない。
そんなこんなで俺たちは、帰ることになったのだった。
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