55、魔法の付加
こぶしを突き出した瞬間に炎の塊が飛び出していった。
そしてギルドの壁も壊れた。
どうするんだ俺。
弁償するしかない……そう俺が凍り付いていると、ギルドの受付の方から人が来た。
そして俺の方を見て怒ったように、
「室内で道具を使う人がいますか!?」
「す、すみません。普通にパンチを繰り出したら、勝手に炎が……」
俺が焦って言い訳をすると、受付の人がじっと俺がつけているメリケンサックを見て、
「……それは、強い力を秘めているというのにいまだ誰も起動させられなかったという道具です。……やはり異世界人は魔力が多いので、起動ができるのですね」
「そう、なのですか?」
「そうですよ! これはギルドの所長に連絡する事案です! ここで待っていてください!」
そう言ってギルドの受付の人は、そこから足早に去っていく。
何が起こっているんだと思っているとえらそうな男性がやってきて、
「君かね? その武器を起動できたというのは」
「は、はい」
「さっそく見せていただけないだろうか」
「でも壁を壊してしまいまして」
「だったら修理をするからその上の方に穴をあけていいよ」
などと言われてしまった。
だから俺はそれを使い炎を出して見せる。
壁がぶち破られているが気にせずもう一発。
がりんっ
やけに景気のいい音がして壁がさらに崩れる。
本当にこれでいいのかと思っているとギルドの所長が、
「うむ、ようやく使える者が現れるとはな。昔私が趣味で作ったが誰一人としてこれを起動できるものがいなかった。……ぜひ、これをもらってくれないだろうか?」
「よろしいのですか?」
「ああ。素晴らしい武器を作っても誰も使えないのであれば武器として意味がない……それを私は、これを作った時知ったのだ……」
といったようなギルドの所長の若かりし頃の色々な情熱話を聞きつつ、俺は、なんだかすごそうな武器……メリケンサックをもらう。
それから百合と寿也の武器を選んでから、そこで俺はあるものを思いついた。
「そういえば武器を強化する魔法をゲーム内で見たが、こういった剣につけるとどうなるんだろう」
「試しにかけてみるか?」
寿也が言うのを聞きながら俺は、後で元の状態にできるかを確認してから、と答える。
そして早速特殊能力で“選択画面”を呼び出してから、
「もとには戻せるみたいだ。そして前と後の武器性能を見る魔法もあるな」
「では早速つけよう。……俺は炎系がいい」
「あ、じゃあ私は矢……じゃなくて弓の方に付加してほしいかな」
そう俺は言われて魔法をふ化させていく。
その間、ギルドのその所長や職員、クレアやサラも興味津々と言っているようにそれらを見ている。
この世界にはこういった魔法はないのだろうかという疑問が俺の脳裏をかすめるが、かといってここで話を聞くよりも先に付加させて様子を見て、この世界の魔法の状況を聞こうと考える。
そして魔法を使い、俺は剣と弓に魔法を付加させた。
後はこの性能を見るだけだ……そう思いながら俺は“選択画面”の分析魔法を選んだのだった。
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