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44、ギルド

 結局クレアの父の増援は必要のない状態だった。

 そして、死人やら損害……は、損害の部分だけは道の補修がいくらか必要とのことだった。

 クレアの父はこの程度の損害なら問題ないと笑っていた。


 また、魔族の現れていた付近で、クレアが何かを見つけたらしい。

 手には青色の石が握られている。


「“魔族”の魔石。魔物などもこういったものを落とす生き物もいるのですが、“魔族”のものは特に強い力を持っていて、ものによっては国宝級の魔道具を作るのにもつかわれます。結構品質がいいものですね……」


 そういってクレアがそれを見てから、うめくようにつぶやく。

 どうやら、いいものであるらしい。

 そう俺は聞きながらそこで寿也や百合たちも集まって魔石を見ている。


 寿也がこれを見て、


「なるほど。ゲームに出てくる魔石などは、こんな感じなのか」

「そうだね。魔力のようなものも感じるし……ガラス玉みたいできれいな気がする」


 百合もそういってみているがそこでサラが、


「……異世界人の方々は、綺麗以外の感想は持たれないのですが?」

「? 私はそうですが、みんなはどう?」


 それに俺と寿也はただの綺麗な石程度にしか感じられないと返すとサラが信じられないというかのように、


「この巨大な魔力や力を感じ取れないのですか!?」

「そうなのですか?」

「……やはり異世界人はおかしい……冒険者ギルドで能力測定をしてみればその異常性が何かわかるのでしょうか?」


 そう呟いたサラ。

 新たに冒険者ギルドというものの名前を聞いた俺は、


「それに入るとどうなるのですか?」

「一度登録するとこの世界のどの冒険者ギルドの依頼がどこのギルドでも受けられるようになります」

「となるとここから出て行った時にも、稼ぐ手段が手に入ると。……“魔族”は現れましたが、その冒険者のためのギルドは開いていますか?」


 そうサラに聞くと、“魔族”は倒されたのでどこのお店も通常営業に戻りますよと俺は言われたのだった。









 こうしてクレアとサラに案内された俺たちは冒険者ギルドに向かった。

 石造りの建物で、看板には『ギルド』といったような名前が書かれている。

 中に入ると飲食できるスペースと、受付のようなものがある。

 

 まずはここの一階で俺たちの名前などを書くことに。

 異世界人ということを書けば住所等が必要ないらしい。

 ただ、後ろ盾……一時的にでもお世話になっている貴族の名前を書いておく方が信用はされやすいそうだ。


 そういった説明を聞いて俺たちは、クレアの家の名前を書きつつ、俺たちの名前などを記入して、ギルドの受付にもっていくことに。

 なんでも“魔族”が現れたせいで、現在このギルドはとてもすいているそうだ。

 冒険者たちは真っ先に逃げたらしい……。


 残った人たちも、先ほどクレアの父が連れてきた援軍の中にいたため、こちらにはまだ戻ってきていないそうだ。

 そういった話を聞いて測定室に向かってくださいと受付で言われた俺達は、興味本位もあってついてきたクレアとサラと一緒に、測定する上の階に向かったのだった。


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