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42、魔族との初戦闘

 こうして相手の能力を減少させつつ、こちらの能力表示を行った。

 できればこちらの能力値上昇といった付加の魔法も行いたかったが……それまでは持ちそうになかった。

 何故なら、それがようやく姿を現したからだ。


 それは黒いマネキンのようだった。

 人間の素体、そんな風なものを感じる。

 けれど目の部分は落ちくぼんでいて眼球はなく、かすかに花のような盛り上がりと唇のような線があるのみである。


 人間を模倣したが、人間ではない……一目でわかる醜悪さ。

 なぜこんな形をとっているのかはわからないが、これは声を発するわけでもなくそこに存在している。

 事前に俺の使っておいた魔法が功を奏しているようでその場からは動けないようだった。


 だが、ミシミシときしむ音が聞こえて、どの程度この拘束が持つのだろう……そう思ったところで耳障りな高い音が聞こえる。

 何かやるのだろうか?

 そう思って即座に防御系の魔法を使う。


 だが、この“魔族”の動きの方が速かった。


「くっ!」


 俺は呻くしかなかった。

 目の前の“魔族”の拘束されていない部分がどろりととろけたかの思うと線状に伸びた。

 それは鋭い刃のように、まっすぐに俺の近くに伸びて……上からたたき伏せる。


 じゅうといった、肉が焼けるような音がして、俺の数人ぐらい隣のところの石の床にそれは伸びて落ち込んだようだった。

 なん十センチも地面に食い込んでいるところを見ると、強力な斬撃だったのだろう。

 だがどうして逸れた?


 防御が間に合っていなかったが……そう俺が思っているとそこで、


「ふう。どうやら“魔族”は何らかの形で……“視覚”で認識しているのかも。運がよかったかな」

「百合……もしかして幻影を?」

「うん、事前にそういったことが起こるかもしれないと思って。今回の“魔族”が“視覚”に頼ってくれているのは助かるよ。魔法攻撃も多分“視覚”によって認識するだろうから……そのあたりも直前まで認識できないようにこちらで特殊能力チートを使うよ」

「わかった。よろしく」


 そう俺は返してまずは魔法攻撃を選択しようとしたところで、クレアとサラが炎系の魔法攻撃を食らわせている。

 球状の握りこぶし程度の火がいくつも“魔族”に打ち付けられる。

 けれど、魔族の頭に浮かんだ魔力のゲージはそれほど減らない。


 数値だけで比較すると魔力量に関しては俺たちの方がおおいが、この得体のしれない“魔族”という怪物にはどの程度攻撃の効果があるかわからない。

 魔法の威力、属性の影響なども不明だ。

 とりあえずは一通り攻撃をしてみてから……そう思っていると、寿也が、


「ということはここで攻撃範囲と、能力がどの程度制御できるのか、その実験もできるわけか」

「……確かにそうだな」


 そう俺が同意すると同時に、寿也が嗤った。

 捕らえている“魔族”の頭上に巨大な鋭い槍の形をした氷が現れる。

 大きさは俺の数倍程度。


 日の光にきらめくそれは、現れてすぐに魔族に向かって、重力に従うように落下していく。

 ガラスが砕け散るような大きな音がする。

 目に見える勢いで、“魔族”の体力が減少していく。

 

「氷系の魔法がきくのか」


 そういえば先ほど俺に向かって振り下ろされたあの鞭のようなあれは、地面に触れると熱したような音をたてていたと思いだす。

 熱系の攻撃かもしれない。

 だから氷系の魔法がきくのだろうか?


 瞬時にそれを考えつつ俺は、寿也の魔法だけでは倒せそうにないので、俺も追加の氷の魔法を選択したのだった。 

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