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35、審査

 こうしてお味噌汁が完成した。

 変わった食べ物ということでこの料理を選んだが、果たして、異世界人の下にあうのだろうか?

 とりあえずは味噌の濃度調整も兼ねて、クレアとサラに味見をしてもらうことに。


 この世界の現地の人間の味覚に適した形でふるまおうと思ったのだ。

 さて、味の方はどうだろうか。

 そう思っている俺たちの目の前で、二人が味噌汁を口にする。


「……」

「……」


 沈黙がいたい。

 これでインスタントのほうが美味しいと言われたらどうしようか、そう俺が悩んでいるとそこでクレアが、


「うん、こちらの方が味に深みがあっておいしいです。でもお魚や海藻など、海鮮の出汁で作られたスープなのですね」

「そうですね。俺たちの生まれ育った国は、周りが海で囲まれていますから、そういった所があるのかもしれません」


 そう俺が説明すると、なるほどと言いながらフォークで、ナスなどの具をクレアが食べている。

 馴染みのある野菜と同じ味で美味しいと喜んでいるのを確認しつつ、そこで俺はサラが何も言葉を発していないのに気付く。

 口に合わなかったのだろうかと思っているとそこで、


「ご馳走様でした。それで、お代わりはいただけますか」


 気づくと全てを食べてしまっていた。

 だが俺からすると、


「審査員の人たちにもっていってからでよろしいですか?」

「……そうですね。それに時間も審査に入りますから……仕方がありません」


 そう、サラは残念そうに言って、それから俺たちはそのお味噌汁を持って審査員たちの元に向かったのだった。











 初めて見たらしいこの味噌汁がどんなものかを聞かれたので、俺は一通り説明すると、


「海鮮の乾物の出汁といったところか。そして……“ミソ”?」


 そう不思議そうに聞かれた俺は、


「大豆……豆を使った発酵食品です」

「豆だけなのか?」

「今回使ったものはお米……を使っています」


 麹を繁殖させるのが米であるので、とりあえず米と言っておく。

 そういえばこの世界でコメがあるのだろうかと思ったが、なんでも南方のほうにそういったものがあるらしい。

 だがこの“ミソ”は知らないようだ。

 そこで別の審査員が、


「この“ミソ”には種類があるのかしら?」

「はい、他にも白味噌という、発光時間が短くてその分、米の量が多いものや、赤みそという豆だけで作るものなどがあります。白味噌は比較的甘目の味になります」

「そうなの。いろいろな種類があるのね。変わっていてこれは美味しいわ」


 そういって飲んでくれる審査員たち。

 一応は口にはあったらしい。

 そうして全員に飲んでもらってから次に、グズダが何やら料理を持ってくる。


 見た目は肉のスープであるらしいが、


「ふふふふ、食材の“黄色”の輝きを持つこの俺のスープの方が旨いに決まっている!」


 自信満々にそう言い切ったグズダだが審査員がそのスープを口にして一口で全員がやめてしまう。

 どうしたのだろうと思っているとそこで審査員が、


「……全部飲み干す理由もありませんね。圧倒的に、そちらの方々のスープの方が美味しい」

「私もそうです」

「自分も」


 そう、次々と言い出したのだった。


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