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30、立食カップラーメンパーティ

 こうして気づけばカップラーメンがクレアたちを救う“救世主”になっていそうだった。

 世の中不思議なこともあるものである。

 とはいえ、カップラーメンというものもいろいろな種類がある。


 だからつい、そうつぶやいてしまったのだ。


「カップラーメンの味付けもいろいろある。そのどれが一番、この世界の人の口に合うだろうか?」


 俺のそのつぶやきに、クレアとクレアの父、そして侍女のサラの三人が目を光らせた。

 俺、何か余計なことを言っただろうかと焦っているとそこでクレアが、


「それほどまでにほかの味がたくさんあると」

「そ、それはまあ」

「ぜひ、味を見たいです」

「そ、それは寿也に聞かないと」


 俺は慌ててカップラーメン製造工場と化している寿也のほうを見ると、彼も笑っている。

 どうやらやる気であるらしい。

 どうなんだこの展開と俺が思っていると楽しそうに寿也が、


「では、俺の知りうるおすすめのものをご用意しましょう。ただし、一つ問題があります」

「も、問題ですか?」


 意味ありげに寿也が問題があると言い出す。

 どうしたんだろうと俺が思ってみているとそこで寿也が、


「たくさん種類があるので、人数が三人では少なすぎるのです。どうしましょうか」

「……うちの使用人から料理人まで全員集めるわ」


 クレアがそう言いだしたのだった。










 そして本日この屋敷でカップラーメンの立食パーティが行われた。

 複数個複数種類のカップラーメンを食べてもらってどうするか、といった話に。

 人それぞれ結構好みが分かれるものだなと思ってみていた俺だったが、結局、一番人気なのはしょうゆの味のものと、カレー味のものだった。


 この二つがこの異世界人にとって気に入った味であるらしい。


「なるほど、これが人気なのか」


 寿也が感慨深そうに見て、そして百合が、


「だったらこの二つをそのうちこの世界で販売してみたらどうかな? 旅の資金になるはず」

「それはいい考えだ」


 といったように、今後のこの世界での活動方針も決まる。

 ただカップラーメン以外にもいろいろと作れるものもあるので、それも今後何が売れそうかリサーチをしようといった話になる。

 しばらくは寿也の能力で食べ物を出してもらい俺たちが販売、となりそうだ。


 またクレアたちだが、


「これで明日の料理大会は勝利です!」

 

 と勢いずいていた。

 そんな簡単に勝利してしまって大丈夫なのだろうかと俺は思うが、それでいいらしい。

 そんな俺の予感が次の日当たることになるのはいいとして。


 その日はこの屋敷の客室に泊まることになったのだが、


「広い部屋、ホテルみたい」


 嬉しそうに百合が言って周りを見回す。

 実際に俺たちの泊まる部屋はとてもきれいで、ホテルのようという表現はぴったり当てはまっていた。

 そして案内してくれたクレアは、


「ふふ、ぜひゆっくりしていってくださいね。異世界人の方々は客人ですから」

「ありがとうございます」


 百合が嬉しそうに中に入っていく。

 隣の部屋が俺たちの部屋であるらしい。

 とはいえ、ここにきてようやくこの世界の状況もす越し分かり安全そうな場所にたどり着けたので俺は、


「今日はもう寝ようと思う。疲れた」

「俺もだ」

「私も」


 ということで、今日はもう寝ることにしたのだった。




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