25、助っ人
屋敷に俺達は案内された。
白を基調した大きな屋敷で、飾り窓には金色の花の模様が見えたり、世なかなか凝っている。
西洋風ファンタジーの貴族の屋敷、といった物に俺は見えた。
それから中に入っていくも、雰囲気が何かおかしい。
全体に暗く、人の姿もあまり見えない。
たまたまなのか、俺の気にしすぎなのか、気のせいなのか。
そう思って寿也たちに聞こうとした所で俺は、百合の異変に気付いた。
「百合、顔が真っ青だぞ。大丈夫か? 今にも倒れそうだが」
「……馬車酔いしたかも」
「少し休んだ方がいい。クレアさん、部屋で休ませていただいてもよろしいですか?」
俺がそう言うと、クレアが勿論ですと答え、サラが様付けしろとにらみつけてくる。
けれどそれを無視して俺と寿也で百合の腕を左右に肩に載せながら移動していく。
そうこうしている内に客室に案内され、そこのソファーに百合を座らせた。
飲み物を持ってくる、そうクレアが言って、メイドのサラがすぐに何かを持ってくるといっている。
一緒に酔い止めの薬も持ってきてくれるらしい。
異世界人に効くかは分からないそうだが。
そうして待っているとそこで突然客室のドアが開かれた。
現れたのはそこそこ歳のいった髭の生えた中年の男。
部屋に入ってきてすぐにクレアに、
「クレア、コトロ村の料理人はどうした?」
「……すでに彼らの手に落ちていました、父様」
「何という事だ……」
そう嘆く父にクレアがそこでちらりと俺達の方を見て、
「ですが強力な助っ人ともいうべき方々をお連れしました。異世界人のこちらの三人の方です」
と、俺達の方を見て言い切ったのだった。
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