23、移動
そうなるとこれだけで六十万。
そう考えるとあまりにも法外な金額過ぎる。だから俺は、
「これは少し多すぎでは」
それに答えたのはクレアだった。
「いえ、こういった珍しいものを食べさせていただいたことと、異世界人の客人を私達の家に迎え入れることと……そしてこういったすぐに食べられるような食品をもっといくつかの種類を提供していただきたいのです」
「? それは……寿也、かまわないな?」
「うむ。インスタントラーメンの良さを思い知らせてやる」
と言って寿也が機嫌をよくしているので、俺としては特にいう事もない。
食べ物を出して喜んでもらえるならそれでいいだろうと俺は思っていたのだ。その時は。
だが……それがすべての間違いの始まりであり、この世界の……別な意味での戦いに身を投じることになろうとは、この時の事を後々思い返しても、よく分からない思いに俺は駆られるのだった。
そして食事を終えた俺達は、クレアの馬車に載せてもらって移動をすることに。
とりあえず呼び出した家は消したが、
「一瞬で先ほどの家が消えるのですか」
「俺も未だに夢のような気がしているよ」
「特殊能力ではそのようなことができるのですね。女神様の祝福……そういったものが私も欲しかったな。ほとんど異世界人だけの特権のようなものですしね。もっともその人の性質にもよるらしいのですが……」
といった話を聞いて俺は、寿也を見た。
彼がカップラーメン好きなのは有名であり、それに見合った能力だ。
そしてゲームが好きな俺は、この能力。
となると、百合の能力はどういった意味があるのだろうと考えたが結局分からなかったのだった。
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