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14、女性の声

 玄関のあたりから声がする。

 二人の女性の声のようだったが、この異世界なので何があるか分からない。

 というわけで俺はとりあえず声をかけることに。


 まずは二階から、階段の方に向かって、


「どちら様でしょうか」

「! あ、えっと、私はクレア・ハルビィと申します。実はその……諸事情により急いで宿を抜け出してきた関係で昨日の夜から何も食べていなくて。ここからだと馬車でも人のいる場所は夜までたどり着けず……いい加減お腹がすいていたのですが、こちらに民家があるようでしたので訪ねさせていただきました」

「そうですか。それで要件は」

「あの、何か食べ物を分けていただけないでしょうか? それ相応の対価はお支払いしますので」


 といった声が聞こえた。

 今の話を聞いて、俺は寿也と百合に、


「どうする? 一応は初めて出会った現地人だ。情報を仕入れるには都合がいい。……確かに訳ありのようだが、女性二人のようだし、いざとなれば百合に姿を消してもらって俺が特殊能力チートで倒してもいい」

「……俺は接触するのは賛成だな。現地人にカップラーメンの良さを教えてやる」

「私も賛成だよ。もしかしたらいい人かもしれないし」


 といった話し合いの結果、彼女たちを家に招き入れることにした。


「どうぞお入りください。あ、靴は玄関で脱いでください。仲が土で汚れてしまいますので」

「え? は、はい」

「クレア様やめましょうよ、靴を脱いで家に入る文化なんて聞いたことがありません」

「でも変わったおうちに住んでいらっしゃいますしそういったこだわりかもしれません」

「……何かあったらすぐに連れ出しますから」


 怒ったような女性の声も全部俺達は聞こえていた。

 とはいえ、顔を合わせないことには何も始まらないので、俺達は急いで会談を下りたのだった。

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