13、漫画本があった
部屋の中を覗くとベッドや机などが置かれている。
そして目的のリュックサックも壁にかかっていた。
他にも筆記用具やノートの類など、日常生活で必要そうなものが一通りそろっているようだ。
なので俺は、洋服ダンスの方を引っ張り出す。
開くと中には私服らしきものが一通り下げられている。
これでしばらくは着替えの心配がなさそうだ。
ただ生活していくだけなら俺達三人で何とかなる、そう俺が思いつつ後でゆっくり中のものは確認しようと決める。
そして部屋の外に出ると丁度百合が部屋から出てきて、
「着替えの洋服、リュックサックとか他にもたくさんあったよ。これだけ沢山あれば当分は大丈夫かも」
「そうか。……これでお金もないから、何とかなって良かった」
「そうだね~、でもこの異世界、どんな世界なんだろう? あ、言葉は通じるのかな?」
「女神様がおまけでつけておいてくれたらしいぞ、自動翻訳魔法」
「そうなんだ~……私の方は説明がないよ」
百合がそう真剣に呟いた。
そこで寿也が部屋から出てきて、
「マンガ本があった」
「なん……だと……」
「しかも週刊二ャンプの連載作品が何巻にもわたって」
「なん……だと……後で読ませてくれ。というか俺の部屋には辞書とかそういった物しかなかったぞ!?」
俺が悲鳴じみた声を上げた所で、声がした。
「どなたかいらっしゃいませんか~」
「やめましょうよお嬢様。こんな怪しい家、見たことがありません」
「でも、これだけ新しいなら人がいるでしょうから……本当に私、おなかがすいているんです」
そんな声が、玄関の方から聞こえたのだった。
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