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神様はどうやらかなりの甘えん坊みたいでした…

 

「ああ、ごめん、このままの姿じゃあれだね。ほいっ、これでどう?」

「ど、どうって、また俺の知らない人が目の前にいるんですけど…」


 告白された、脳がそう理解した次の瞬間、リリアが再び姿を変えた。えっ、どういうことですか。このままの姿じゃあれだねって、あれってどういうこと!?


「これが僕の本物の姿さ。実はこれまでのは全部偽りのものだったんだよ、ごめんね?」

「ということはつまり、リリィとしての姿も、ついさっきまでのも、グラマラスなやつも全て作った姿だった、ということか。」

「グラマラスなやつに関してはもう良いでしょ…」


 そう説明するリリアの本当の姿は、確かにこれまでとは違った。一言で言うならば、男の子からボーイッシュな女の子へジョブチェンジしたってところか。確かに胸は小さいが絶壁というわけではなく、小さいなりにしっかりと主張しているのが、服の上からでも見て取れる。また、金色でサラサラとした髪は短く切られており、青い瞳とも相まって全体的に神々しい。いや、しかしこれは…


「ぐふっ……」

「え!?ちょっとコウキ君、大丈夫?なんで鼻血流してるの!?」

「いや、すまん、あまりにも好みにジャストヒットしたもんでな。あ、そうだ、そういえば一人称は結局私と僕のどっちが素なんだ?」

「ああ、それは『僕』だよ。」

「グハッ……」

「えええ!?なんで!?なんでまた鼻血が…しかもさっきよりも量多いし!」


 いや、仕方ないんだよ、一人称と外見が共に好みにジャストヒットしたんだぜ?これはもう鼻血が出るのも頷けるだろう。めちゃくちゃ可愛いよこれやべえよ。

 いや待て、読者の皆さん。まあそちらの気持ちも分かる。確かに裸というわけでもない女の子を見て鼻血出すなんて異常だし、それはもはやただの変態であろう。しかし聞いてくれ、相手は神様。文字通り神様レベルの美少女なんだ。今回ばかりは許してほしい。


「え、えっと、それで何の話だっけ?」

「そ、それは、だから、コウキ君の事が好き!って話だよ!いや、そんなことより鼻血は大丈夫なの?」

「あ、ああ、鼻血は大丈夫だ。それで本題に関してだが、それは今、俺が返事をしても良いのか?」

「………うん、良いよ。」


 というわけでOKを頂いたので早速返事をしていこうと思う。まあ、返事は当然俺としては決まってるわけだ。そんなことはさっきの俺の反応で分かるだろう。ただどうやらリリアはそれを理解していないらしい。なんだか、目を瞑ってこれから来るだろう絶望に耐えようとしているように見えるし、そのせいか若干涙目にもなっている。おいおい、可愛いなあ。


「まあ返事っていうかなんだ。俺もリリアのことがずっと好きだったし、今も大好きだ。だからその、良ければ俺と付き合ってくれないか?」

「……へっ?良いの?僕は、僕のせいで君をっ…」

「まあ待て落ち着け。俺はお前のせいだなんてちっとも思ってないよ。それにお前、こんな言葉を知ってるか?」

「……?」

「『可愛いは正義』。これには俺も深く共感していてな。つまり可愛いお前の前ではどんな行為も正義にあたるってわけだ。」

「か、可愛いってそんな…」


 そうして唐突に俺に可愛いと言われたリリアは、顔を真っ赤にして照れはじめる。おいなんだこの可愛い生き物は。ダメだ、これは確実に保護しなければいけない、この俺が保護しなければいけない。

 そう思った俺のその後の行動は早かった。俺は目の前にいる彼女に手を伸ばすと、優しく抱きしめる。すると彼女もまた、ゆっくりと俺の腰に手を伸ばしてくれる。


「……ほ、ほんとに、許してくれるの?」

「もちろんだ、言ったろ?可愛いは正義だって。なあ、それで告白の答え、聞かせてくれよ。」

「……こ、こちらこそ、よろしくお願いします…」


 そうして遂に、俺たちは結ばれた。神様と付き合うだなんて、ひょっとして俺が初めてなんじゃないか?これは人類初の快挙かもしれないな。

 いや、そんなことよりもリリアの可愛さよ。ハグしているから顔までは見えないが、耳まで真っ赤にしているのは見える。まあそういう俺も顔真っ赤なんだろうけど。

 まあとにかく、こうして俺は7年越しの恋を実らせたわけだ。正直、自分でも信じられない。少なくとも神様としてのリリアと出会った当初はこんなことになるなんて思っていなかったな。てかキャラ変わりすぎだろ。まあそれでも、こうして照れるリリアを見れるなんて、俺にとっては得しかないわけだが。


「なあ、リリア。」

「………」

「…リリア?」

「……ぷしゅ〜…」

「えっ!?おい、リリア?大丈夫か!?」


 少し長い間ハグしすぎてしまったのだろうか。リリアは顔から湯気を出して気絶してしまった。

 なあ、おい誰か助けてくれ、俺こんなに可愛い生き物見たことないよ、こんなの二次元の中だけだと思ってたよ。

 いや、そんなことを言っている場合ではないな。とりあえずベッドに寝かせておかないと。

 ……あれ?そういえばこいつこれまでこの家のどこで寝てたんだ?

 ………。こいつ俺に対して気を使いすぎだろ。別に言ってくれればベッドの一つくらい創造スキルで作れるってのに。本当に可愛いやつだな。






「…むにゃ?あれ、いつの間に寝ちゃって…ってうわ!?」

「……ぁ、なんだ起きたのか、おはようリリア。」


 翌朝、リリアが気絶したのを良いことに一緒のベッドで睡眠をとった俺は、リリアの声で目が覚めた。


「い、いやおはようじゃなくて!おはようなんだけど!」

「なんだどうした、朝だから寝ぼけてるのか?」

「違うよ!なんで僕がコウキ君と一緒に……あっ。」

「お、思い出したか。そうそう、気絶したリリアを、俺が介抱したの、OK?」

「だ、だからって何も一緒のベッドで寝なくても…」

「リピートアフターミー、OK。」

「お、OK。」


 ふむ、こうして考えるとなんだか初めとは立場が逆転してるな。まあリリアも満更ではなさそうだし良いだろう。それにほら、俺たちはもう付き合ってるわけだし?それはつまり、仮に一線を超えてしまったとしても何も問題がないということで。いや、超えるつもりはまだ無いんですけど。


「なあリリア。もう少し寝させて…」

「へ?い、いやちょっと、僕は抱き枕じゃないだからね!?」

「分かってるよ、神様を抱き枕に出来るだなんて、俺は幸せ者だなあ。」

「いやそれ何もわかってないよ!?それにそもそも、神様を抱き枕にしようとするその思考が既におかしいよ!?」


 しかしそうは言うもののリリアは全く抵抗する気を見せない。なんなら向こうも俺に抱きついてきているほどだ。ともかく二人ともそんな状態では到底起きられるわけがなく、案の定というべきか、俺らは二度寝をするのであった。




 そしてようやく二度寝から目が覚めたのは昼頃。この時間になると流石に俺も眠気は完全に失せ、リリアと共に一階にあるリビングへと下りてきた。


「いやー、よく寝たなあ。」

「むー……」

「おいおい拗ねるなよ。なに、もしかして、嫌だった?」

「い、嫌じゃない、けど…。せ、せっかく付き合い始めたんだからさ?もっと、その、起きた状態で、イチャイチャしたかったなあ、なんて…」


 俺の神様がこんなに可愛いわけがない。いや、マジでどうした。なんだ、やっぱり付き合い始めたからか。リリアってこんなに甘えん坊だったのかよ。いや、付き合う前までは正直ちょっとウザい系というか、少なくともこんなキャラではなかった気がする。だが、それでもこれはむしろ良い変化だし、彼女が甘えてくるからと言ってそこに疑問を生じさせるのはいささかナンセンスというものか。


「じゃあこれから一緒に寝るときには気をつける。」

「もー、一緒になるのは確定なの?」

「お、嬉しそうだな。」

「えっ?ぜ、全然、僕嬉しそうじゃないよ?」

「その割にはニヤニヤしてるけど…」

「こっ、これは…」


 リリアをいじるのが楽しい&可愛いすぎてやばい。というかもうこの話題だけで本一冊分くらい書ける気がする。それくらい可愛いため、その後もほっぺをつついたり、その反応をまたからかったりして楽しんでいたのだが、ここで一つ、今更ながら疑問が思い浮かんだ。


「そういえばさ、なんで神様として俺を拉致ったときは姿を偽ってたんだ?」

「ああ、僕ってもともとリリィと同一人物だってバレないように隠してたわけじゃん?それならやっぱり性別ごと変えた方がいいかなって思ったんだけど、男の子の姿だとちょっと慣れないからさ、見た目だけでも男の子にしようかと。」

「なるほどな。でもその割には速攻で女だって認めてた気がするんだけど。」

「あぁ…。アナがね…」

「あー、そういやそうだったな。あいつマジどんだけやらかすつもりなんだよ。」


 これもやはりアナのせいだった。なんだか知り合った当初に抱いていたイメージがどんどん崩れていく気がするのは気のせいだろうか。

 と、そんなことを考えていたら、グゥー、とお腹の鳴る音が聞こえた。…ああ、はい、俺ですね。


「腹減ったな。せっかくだし、街にでも何か食いに行くか?」

「えっ!?コウキ君が外出…?だ、大丈夫?風邪とか引いてない?」

「俺は一体なんだと思われてるんすかね…」


 腹が減ったし、なによりもうこれ以上引きこもる理由がなくなったので外食を提案してみたらこのざまよ。いや、ひどくね?だってもう俺が引きこもってた理由知ってるんでしょ?


「まあ確かに、もう引き篭る理由なんてないもんね。じゃあ!早速街へ出かけようか!」


 まあとにかく、こうして俺らの初デートは始まったのであった。

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