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21話.新たな仲間

「よし、全員いるな? それでは、まだパーティを組んでいない者は今すぐ組んでくれ! もう少ししたらダンジョンに向かう!」


 今日は、ダンジョン攻略の日だ。集合場所に集まった人達は、やはり先日の作戦会議よりも多い。


 ダンジョン攻略についてだが、推奨されているパーティ人数は四人。そしてその中に魔法使いを入れる必要がある。現在、オレ達はそのどちらも満たしていない。


 この僅かな時間で、新たなパーティメンバーを加える必要がある。それも、可能なら魔法使いの。


「ごめんねー。もう他のパーティに誘われちゃったんだー」


 その為、杖や魔導書の様な本を持つ人間に片っ端から声を掛けているのだが、結果は芳しくない。


 まあ、それもそうだろう。スケルトンには近接攻撃が効きにくい。火力を出すには、魔法使いが必要だ。今、この時期にパーティに入っていない魔法使いなんていないのだろう。パーティからあぶれ、現在も必死に自分を売り込んでいるのは剣や槍などの武器を持つ人間だけだ。


 そんな訳で、パーティメンバーに魔法使いを加えるという目的は、難航していた。


「最悪、僕が魔法剣でスケルトンを倒しますよ?」


 ハルトはこう言っているのだが、それだとハルト一人の負担が大きい。唯でさえ、オレという足手纏いがいるのだ。懸念事項は出来る限り減らしておきたい。


 やはり、ハルトの他にもスケルトンにダメージを与えられる人材が欲しい所だ。


「なあ、お前ら! もしかして、さっきからパーティメンバー探してる?」


 魔法使いらしき人物に、声を掛けては断られる。そんな事を繰り返していると、一人の人物に声を掛けられた。


「もし良かったら、俺をパーティにいれないか? あっ俺の名前はテンな! よろしく!」


 テンは、武道着に身を包んだ白髪の少年だ。とてもじゃないが、魔法使いには見えない。というか、武闘家にしか見えない。


 スケルトンに対して、まともなダメージを入れる事は出来ないだろう。つまりテンが、オレ達の望んでいる火力要因となり得る可能性は低いという事だ。


「オレの名前はシン。オレは初心者だから、足を引っ張ると思う。それでもいいか?」


 確かに、オレ達はパーティメンバーが一人足りていない。


 だが、この段階でテンをパーティに入れるなら、一縷の望みに掛けて魔法使いを勧誘し続けた方がいい気がする。テンの加入は、断った方がいい。


 だが、馬鹿正直に加入を断ると角が立つ可能性がある。ダンジョンの攻略前に、余計なゴダゴダは避けたい。だから、自分から離れていく方に仕向けよう。


 どうせ、コイツもオレが初心者だって知ったら、敬遠するだろうしな。


「ああ! よろしくな、シン! 最初は誰でも初心者なんだから、気にすんなよ!」


 オレの予想に反し、敬遠するどころかテンはオレを励まして来た。


 ……何だコイツ、よっぽどの自信があるのか。それとも唯のバカなのか。


 スケルトン相手に有効打を取れない武闘家と、初心者が一人。コイツは地雷を二人も抱えたパーティで、ダンジョンを攻略出来ると思っているのか?


「それに、聞いたぜ。そっちは勇者が二人もいるんだろ? だからどうせ、シンも強いんだろ? 初心者だからとか、謙遜すんなって」


 ……まさか、コイツは単純にオレが強いと勘違いしているのか? 成程、それならばオレが何を言っても誤解は解けないだろう。


 第三者が、オレを弱いと評価する事でしか、テンの勘違いが正される事は無い。


 それならば、ハルト……は駄目だな。アイツは気を使う可能性がある。こういう時、ズバッとオレが弱いと言ってのけるのは、アルルだろう。


 アルルに、真実を告げてやれと視線を向けた。


「……シンは頼りになる」


 ――まじかよ。


 だが、返ってきたのはオレの期待を裏切る一言。アルルは、この一言が何を意味しているのか理解しているのか? これで、テンの加入を断る都合の良い理由が無くなったぞ。


 まさか、アルルも勘違いしているのか? 現状、このパーティに足りてないのは火力だ。少なくとも、相性の悪い近接攻撃しか出来ないであろう武闘家は要らない。


「……確かに、このパーティには勇者が二人いる。だが、強力な魔法を使える魔法使いがいない。見た感じ、テンは武闘家だろ? スケルトンを倒すには、このメンバーじゃ厳しいと思う」


 正直に、言うしかないだろう。これだけ言えば、流石にテンも諦めてくれると信じたい。


「ああ、そんな事か。大丈夫だ! オレは浄化のグローブを持ってるからな! スケルトンなんて一撃だぜ!」


「浄化のグローブ?」


「ああ! アンデット系の魔物を浄化するグローブなんだ!」


「そんな武器があるのか?」


 テンのいう事が、本当の事なのかをオレには判断出来ない。ここは、ハルトに聞いて見るのがいいだろう。


「確かにありますけど、かなり珍しい装備品の筈です。僕も一度だけしか見た事がありません」


「疑ってんのかよ! ほら!」


 そう言って、ハルトはボロボロになった手袋をオレ達に差し出して来た。


「……これは、確かに浄化のグローブですね」


 ハルトが、テンの言葉は正しいという証明をした。つまり、テンはスケルトン相手に有効打を与えられるのだ。


 ……もう、テンの加入を断る理由は無くなってしまったな。


「それなら、大丈夫だな。……よろしく」


「ああ! よろしく頼む!」


 どうやら、オレ達のパーティ。最後の仲間はこのうるさい武闘家になりそうだ。


 まあ、誰も仲間にならないよりはマシだろう。寧ろ、テンはオレ達の望んでいた人物その者と言ってもいい。


「いやぁー! パーティに入れないんじゃないかと、ドキドキしたぜー!」


 でも、何故だろうか。騒ぎまくっているテンを見ていると、不安になって来る。


 ……本当に、テンを仲間にして、良かったのだろうか。


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