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19話.作戦会議

 トルト町に着いたオレ達は、休憩もそこそろに移動を始めた。


 何でも、ダンジョン攻略へ向けての話し合いがあるらしい。それにオレ達も参加するのだ。初対面のメンバーで連携を取るのは困難を極める。各々の腕に自信があるのなら、尚更だ。そして、連携が取れないと命を落とす事すら有り得る。


 戦う事の出来る人間は貴重な為、万一にも失う事の無いように万全を期するらしい。


「ではこれより、ダンジョン討伐に向けての話し合いを行う!」


 そして現在、オレはトルト町の広場にいた。周囲には、オレ達の他にも数人の男女がいる。


 武器や、戦法もそれぞれ違うのだろう。身に付けている装備品なども、人によってバラバラだ。


 共通しているのは、その誰もが自信に満ちた表情をしている事。分野は違えど、誰もが自分自身の実力に覚えがあるのだろう。


 その中でも、場を仕切っているのは大剣を背負った四十程の男だ。額に刻まれた傷跡の凄惨さが、この男が修羅場を潜り抜けて来た歴戦の戦士だと教えている。その証拠に、一癖も二癖もありそうなメンバーがこの男の進行に口を挟んでいない。


 作戦会議は、上々の滑り出しを見せていた。


「じゃあまずは、ダンジョンについてだ。偵察隊の話によると、ダンジョンの規模は中規模が想定される。その為、四人パーティを組んで探索してもらう。ここまでで何か質問は?」


 傷跡の男が、進行を続ける。だが、オレにダンジョン攻略の経験は無い。その為、当然の様に疑問点も出てくる。


「すまない。オレはダンジョン攻略が初めてなんだ。色々解説しながら作戦を説明してくれると助かる。まず、パーティを組む理由について教えてくれ。ここにいる全員で探索という訳には行かないのか?」


 恥を忍んで、疑問を聞く事にする。この辺の知識は、ダンジョンを経営している側としても必要になるであろう知識だしな。聞いておいて損は無いはずだ。


「おお、初心者の方がいたのか。すまんな。パーティを組む理由についてだが、ダンジョンの規模によって道幅や部屋の大きさが変わるんだ。その為に、効率的に戦闘出来る数には制限があるという訳だ。だから、パーティの人数はダンジョンによって毎回変わるぞ。この後も他のダンジョンに行くかもしれないからな。覚えておいてくれ」


 成程、通路の狭さについてはオレも覚えがある。現状、オレのダンジョンはまだまだ狭い。例えばの話だが、オレのダンジョンを攻略する際、多人数で来たら同士討ちが発生してしまうだろう。効率が著しく落ちる事になるのは、想像しやすい。


「おう、分かった。分からない事があったら他にも聞くが、許してほしい」


「ああ、勿論いいぜ。その為の作戦会議だしな」


 話の腰を折ってしまった。傷跡の男は、気にするなと言ったが周囲の者はそう思って無いだろう。何となくだが、ピリついた空気を感じる。まあ、初心者が命の掛かっている戦場に首を突っ込んでいるんだ。良くは思われないだろうな。


「じゃあ、次だ。ダンジョン内のモンスターはスケルトン系だ。スケルトン系に近接武器は効きにくい。パーティ内に一人は魔法使いを入れてくれ。後、上位種と思われる赤いスケルトンがいるそうだ。赤いスケルトンは動きが速いから注意してくれ」


 ダンジョンの規模から分かってはいたのだが、今回行くダンジョンのダンジョンマスターは、オレよりも数段上にいるらしい。まず、今のオレは上位種の召喚なんて出来ないし、ダンジョンと呼べるほどの数も召喚できない。


 今から行くダンジョンが、オレよりも更に進んで居るダンジョンなのは僥倖だ。オレがどうやって生きるべきなのか、オレが本当にやりたい事は何なのか、それを考えさせてもらおう。


「……まあ、そんな所かな。じゃあ、各自でパーティを組んでおいてくれ! ダンジョン攻略は明日の十時から行う!」


 傷跡の男がまとめ、話し合いは終了した。


 ……それにしても、四人パーティか。


「一人足りませんね」


「ああ、オレにハルト……後はアルルか。後一人足りないな」


「それだけじゃないですよ。僕は魔法剣士なので、出来るなら魔法使いが欲しいですね」


 ――状況は、良くない。


 魔法使いが居ないのもそうなのだが、問題なのはオレとアルルの関係だ。アッシュを助けたあの日から、オレとアルルはまともに会話をしていない。

 

 お互いに、宣戦布告をした状態で時が止まっている。オレとアルルは、お互いに敵なのを知っているのだ。このままでは、ダンジョン攻略において連携に綻びが出るかもしれない。


 ……何処かで、話をした方がいいんだろうな。

 

 魔法使いの仲間探しに、アルルとの話。どうやら、ダンジョンの探索前にやらなければならない事は山積みのようだ。

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