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現実

秘密基地

すっかり大人になったつもりだった。


沢山の諦めと沢山の退屈を覚えて、“昔の自分が置いていった沢山のもの”に辟易する日々を過ごしているばかりだった。


だからもう、昔の自分には戻れないとばかり思っていたんだ。




―ふと、またあの秘密基地に帰りたいという衝動に駆られた。


あそこには沢山の思い出がある。子供の頃の自分が、置き去りにした沢山のものが。


あの時はもういらないと思って置いていった筈のものなのに、今は何故だか無性に惜しい。


でも今さらあの秘密基地に行ったって、あそこはもう自分達じゃない誰かの秘密基地なんだ。


だから行かない。衝動も忘れて、ただ漠然とした明日に向かって生きていかなくちゃ。


もしあの秘密基地にまた行って、何も残っていなかったら、いよいよ絶望しか残らないだろうし。




けれど衝動は消えない。何をしていても襲いかかる。


朝、昼、晩。夢、現実、妄想。部屋、風呂、職場。


だからついに我慢がきかなくなって、ある夜に秘密基地に行ってしまった。


いっそ絶望したら、この衝動も無くなる筈だろうって。




でももう、秘密基地は跡形すら無くなっていた。


絶望に“想定”なんて無いけれど、想定以上の絶望が襲いかかってきた。


もう明日から衝動に駆られることはない。残るのは、ただ、この虚しさだけ。




あとどれだけこの虚しさを抱えて生きていけば良いんだろう。


これはこれは、とても長くて辛い死出の旅である。




なんて思って落ち込んでいたら、すぐ近くにもうつ向いて落ち込んでいるような人が居た。


その人は涙まで流して、けれどなんでか笑っていて、それからついには「楽しかったなぁ、ふふ」なんて言ってしまっている。




―見ていて思った。


あぁきっと、この人の中では、まだ秘密基地は消えていないんだなぁ、と。




―見ていて思った。


この人の中では、きちんと秘密基地があって、まだずっと在り続けるんだろうなぁ、と。




「秘密基地、楽しかったですよね。」


「…え?」


「私も入れてくれませんか。あなたの中の思い出……、………その、秘密基地…に。」




気づいたら話しかけていた。その人は驚いたような顔でずっとこちらを見ていたけれど、不意に笑って「ふふ、いいですよ」と言ってくれた。




秘密基地は無くなった?


よくわからないが、今は度々その人と会うように決めている。




ただ、衝動も虚しさも緩和されたのだけは確かだ。


今は、これでいいと思っている。

相変わらずの構想校正無しの寝る前にばばっと書いて投稿しちゃったシリーズです。読んでてちょっと気になるところとかあったんですけど、まぁ修正嫌いなんで直しません。はい。


はぁうんこうんこ。子供の頃ってどこで野ションしても怒られないって思ってました。歳とって犯罪だと知った時は戦慄したものです。ひぇぇ。

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