第三十七話:意外な策略
「快、こいつを見てみろ」
義臣は快に一冊の資料を差し出した。
「デビル・アイ……」
分厚い資料にはデビル・アイの構造と性能が記されていた。それを数ページ見ただけで科学をかじっていないものは拒絶反応を示す造りに、快はよくこれだけの研究をしたものだと思う。
「ああ、聞いたことはあるだろう?」
「そりゃあるけどよ、こんな手の込んだやつ壊すのは厄介過ぎるだろう」
快の意見は最もだった。近づけば衝撃波が来る、視力はもちろん人の倍、そして何より人体の強化……、並のバスターが相手に出来る代物ではない。そもそも人体に埋め込んで適合する者がいるかも怪しい代物だ。
「だが、氷堂はこいつを手に入れた」
「なっ……!!」
快は声が出なかった。よりによって氷堂はデビル・アイを手に入れているのだという。勝ち目があるはずがない。
「だが、デビル・アイも機械だ、必ず弱点は存在する。その図面から全ての機能と応用、そしてその隙を弾き出せ。もちろんそいつプラス氷堂の戦力も考えろ」
「おい、人の努力を数時間で記憶しろってか……」
「昔、俺の書斎からデビル・アイの記録持ち出した奴がいたよな」
義臣はニヤリと笑った。確かに、八年前のあの事件からいつかデビル・アイと対峙する未来を予測はしていた。
しかし、現実はそううまくいくものではない。完璧なものは世の中に存在するものだ。快の頭脳を持ってしても、破壊までのシナリオが組み立てられない。
「父さん、父さんならどうやって戦う?」
初めてまともな質問をした気がする。
「そうだな、俺なら……」
ニッと笑って義臣は答えた。
「その程度の衝撃波も避けられないとはまだまだか。義臣とは」
「違うに決まってるだろ!」
その声は氷堂の足元からしたもの。そしてその足元から快は飛び出して来た!
「なっ!」
コンクリートの床から飛び出してくるなど馬鹿げた戦いとしか思えない。しかし、それを平然としてやった奴がいる。
「義臣の入れ知恵か」
「ああ。慣れたくねぇなこの戦法」
快は笑った。義臣の呆れた考えが的中したのだ。
「俺なら騙し討ちする」
「はぁ!?」
ありえない。氷堂相手にそう簡単に出来るはずがないだろう。しかし、義臣は続けた。
「一言で言えば難しいな。だが考えろ。あの倉庫の中で出来る有り得ない攻撃パターンを」
全くあの親父は……、と快は改めて思う。普段はどれだけ尊敬の欠片すら感じられない父親でも、やはり最強のバスターと言われるだけの強さも柔軟性も兼ね備えているのだと思った。
「そういうことだ。続けるぜ!」
快は微笑を浮かべた。
久しぶりの更新です☆ どうぞお楽しみください。




