第三十話:圧勝
今まで戦闘で負けた相手は快と白真、そして自分の父親達。まだそれは認められる相手だとしても、この目の前にいる男に負けたくはなかった。
「時枝脩三の息子がどこまで強くなったか……」
猿柿は相変わらず修を弱者としか見ていない。だが、それも仕方のないことだ。掃除屋界で常に騒がれているのは快や白真。自分はそのおまけみたいなものだ。
しかし、それはそれでよかった。元々騒がれることに対して対して興味もない。何より強くなっていることさえ分かれば良かったのだから……
「強くはなってるさ。どんな馬鹿でも体格がでかくなればそれなりの攻撃力は得ることができる。八年もあれば尚更だ」
抜いた剣に水流が取り巻く。修の魔力タイプは「水」。自分の父親からその遺伝はしっかり受け継いでいるらしい。
とはいえ、威力は八年たっても追い付かないままなのは悔しいが。
「ほう、時枝脩三と同じか。だが、威力は比べ物にならんな」
「……なめんなよ」
その瞬間、二人の力が激突した! パワー自慢の猿柿はいとも簡単に修の剣を受ける!
「甘いわ、ひよっこがぁ!!」
寸鉄が空間から現れ修の頭部を狙ったが、修は回避し高く飛び上がると水剣を降り下ろした。
「時雨!!」
水の矢が猿柿に集中打を浴びせた。しかし、量だけの性かその身には傷一つ入っていない。
「ふっ、全く効かんな」
「だろうよ」
その反応は既に予測済みだったらしく、修はすぐさま猿柿の背後に回り込んでいた。
「水波動砲!!!」
「ぐうっ!!!」
今度は強力な水の砲弾を撃ち込む!
「くそっ……!!」
立ち上がろうとした。しかし、動けない。傷はおろか何も自分の体にされたことなど何もないのにだ。
「情けない、俺はこんな奴に八年前負けたのか」
修の声が静かに聞こえる。そして猿柿の目に映ったものは巨大な津波……
「なっ……!」
八年前と同じ、いやそれ以上の波の高さだ!
「お前は俺に威圧された。だから動けないだけだ」
「馬鹿なっ……!」
声は出るのに体だけ動かないことなどあるというのか!
「今度は俺の名に恐怖しろ」
そして放たれる巨大な津波。叫び声も聞こえることなく、猿柿は飲み込まれたのだった……




