第三話:高校生
掃除屋といえども、快は毎日高校に通っている。箒星学院、自由な校風と部活動が盛んなありふれた高校である。
快の家に住む掃除屋の高校生達の大半がこの学院に通っていた。
もちろん、近所にも他の高校もあるわけだが箒星学院に進学した理由を聞かれれば、親の母校だからなんとなく、と快は答えるだろう。
しかし、それ以外の理由もちゃんと存在しているのである。むしろその理由の方が大半を占めているという噂だが……
「それでは今日はここまで! 解散!」
「ありがとうございました!」
威勢のいいサッカー部の面々が今日も練習を終える。そのほとんどがしっかり日焼けをしていて、鍛え抜かれた肉体がまぶしく見える。
しかし、その中でも特に目を引くのが快だった。他の部員より明らかに細いのだが、監督すら認めてしまうほどしなやかな筋肉を持っていた。
そのおかげか、もともとが美少年な性か、彼の周りにはいつも女子の黄色の声が耐えることはなかった。今日も誰が快にタオルを渡すかでもめている。
「おつかれ」
「おう、おつかれ」
自分と同じ掃除屋であり、長年の幼馴染である片岡翔は頭から水を浴びていた快にタオルをかけた。
快より三センチほど高い身長に焦げ茶の髪色と茶色の瞳を持つなかなかの美少年だ。女子の楽しみを毎日奪っているのは間違いなくこの少年である。
部屋も快の右隣、何かあればすぐに快の部屋に邪魔しに来る悪友である。
「快、お前に面白いニュースを持ってきたんだ」
「ニュース?」
少し口元が吊り上っているのを見れば、間違いなく彼にクリーンヒットしたネタだと快は直感した。
「ああ、今日中松が翡翠に告るんだってよ」
快は水道の蛇口を止め静かに答えた。
「随分物好きだな」
翔に表情を見せないということはそれなりに、いや、かなり内心あせっているということは長年の付き合いで分かっている。
翔は苦笑を押し殺して平然とした態度で言った。
「早く行った方が良いんじゃねぇの? 付き合うことはないにしろデートの一回はあり得るぜ?」
快は頭を拭きながら、静かに歩き始めた。




