第二十九話:突入
快達がブラッド本社に到着したのは、夢乃達が突入した二十分後だった。既に火の手が上がっているあたり、すっかり流れはこっちのものになっている。
「さすが夢乃さんチーム! 派手に荒らしてくれてる!」
白真は感心の声を上げた。治療兵といえども、義臣と一時代を駆け抜けたバスターの一人である夢乃を簡単に止められるものは少ない。当然、その部下達もかなりのやり手だ。
「当たり前だ。うちでも一・二を争うチームなんだ、失敗するほうがおかしい」
しかし、まだ自分達が出るべきではないことはわかっていた。ブラッド本社の光が全て落とされた後に突入する手筈だ。闇にまぎれた方が氷堂尊氏の下まで早く行ける上に、力も温存しておくことが出来る。
そして、ついにその時を迎える光が後一つに迫る。
「あと十秒……」
修がボソリとつぶやいた。鼓動がバクバクしてくる。しかし、それは恐れじゃない。
「いくぞっ!!」
快の号令と共に電気が一斉に落ちた! 四人はバラバラになり突入する!
「どけぇ!!」
「ぐあっ!!」
消火活動に当たっていた社員達を快は次々と気絶させていく。それに気づいた者はすぐに応対しようとしたが、快の速さについていけるものなどいはしない!
「幹部達を終結させろ! TEAMの本隊が突入してきた!!」
隊長格の男が指示を出したが、それさえも遅かった。
「寝てろ」
修が男の首を打ち気絶させる。
「幹部級は今度こそ俺が倒す。昔の借りがあるんでね」
そう告げて修は本社に突入した。目指す場所は一つだけ。八年前、自分達を殺そうとしたあいつらのもと。今なら対等、いや、それ以上に戦える!!
「そういうことだ。さっきから尾けてるんだろ、猿柿さんよ」
「ほう、俺を覚えていたのか。随分でかくなったな、クソガキ」
オレンジ頭と自分を殺そうとするギラギラした目、そして怪力が自慢だというところは変わっていない。
八年前、自分の父親に恐れを抱いていた男は今、その息子と対峙している。それも一片の恐怖もなくだ。
「ああ、八年前の仕返しをしにきた。今度は俺の剣の前にくたばれ!」
戦いは始まったのだ……




