第二十話:対峙
「快ちゃん! 修ちゃん達は大丈夫なのか?」
「ああ、時枝のおじさんが行ってくれてる。俺達は翡翠のところへ急ぐんだ!」
確実に近付いている翡翠が捕らえられている倉庫。翡翠が確実に生きていることは感じているが、それと同時に恐ろしい力も近づいていると感じていた。
「白、倉庫内に入ったらすぐに翡翠を連れて脱出だ。手を出したら負けだと思え」
「うん、あいつらのファイル見ただけで分かったよ。TEAMと互角に戦える掃除屋が存在してたなんて思いたくもなかったけど……」
「氷堂尊氏」の名前が二人には浮かんでいた。ブラッド本社の社長でその力は義臣でさえ苦戦するかもしれない相手だ。自分達の実力では到底かなわないと自覚するしかなかった。
「あそこか! 急げっ!」
快と白真は倉庫の扉を蹴破り、鉄柱に括り付けられた翡翠を発見した。
「翡翠っ!」
「快ちゃん! 白ちゃん!」
やっと出会えた、やっと助けに来てくれた仲間に翡翠は涙を流した。
「待ってろ、すぐにこのロープ切ってやるからな!」
腰から取り出したナイフで快はロープを断ち切る。
「よし、すぐにここから……!」
空気が威圧された、体の力が全て抜けた、冷汗さえ流すことが出来ず、動けないことだけが認識できる感覚に陥る。そして聞こえた低い声……
「ようこそ、篠原快。会ってみたかったよ」
そこに登場したのは氷堂尊氏だった。
「氷……堂……!」
声が自分でもよく出たと思った。恐怖なんて言葉でこの男を表現してはいけない。
生々しい左目走っているのは斬られた傷、幾多の死線をくぐり抜けてきた事が分かる黒ずくめの格好、そして靴に鈍く光る金装飾でさえ自分を呪い殺してしまいそうだ。
「ほう、やはりちゃんと調べることは調べてきたようだな。父親に似て優秀なようだ」
笑みが翡翠の涙を誘った。自分を攫い、紫織に傷覆わせた男。それは間違いなく目の前にいる男だ。
「快……ちゃん……! すぐに時空魔法で飛んでっ! 早く皆のところへ!!」
「……っつ!!」
翡翠の言葉で目が覚めた。快は翡翠と白真を引き寄せ、その場から飛ぼうとしたが、魔力が一気に弾ける音が響き渡る!
「なっ……!」
飛ぶことが出来ない、それ以前に魔法がうまく使えない!
「まだ帰っていいとは言っていないだろう? 私は君達を今すぐ殺すつもりはない。これからの掃除屋界に新しい力は必要だ。だが、返答しだいでは命を握ってやるつもりだが……」
脅しではない! それだけが事実だった……




