表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/46

第一話:少年の名は篠原快

 この世の中には「掃除屋」という職種が存在する。


 警察でも解決出来ない犯罪者を取り締まるのが仕事であり、その戦力と知力を駆使して敵を壊滅に追い込む、まさに世の中の救世主的存在だった。そして、そんな彼らのことを世間では「バスター」と呼ぶ。


 そんな有能なバスター達が集まる掃除屋の中でも最近、特に注目を浴びていた会社があった。

 その名前を「TEAM」といい、一代で最強の名を手にしている掃除屋だが……



 深夜、一人の少年がとある会社に侵入した。防犯システムが普段は作動しているが、今宵ばかりはそうはいかない。システムそのものがとっくに破壊されていたからだ。


 しかし、それ以上にこの会社の社長は万全策を布いていた。他所から多数の掃除屋を雇っていたからだ。世間で騒がれているプロの戦闘集団が自分の身を守ってくれる訳である。

 だからこそ社長は自分の命の保障はされていると高を括っていた。


 だが、掃除屋には掃除屋のレベルの違いというものがもちろん存在する。特に「TEAM」を敵に回してしまったことがそもそもの間違いなのであった……



 防犯システムが作動しなくとも掃除屋という職種を選んでいればそれなりに気配を感じることは出来る。特に依頼主の近くに配置させられているバスターなら尚更だ。

 その自負がある性なのか、二人のバスターは呑気に談笑を交わしているのだった。


「なぁ、聞いたか? ここの社長はかなり好きらしくてよ、この前は女子高生三人を回して遊んだらしいぜ」

「へええ、そりゃ羨ましいな。俺達も犯りてぇよなぁ」

「ハハッ、無理無理。うちの隊長は許さねぇよ」

「ああ、残念だけどな」


 やろうと思えば出来る、しかしやらないというのが彼等の基本。少なくとも彼等の上官がそれを許さないからだけではなく、人としてやらないと決めているからだ。


 だが、そういった人物を庇うために働かなければならないこともある。少なくとも権力と財力が働いている場合、彼等は任務を全うしなければならないからだ。


「なぁ……、この任務は正しいと思うか?」

「仕方ないだろう? うちはお偉いさんには逆らえないからな」

「だったら逆らえ」

「なっ……!」


 突如繰り出された回し蹴りを横に跳んで避けるが、すぐに軸足を変えた回し蹴りが飛んで来る。


「くっ……!」


 避けた、そう思った刹那に少年は懐に入っており、青い光を帯びた手が腹部に叩き込まれた!


「うわああぁっ!!」

「もう一人」

「ぐああっ!!」


 同じように叩き込まれた手にもう一人のバスターも膝を折って倒れる。しかし、少年は息をついている暇がなかった。


「ガキが! 死ねっ!」


 派手に発砲される銃弾。サイレンサー付きと言えども、銃弾の数には変わりはない。だが、少年はたじろぎもせず銃弾をかわして反撃する。


「うわっ!」

「うがっ!」


 気がつけば掃除屋集団は壊滅状態に追いやられていた。


「なっ! お前達! 何してるんだ! たかがガキ一匹に!」

「おいおい、おっさん。掃除屋といってもその程度の奴らじゃうちとまともにやりあえるわけがないだろう?」


 全身黒尽くめの少年が社長の前に立つ。髪の色も黒。サングラスをかけていて目の色は見えないがその瞳も黒、そしてその分だけ白い肌が際立つっている。

 しかし、その割には大の男達を気絶させるほどの体格ではなく、むしろ同年代でも華奢なイメージがある。

 そんなあどけなさが残る十五歳の少年は小太りの中年社長のもとに詰め寄っていく。


「三人の少女を暴行した罪でお前の始末を付けに来た。一歩でも動けばお前の命をもらう」


 静かに少年は告げる。自分が雇った掃除屋とは比べ物にならない覇気が襲ってくる。


「ゆ、許してくれ!」

「許す? そんな調子のいいこと……」


 少年は近くにあった机に目をやると同時にそれを思いっ切り粉砕した!


「あるわけねぇだろ」


 もはや本当に自分の命はないと社長は悟った。


「すぐに警察が来る。お前はさっさと自首しろ。俺はこいつらの始末をつけねぇといけないからな」


 すでに戦意すらそがれている掃除屋達に少年は近付いた。そして落ちていた銃を手に取り、銃口を一人の男に向ける。その男は間違いなくこの掃除屋のリーダー格だった。


「お前等、『ブラット』のとこの雇われものか?」


 中年の社長以上の殺気を放って少年は尋ねると、彼は全身から冷汗を流しながらも答えた。


「いや、違う」


 リーダー格の男はそれだけ言うのが精一杯だった。すると少年は銃を投げ捨て、


「そうか、ならばさっさと消えろ」


 後ろを向いて侵入してきた天井まで歩いていく。


「なぜ殺さない?」


 掃除屋という仕事柄、掃除屋同士で潰しあうことはこの世界の常識だ。特に敗者が生き残ることなど滅多にない。


「俺達の社長は殺しを認めねぇ人でな、特に俺達ガキにはそういうところは厳しいんだ。だから絶対に敵に回るなよ?」


 そして飛び上がり、その場から消えるのだった。


「警察だ!」


 ドアの外から声が聞こえる。それを聞いて敗者の掃除屋達は一斉に消えた。その場にいれば、自分達も逮捕される可能性があるからである。


「隊長、あの少年は一体……」


 外に出た掃除屋達は隊長に尋ねた。そして、冷汗を掻いた隊長は静かに告げる。


「二度と会いたくねぇな。あいつはTEAMのバスター、篠原快だ」

 

 ただそう言って、自分達の本部に帰っていくのだった……



「現代アクションファンタジー」という感じでしょうか。

ぜひ読んでみてください。

感想をいただけるとすごく喜びます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ