表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/64

亜美が・・・

乃菊と国也が、仕事を終え、作業場から母屋へ帰って来た。

「お疲れさま。お茶を用意しておいたから、座ってて」

雲江が、二人をソファに座るように言う。

「ありがとう雲ネエ。今日は、頑張り過ぎたから、身体に甘いものが足りなくなったみたい」

乃菊は、キッチンの雲江の横へ行き、お茶菓子の存在を確認する。

「ちゃんとありますよ。最中だよ」

雲江も乃菊の性格は、すっかり把握済みだ。

「じゃあ、座ってます」

そう言って、国也の横へ座る乃菊。

「どうぞ」

テーブルにお茶とお茶菓子を置き、二人の反対側に座る雲江。

「乃菊ちゃん、疲れてたら、無理しなくていいんだよ。国也の働きは悪いけど、私が居るから」

お茶を飲みながら、雲江が言う。

「ちゃんと、働いてるだろ!」

いつもの調子で、雲江と国也のやり取りがある。

「大丈夫です。今まで通り、大人少女23も、ここの仕事も、若女将として頑張ります!」

乃菊も、いつもの調子で返す。

「みんなとの絆も深まったようだし、とにかく明るく楽しく過ごそう」

国也が乃菊の手を取って言う。

「お前に言われなくても、私と乃菊ちゃんは、明るく楽しく過ごしてるよ」

雲江の話に、乃菊は、湯のみを持って移動し、雲江の横に座る。

「そうですよ、国也様。私たちが明るく楽しく過ごすためには、国也様の働きが大事になるんですよ」

雲江に便乗する乃菊。

「また二人でタッグを組むなんて、いつもこっちが悪者なんだよな」

そう言って、一人寂しそうにする国也。

「国也様は、国也様で頑張っていますよね。だから安心してついて行ってるんですよ」

今度は、国也の横に戻り、国也の手を握る乃菊。

「あらら、乃菊ちゃんは、どっちの味方なの?」

雲江が乃菊の変わり身の早さに、乃菊の最中を掴み取る。

「あっ、私は、いつでも雲ネエの味方です!」

そう言って両手を出し、雲江から最中を返してもらう乃菊。

「食べ終わったら、食事の支度の続きをするから、二人でお風呂に入りなさい」

雲江が、残りの最中を口に入れる。

「はーい!」

乃菊が元気に返事をする。

「あら、本当に二人で入るの?」

雲江がお茶を飲み干して言う。

「あ、その、一緒にではなく、その・・・」

顔を赤くして、答えに困る乃菊。

「いいから、先に入って来なさい」

国也に言われて、一気に口に最中とお茶を流し込み、着替えを取りに二階へ行く乃菊。

「国也、乃菊ちゃんが無理しないように、気を付けてあげてね」

雲江が国也に言う。

「わかってるよ。乃菊は、家の大事な宝だからね」

国也だけは、ゆっくりとお茶を飲んでいる。


「ジュリアちゃん、何か必要なものある?」

今日も亜美が、ジュリアの病室へやって来ていた。

「もうすぐ退院だから、大丈夫だよ」

ジュリアは、ベッドの上に座って、ファッション雑誌を読んでいた。


「それより、もう遅いから、帰っていいよ」

ジュリアは、亜美の方が心配だった。

「加納さんに、電話するから大丈夫です。ジュリアちゃんは、自分の身体のこと考えていてください」

すっかり、面倒見の良い同僚になっている亜美である。

「じゃあ、帰りますから、欲しいものがあったら、電話くださいね。用意してきますから」

花も差し替え、満足すると、亜美は、帰り支度をした。

「気を付けてね」

手を振るジュリア。

「はーい」

笑顔で出て行く亜美。それを見送るジュリアは、胸騒ぎがして、亜美の後姿を見ることが出来なかった。

「みおんちゃん、亜美が一人で帰ったから、事務所に居るなら、社長と一緒に送ってくれるかなあ」

病院から事務所が近くだったから、ジュリアは、すぐにみおんに電話をした。


「もしもし加納さん、今病院を出た所。えっ、あと十分くらい?じゃあ、角のコンビニで待ってます」

仕事に区切りがついた加納が、迎えに来てくれるようだった。

「加納さんに、ジュースでも買ってあげよう!」

亜美は、小走りにコンビニへ向かう。

「きゃっ!」

コンビニの目の前に来た時だった。急に現れた男に、口を塞がれ抱えられた亜美。

「ううっ、ううっ!」

そのまま暗い通りの奥へ連れて行かれた。

バタッ!

袋小路のビルの壁の前に、投げ飛ばされるように倒された亜美。

「何するんですか!?」

男のようであるが、目だし帽を被っていて、誰なのかわからない。

「これが、分かるか?」

壁に背中をつけ、腰を落としている亜美の目に、薄暗い外灯でも、男が持っているのが、ナイフだとわかった。

「大声出しますっ、うっ!」

ズッ。口を押えられた亜美の腹に、ナイフが刺さった。

「お前の死体を見て、乃菊が泣き叫ぶのが、楽しみだ・・・」

男が言った。

「の、のぎちゃんに、何かするつもりですか!?」

亜美は、痛みを堪えて、目的を追求する。

「怒り狂うあの女と、最後の闘いをするのさ。お前は、そのための生贄だ!」

男は、亜美の顔の前で、血のついたナイフをかざす。

「のぎちゃんに、手出しさせないんだから!」

お腹を押さえ、壁に背中をつけたまま、立ち上がる亜美。

「好きにしろ、生きていればな」

ズッ!

「嫌あああああっ!」

亜美のネックレスが光った。

「な、何だ!?」

強い光に、後ずさりする男。

「何をしてる!」

自転車に乗った警官がやって来た。

ドンッ!

男が、警官を突き飛ばして逃げた。

「待てっ!」

追おうとした警官だが、倒れている亜美に気づき、駆け寄る。

「大丈夫か、君!」

ワンピースが血に染まっている亜美を抱える警官。

「亜美ちゃん!」

ジュリアが、病院着のままやって来た。

「亜美ちゃん!」

警官に抱えられているのが、亜美だと気づき、駆け寄るジュリア。

「知り合いか?」

警官が聞く。

「はい!」

ジュリアが警官を押しのけて、亜美を抱える。

「救急車呼んでください!」

ジュリアが叫ぶ。

「あ、今すぐ呼ぶから!」

慌てて連絡をする警官。

「ジュリアちゃん、怪我人なのに、出歩いちゃ、駄目でしょ・・・」

自分も怪我をしているのに、ジュリアの心配をする亜美。

「何を言ってるの!、こんな目に遭って!話さなくていいから、救急車が来るまで待ってて!」

ジュリアは、涙を流していた。

「のぎちゃんも、みんなも、私が、守る、か、ら・・・」

そう言って、動かなくなった亜美。

「亜美ちゃん!早く、救急車を早く!」

ジュリアは、必死で亜美の傷口を押さえ、出血を止めようとした。


「嫌あああああっ!」

乃菊は、悪夢で目が覚めた。

「どうした?」

国也も目を覚まし、乃菊を見た。

「亜美ちゃんが・・・」

乃菊は、正夢でないことを祈った・・・。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ