乃菊と国也参上!
「お侍さん、やめて下さい!」
乃菊がやって来た。
「のぎちゃん、待ってました!」
亜美にとっては、真打ち登場だ。
「なぜ、またこんなことするんですか?」
乃菊は、霧の侍を恐れず、近寄って行く。
「やっと来たわね」
遊里に乗り移っているいる恨み霊が、霧の侍の横で言う。
「乃菊、その女が原因らしい。その侍は、操られている」
国也が見破った。
「じゃあ、私たちの相手は、こっちの人なのね」
乃菊は、恨み霊を睨む。乃菊の肩の辺りから白い煙が立ち始める。
「私と闘う気ね。みんな見てるわよ」
恨み霊は、乃菊が正体を現すことが出来ないと思っていた。
「私は、私からみんなが遠ざかっても、皆を守るわ!」
すでに、この敵に対して、覚悟が出来ていた。
「忌々しい!殺してしまいな!」
恨み霊の声に、霧の侍が剣を乃菊に向ける。国也は、木の枝を拾う。
「お侍さん、こんなのに負けないで、正しいことをして!」
乃菊は、少し下がる。
「覚悟!」
霧の侍が振りかぶる。
「きゃっ!」
みおんたちが悲鳴を上げる。キーンッ!
「また邪魔をするか」
霧の侍の剣を止めたのは、勾玉と石のペンダントを手首に付けている国也だった。枝から出来た光る剣で霧の侍と対峙する。
「乃菊、下がってあの女の相手をしてくれ」
国也が霧の侍と、そして乃菊が恨み霊を相手にするのだ。
「のぎちゃん、おじさん、頑張って!」
亜美たちも、対決に息を呑む。
「おとうさん、ここみたいね」
真亜子が、運転席の最上に言う。
「乃菊ちゃんが、携帯持っていてくれて良かったわ。そうじゃないとここまで来れなかった」
真亜子が車から降りる。こんな田舎に、他の車も何台かあり、乃菊たちがいる場所に間違いはなかった。
「偶然会ったことにしておこう」
最上が真亜子に言う。
「はい。あっちだと思うから、行きましょ」
真亜子と最上が、林の方へ向かう。
「覚悟!」
国也が光の剣で、霧の侍を斬りつける。
キーン!ザッ!
霧の侍がそれを弾き、場所が入れ替わる。
「あの女を先に始末してしまおう」
恨み霊は、持っていたナイフを乃菊に向かって投げる。そのナイフとともに赤い煙も向かい、乃菊に命中させようとしている。
「危ない!」
みおんが叫ぶ。
シュッ!
乃菊の腕をかすめて、ナイフは通り過ぎたが、Uターンして戻って来る。
「乃菊!」
それに気づいた国也が、光の剣を乃菊に投げる。
「エイッ!」
受け取った乃菊が、ナイフを振り払うと、ナイフは地面に突き刺さった。
「おじさん!」
剣を失った国也が、霧の侍に切っ先を突きつけられている。
「早く、斬ってしまいなさい!」
恨み霊が叫ぶと、霧の侍が剣を振り上げる。
「国也様!」
乃菊も叫ぶ。
「うっ!」
霧の侍が、剣を振り上げたまま固まる。その周りに、乃菊と同じような大蛇のような煙が舞っている。
「なぜだ、なぜもう一つ、同じものが・・・」
恨み霊が驚いている隙に、乃菊が剣を振りかざしてやって来た。
「消えなさい!」
光の剣が恨み霊の肩をかすめた。
「あ、失敗!」
乃菊に剣術の経験がなく、恨み霊は軽い傷で退いた。
「何をしているの、その男を斬って、この女も始末しなさい!」
恨み霊が命令しても、霧の侍の反応がない。
「駄目か・・・」
霧の侍から、赤い煙が抜けて行き、恨み霊の所へ戻って行く。
「く、あんな者に操られてしまうとは・・・」
霧の侍は、膝をつく。
「元に戻ったんですね」
国也は、乃菊の所へ向かう。
「乃菊、それを・・・」
国也は、乃菊から光の剣を受け取り、恨み霊に向かう。
「お前だけは、許せない!」
国也は、光の剣を振り上げ、恨み霊に向かう。
「国也様!」
強い風が吹き、赤い煙が恨み霊を包むように、渦巻いている。
「今回は退散するが、またあの人と共に、必ずお前を葬ってやるから」
遊里に乗り移っていた恨み霊は、そのまま遊里とともに消え去った。




