表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/64

人質

神社を横目に、林の方へ連れられて行くジュリア。

「早く歩きな!」

そう言われても、傷が痛くて速くは歩けない。お腹を押さえながら、何とか前へ進むジュリア。

「こんなところで、何をするんですか?」

初めて来る場所に戸惑うも、ジュリアは、何か逃れる方法はないかと考える。

「黙って来ればいいんだよ」

遊里が向かう先に、石積みの墓がある。そして、その奥に・・・。

「ジュリア!」

墓の一番奥の木に、みおんが縛られている。

「みおんちゃん!」

ジュリアも、みおんまで掴まっていることに驚くが、そこにあの二人がいることにも驚いた。

「やっと来たわね」

あのダルビーのファンで、体格のいい久美と眼鏡の志穂である。

「この女も縛りなさい」

遊里の命令で、久美と志穂がジュリアをみおんの所へ連れて行く。

「あ、痛い!」

強く引っ張られたため、傷が痛むジュリア。

「ジュリア、どうしたの?怪我してるの?」

みおんは、ジュリアがお腹を押さえているのに気づく。

「遊里さん、どうしてこんなことするんですか?恨みは私にあったんでしょ、ジュリアは帰してください、怪我してるじゃないですか」

みおんは、必死で訴える。

「そんなこと言っても、私は、この女にと憑りついてるだけで、その女たちも私が操っているんだから、何を言っても無駄だよ。それに、そのくらいの傷で、死んだりしないよ。ただ、もっと後には、二人とも死んでもらうけどね」

みおんには、遊里が遊里でないのかどうかもわからない。

「じゃあ、あなたは?」

みおんが尋ねる。

「私は、向こうにある墓の主、恨み霊さ。この女たちは、この墓の侍に仇を討つように頼みに来た女たちだよ。私は、あの人に呼ばれて来たんだよ」

遊里に憑りついている霊が、自分の正体を言う。

「あの人、って?」

みおんが聞く。

「そんなことは知らなくていいよ。あの女さえ来れば、すべて片が付くから」

恨み霊は言う。

「あの女って?」

またみおんが聞く。

「今に来るからわかるよ」

恨み霊に憑りつかれている遊里が、不敵な笑みをもらす。


辺りに霧が立ち込めてきた。

「あいつが、来たな・・・」

恨み霊は、別の者も待っていたのだ。

「やはり、お前たちは、私を騙していたんだな」

霧の侍が現れた。

「よく来たね。待っていたよ。あんたがいないと、あの女を抹殺できないからね」

遊里に憑りついている恨み霊が言う。

「お前は、いったいお前は、何者なんだ」

霧の侍は、遊里が自分の所へ来た時の女でないことに気づいていた。

「いつも近くにいたのに、知らなかったんだね。私は、あんたのように馬鹿正直な霊ではないから、考えることは得意なんだ、よっ!」

恨み霊は、両手を広げて、赤い煙を出す。

「貴様は!」

霧の侍が、刀を抜いて構えたが、時すでに遅く、赤い煙に包まれてしまう。

「あははは、私は、人の恨みを肥やしにする、恨み霊なんだよ。恨みを持つこの女たちは、みんな私に支配されてるんだよ。だからあんたを呼び出したんだ」

勝ち誇ったように、恨み霊は笑う。

「う、ううっ・・・」

腰を落とす霧の侍。

「お前たち、何をしている!」

そこへやって来たのは、警察官の司馬田と加納、そして亜美だった。

「みおんちゃん、ジュリアちゃん!」

亜美は、二人の所へ走る。

「あの女より先に、小物が来たんだね」

恨み霊に憑りつかれた遊里も、久美と志穂も、霧の侍の後ろへ回る。

「お前たちが、あの殺人事件の犯人なのか!」

司馬田が前に出て、霧の侍たちに詰め寄る。

「司馬田さん、気を付けてください」

加納は、四人が只者でないことをわかっっている。

「大丈夫だ、俺は柔道の有段者だ。この人数くらいなら取り押さえられる」

司馬田にも伝えた方がいいだろう。両手を組み手を行うように構える。

「危険です!のぎちゃんも、そのお侍に斬られたんです!」

縛られているみおんが言う。

「な、何を、それ、それくらい・・・」

司馬田は、少しずつ後退する。

「か、加納!あの刀は、本物か?」

司馬田は、加納に聞く。

「たぶん」

加納が答える。

「司馬田さん、早く捕まえてください!」

亜美も、無神経に司馬田の応援をする。

「お前たちには、死んでもらう」

霧の侍が、刀を構えて、司馬田にジリジリ寄ってくる。

「どうしよう?」

司馬田は、加納に相談する。

「とりあえず、下がりましょう」

司馬田も加納も人質の所へ集まる。

「鉄砲でやっつけちゃえばいいでしょ」

亜美が言う。

「今日は休みなんだ。そんなもの持ってないよ」

司馬田は、ばつが悪そうに言う。

「何なの、役立たず!」

亜美は、遠慮がない。

「こうなったら、お前たちには、先に死んでもらって、あの女を待つよ」

恨み霊は、そう言って笑う。

「早く来て、のぎちゃん・・・」

亜美が期待するのは、もう乃菊たちだけである・・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ