表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/64

歌アワー20時

出番を待つ乃菊たちが、スタジオのセット裏に待機していた。

「こんばんは、歌アワー20時です。さて今日のゲストは・・・」

司会の津森が、番組のスタートとを告げ、セットの扉からゲストが登場する。

「派手な衣装とパワフルな演奏がが注目の、キャウォルのみなさんです」

アシスタントの局アナ、舞島遥がゲストを紹介する。

「名古屋で人気急上昇、初登場の大人少女23のみなさんです」

何組か後に、乃菊たちも紹介され、並んで登場した。

「最後は、今日話題の新曲を初披露する、ブルーバーンのみなさんです」

ダルビーたちがしんがりで登場し、津森と舞島を中心に、出演者たちが勢ぞろいした。


番組は進み、最後の二組となり、先にトーク席へ大人少女23のメンバーが並び、その後ろにブルーバーンのメンバーが座った。

「続いて、大人少女23、ブルーバーンのみなさんです」

アシスタントの舞島が、乃菊たちを紹介する。

「初登場の大人少女23のみんなには、自己紹介をしてもらおうかな」

津森からトークのバトンを渡され、隣にいたみおんから、自己紹介を始める。

「名古屋から来ました、大人少女23のリーダー、皆賀みおんです。初めての出演ですが、精一杯歌いますので、よろしくお願いします」

マイクを持ちながら、何とか最初の紹介を終えたみおん。手を横に差し出し、隣の真阿子に繋ぐ。

「鈴木真阿子です。緊張してますが、頑張ります」

いつも落ち着いた感のある真阿子も、緊張気味に話した。

「左島ジュリアです。よろしくお願いします・・・」

ジュリアは、気にしているダルビーの姿が視界に入り、続く言葉を失ってしまう。

「緊張してるんだね」

津森が言葉を入れる。

「あ、はい、緊張してます」

そう言って、ジュリアは下を向き、亜美をつつく。

「はい、今堂亜美です。津森さんに会えて、とっても嬉しいです!ファンなので、あとでサインください・・・」

ジュリアの分まで、元気に自己紹介しようとした亜美、つい余分なことまで言ってしまい、周りから笑いが起こる。

「私のファンですか、サインあげましょう」

調子に乗る津森。

「あ、すみませんでした。今日は、仕事でした・・」

また余計なことを言ってしまい、津森の苦笑いを見て、顔を赤くする亜美。

「で、最後は・・・」

津森が乃菊の顔を見る。

「菊野乃菊です。みんな同い年です」

乃菊が簡単に自己紹介して締めくくる。

「へえ、みんな同じ年なんだ。大人っぽい子もいれば、子供っぽい子もいますよねえ」

津森が、手に持った資料を見ながら話す。

「実は、それがグループ名の由来みたいなもので、結成当時、みんな23歳で、大人の魅力と子供の愛くるしさを併せ持つというコンセプトで、大人少女23なんです」

ここは、打ち合わせ通り、真阿子が説明した。

「じゃあ、リーダー、東京進出の意気込みは?」

津森が、隣のみおんに聞く。

「あ、はい。私たちは、名古屋で生まれたグループですが、地元で応援してくれてるファンにも、そして、初めて私たちを知る全国の皆さんにも、元気な姿で歌う私たちを見てもらいたいと思っています」

緊張しながらも、みおんが一生懸命意気込みを伝えた。

「真面目に答えてくれてありがとう。それにしても、名古屋にもこんなに奇麗で可愛い娘さんたちがいるんですねえ」

津森が、改めてメンバーの容姿を見ながら言う。

「名古屋にだってかわいい子はたくさんいますよ。私は、名古屋出身じゃないけど・・・」

名古屋いじりをした津森に、乃菊がつい噛みついてしまった。

「乃菊ちゃんだったよね、じゃ、出身は何処なの?」

乃菊は、余計なことを言うと、さらに名古屋いじりをされるんじゃないかと思った。

「日本です」

周りから笑いが起こる。

「じゃあ、乃菊ちゃんは、日本人だね」

津森に軽くあしらわれた乃菊。我慢して横を向く。

「ところで菊野さんは、大怪我をされたそうですが、もう大丈夫なんですか?」

舞島が話題を変えた。

「はい、大丈夫です」

言葉短めに答える乃菊。

「そういえばダルビー君。この子たちと、合コンをしたという情報があるんだけど・・・」

ダルビーもブルーバーンのメンバーも、急に話を振られて動揺する。

「合コンなんてしてないです!」

みおんが、あわてて否定する。

「ジュリアちゃん、そうなの?」

津森は、大人しくしているジュリアに聞く。

「え、合コン、なんて・・・」

ジュリアは、平常心ではなかった。

「津森さん、勘弁してくださいよ。合コンなんかじゃなくて、一緒のライブの後、名古屋の後輩と打ち上げをしただけすよ」

ダルビーが事実を伝える。他のメンバーも頷いた。

「そうなのかい、面白くないねえ」

津森はそう言いながら笑う。

「それでは、大人少女23のみなさんから、曲を披露していただきますので、スタンバイお願いします。先ほどもお話ししましたが、菊野さんは、怪我の後と言うことで、椅子に座ってのパフォーマンスとなります」

舞島の進行で、乃菊たちは移動する。


「なんであの女が、私たちのダルビーさんと一緒に出るのよ」

体格のいい女が、缶ビールを口にしながら言う。

「そのうち天罰が下るわよ。私たちが何年追っかけやってると思ってるのよ、あんな女に横取りされるなんて、絶対許せないんだから・・・」

ソファで横になり、テレビを見ながらさきいかをつまむ、眼鏡の女。

「今度、彼の前をうろついてたら、ただじゃおかないわよ」

空いた缶を握りつぶす、体格のいい女。


生放送が終わり、東京発進出を終えた大人少女23の一行は、早速、最終の新幹線に乗り込んでいた。

「私たち、全国区になっちゃったのかなあ」

亜美が笑顔で言う。

「まだだよ。これから何度も呼ばれなきゃ、東京へ行っただけってことでしょ」

ジュリアは、浮かれていない。

「でも、放送局の外にファンの人がいたじゃない、少しだけど・・・」

その光景を、思い浮かべながら言う亜美。

「まだ、調子に乗っちゃいけないよ」

やっぱり慎重なジュリア、いつもと違う。

「ところで、どうして帰りも、のぎちゃんの横じゃないんですか!」

思い出したように、立ち上がって悔しがる亜美。

「私が横じゃ不満なの?」

いつものジュリアだ。

「いえ、光栄です・・・」

亜美は、座ってお菓子を食べ始める。


「のぎちゃん、疲れてない?」

真阿子は、隣でウトウトしだした乃菊を見て、自分のジャンパーを乃菊の膝に掛ける。

「うん、ちょっとね。真亜子先生は、私の身体の調子がわかるみたいね」

乃菊は、ジャンパーの中に手を入れる。

「そりゃあ、乃菊ちゃんのことは、私なりにグループに入ってから、ずっと見てたんだから・・・」

実際真阿子は、他のメンバーほど乃菊との交流はなかったが、ことあるごとに、気を配ってくれていた。

乃菊にとっても、真阿子の存在は、不思議と身近に感じていたのだった。

「なのに私は、怪我ばかりで、いつもみんなに迷惑かけてるね・・・」

乃菊はうなだれる。

「迷惑なんて、誰も思ってないよ。乃菊ちゃんの存在があるだけで、みんな幸せなんだよ」

真阿子は、そう言って、ジャンバーの下の乃菊の手を握る。

「肩、使っていいよ・・・」

真阿子は、乃菊の頭を自分の肩に寄せる。

「ごめんね・・・」

乃菊は、真阿子の肩に頭を乗せ、目を閉じる。

「いいんだよ、乃菊ちゃんは、みんなを守るために一緒にいてくれてるんだから・・・」

真阿子は、目を閉じている乃菊の顔を眺めながら、心の中で呟く。

「何か言った?」

乃菊は、目を閉じたまま聞く。

「何も言ってないよ。いいから着くまで寝てなさい」

真阿子は、乃菊の頭を優しく撫でる。

「何だかお姉ちゃんみたい・・・」

一人っ子の乃菊は、姉妹のような暖かさを感じているようだった。

「乃菊ちゃんの方が、誕生日早かったでしょ」

目を閉じたまま微笑む乃菊。ジャンバーの下の真阿子の手を両手で握り、その温かさを深く感じる。

「そうだったかなあ・・・」

そのまま眠りにつく乃菊。

新幹線は、乃菊たち大人少女23の一行を乗せ、国也たちの待つ名古屋へと走った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ