表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/64

依頼者を捜せ

国也に調査を依頼された加納は、一先ず警察署へ行き、知り合いの警察官、篠崎に会った。

「何か情報でも持って来てくれたのかな?」

篠崎は、いつものように気軽に話しかけてくる。

「情報を教えてほしいのは、こっちだよ」

ソファに座った篠崎は、煙草をくわえながら、ポケットからライターを探す。

「事件に関して話すことは出来ないな。・・・昨日のことだろ」

記者の加納がわざわざ自分の所へ来るのは、特別な事件の時が多く、察しがついていた。

「言えることだけでいいよ。アイドルの方じゃない方から・・・」

加納は、手帳を取り出し、メモする準備を整える。

「首を刎ねられた方ね。新婚さんで、旅行から帰って来たばかりだったみたいだ」

加納も、それくらいは知っている。

「目撃者は?犯人の目星は?」

矢継ぎ早に質問をする。

「全く無しだよ。コンビニのすぐ近くだったのに、誰一人目撃者がいないんだ」

煙草をふかしながら、篠崎は話す。

「旦那が犯人じゃなのかい?」

加納は聞いてみる。

「それがだな・・・」

篠崎は、身を乗り出し、小声で話し出す。

「旦那がコンビニを出てすぐに、悲鳴が聞こえて、コンビニの店員が飛び出して行ったら、旦那が腰を抜かして、奥さんの遺体の前にいたんだ。遺体に頭がないのを見て、店員も腰を抜かしそうになったそうだが、急いで警察に知らせたんだよ。状況から、犯人が旦那でないのが明らかなのは、奥さんを残してコンビニへ入った旦那が外へ出て悲鳴を上げて、店員が二人の前に行った時間を考えても、あの犯行は無理だから。それに、返り血も浴びてないし、凶器自体が見つかってないし、持って歩けるようなものじゃ、人間の首を刎ねることは、どう考えても不可能だよ」

メモをする加納。

「コンビニ周りなら、防犯カメラがあるでしょ。何か映ってないの?」

一度ソファにもたれ掛かっていた篠崎が、再び身を乗り出してきた。

「それが、不思議なことに、その時間だけ霧が出ていたんだ」

ペンを持つ加納の手が止まる。

「霧?そんな天気じゃなかったでしょ・・・」

篠崎は、腕を組む。

「そうなんだよ。だから行き詰まってるんだよ、そっちは・・・」

今度は、加納が身を乗り出す。

「そっちは、って?」

加納がそう言うと、篠崎は、加納の顔を凝視する。

「お前、大人少女23の子と知り合いみたいだな・・・」

話題が自分のことに変わり、戸惑う加納。

「あ、まあ、知り合いの知り合いみたいな・・・」

篠崎がニヤリと笑う。

「まあいいや。それで今度は、アイドルの方なんだ」

また事件の話に戻り、ホッとする加納。

「怪我をしなかったメンバーの、あー、なんて言ったっけ?」

知っているだろうに。

「皆賀みおん・・・」

加納は、答える。

「そ、そう、その女の子だ。その子の話では、侍のような格好の男に、乃菊ちゃんが斬られたそうだ」

そっちは、ちゃんと知ってるんだ。

「馬鹿げた話なんだが、それが、つじつまが合ってしまうんだよ。もし、新婚の奥さんの首を刎ねたのが、刀だとしたら、乃菊ちゃんの斬られた跡も、刀だとしたら・・・。お前、何か聞いてないか?」

こっちに聞くな、と加納は思う。

「じゃあ、刀を持ってる人間を捜せばいいんじゃないの・・・」

当たり前のことをいう加納。

「そんなに簡単じゃないよ・・・。みんな動いてるけど、目撃者が全くいないんだ。落ち武者の幽霊でもあるまいし、人の首を刎ねるなんて、今の世の中であり得るかよ・・・」

刀を振り回すような犯罪自体は、時々起こっているようだが、警察の中では、状況が不可思議で、手掛かりが無さ過ぎる事件のようで、迷宮入りを危惧する声もあるようだ。

「ところで、菊野乃菊ちゃんとも知り合いか?」

加納は、答えずに警察を出た。


同じ人物が、赤の他人の二人を狙った。これは、それぞれを恨むものが、一人の人物に殺しを頼んだ、と考える方が自然なのだろう。そして、その人物が常人ではないということ。それが、乃菊の周りで起こる事件の常である。

加納は、そんなことを依頼出来る方法があれば、事件解決の糸口になるのではないかと考えた。

しかし、暗殺者と言うような現代の話ではなく、侍に依頼出来る方法。

「加納さん、何調べてるの?」

亜美が、父親の書斎でパソコンを開いている加納に尋ねる。

「都市伝説だよ・・・」

腕を組んで考える亜美。

「知らない?」

加納は、横目で亜美の様子を見ながら聞いてみた。

「し、知ってますよ!東京のことでしょ。ぺ、北京とか、ロンドンとか、そこで有名だった人の、歴史、って言うか、そのお・・・」

亜美は、頭の中の知識をフル回転して、答えを出そうとしている。

「首都でもないし、伝記でもないよ。知ってるとは思うけど、ネットとか巷で噂されてる、本当のことかどうかもわからない物語と言うか、出来事みたいなことを、都市伝説って言うんじゃないかな・・・」

話しながらも、ネットを検索する加納。

「ああ、その都市伝説ですか・・・。で、どうして調べてるんですか?都市伝説・・・」

覗き込む亜美。

「これは、どうかな?」

いろいろな都市伝説の事例を集めたサイトがあった。

「なんだか、怖い話ばかりみたいですね・・・」

亜美は、加納に体を寄せる。

「ん?・・・」

矢印がある項目で止まった。

「敵討ちを頼む・・・墓?」

亜美が読んだ。

「これだ」

クリックする。

「岐阜県だよ。近いね・・・」

加納は、画面を見ながら頷く。


「痛いよお・・・」

その言葉で、みおんは、目を覚ました。

「のぎちゃん、どこが痛いの?」

みおんは、乃菊の手を握り、確認する。

「・・・」

乃菊は、目を閉じている。寝言のようだ。

「良かった。でものぎちゃん、痛いのに無理して平気な顔してるのかな・・・」

みおんは、責任を改めて感じる。

「駄目よ!斬るなら私を斬って!」

寝ている乃菊が叫んだ。

「のぎちゃん!」

みおんが乃菊の肩を掴むと、急に乃菊が起き上がった。

「彼女を傷つけたら私が許さない・・・」

そう言うと、乃菊の目がワニの目のように細くなり、じろりと睨んだ。

「のぎちゃん!」

みおんは、思わず乃菊の顔を引き寄せ口付けをした。

「・・・」

しばらくすると、乃菊の身体から力が抜けた。みおんは、乃菊の頭を支えながら寝かせる。

「ごめんね、のぎちゃん。私のために・・・」

みおんは、乃菊の変わった姿にも、驚きはしても、恐怖はなかった。ただ、乃菊を鎮めるためにみおんなりの対応をしただけだった。

「う・・・、お腹空いた・・・」

また寝言だった。

「のぎちゃんたら・・・」

乃菊の寝顔を見ながら、みおんは、微笑む・・・。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ