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誰かが・・・

「ああ、人が一杯だあ・・・」

改札を抜けて階段を下りると、ホームには多くの人が電車を待っていた。

「私、大丈夫かなあ・・・」

国也が仕事で家に帰り、乃菊は、テレビの仕事のために、みおんと待ち合わせて、地下鉄移動の最中だった。

「私、二日酔いみたい・・・」

最初の電車は、混んでいたのでやり過ごし、次の電車を待ちながら、乃菊は、しゃがみ込んだ。

「珍しいね、そんなに飲むなんて・・・」

みおんは、察しがついているから、余分なことを言わない。

「人がまた多くなったね。あんまり人が多いと、ううっ、吐きそう・・・」

乃菊は、立ち上がる。

「もうそろそろ来るから、頑張りな」

列の先頭に立っていた二人。周りに電車を待つ客たちが、列から溢れていた。

「来た来た!」

みおんは、乃菊の肩を抱く。

「キャッ!」

電車がホームに入ってくる瞬間、みおんが押された。

「みおん!」

乃菊がすぐに手を掴んで引き寄せ、大事に至らなかったが、乃菊は、すぐに周りを見る。

「う、後ろから押されたんだ」

すぐ後ろにいた男が、顔色を変えて言い訳をする。

「のぎちゃん、乗ろう」

みおんが何事もなかったかのように、乃菊を乃手を引き、停まった電車に乗り込む。

「満員だから、わからないと思ってるんだわ・・・」

乃菊は、乗りこむ最中にも、後方から目を離さない。

「のぎちゃん、ありがとう、危ないところだったわ。混雑している時は、気をつけなきゃね」

乃菊は、みおんの手を離さない。すぐに扉が閉まって、電車は走り出す。乃菊にとって、親友のみおんに手を出す者は、誰であっても許すことが出来ない。

「あっ!」

乃菊は、通り過ぎるホームに立つ女に目が止まる。知らない女だが、確かにみおんを睨んでいる。

「あのね、みおんちゃんを睨んでる人がいたの」

乃菊は、亜美の電話の言葉を思い出した。

「混んでるね。・・・のぎちゃん?」

みおんは、いつまでも鋭い目つきで、窓の外を見ている乃菊の肩を、ちょんちょんと指で突く。

「のぎちゃん、変な関係に思われちゃうよ」

いつまでも手を握っている乃菊に、冗談を言ってみる。

「あ、そうだね。でも、変じゃないでよ、二人は、仲良しなんだから・・・」

乃菊は、相変わらず窓の外を見ている。

「あの女の人は、誰?」

乃菊は、みおんに尋ねる。

「誰のこと?」

みおんには、乃菊の言っていることが理解できない。

「あ、何でもない。もう、走ってるんだ・・・」

誰でもわかるはずだが・・・。

「もう、酔いが醒めたの?」

みおんが聞く。

「あ、そうだった。・・・気持ち悪い、吐きそう・・・」

乃菊は、お腹と口を手で押さえ、扉にもたれ掛る。

「頑張れ!」

今度は、みおんが乃菊の手を握る。


「もしもし国也様。うん、大丈夫。昨日は、ごめんなさい。ん?うん、ちょっと気になることがあって・・・」

トーク番組の収録で、IMEテレビにみおんとやって来た乃菊は、打ち合わせ後に、ロビーで国也に電話をしていた。

「そうなの、みおんを故意に突き落そうとしたみたい。何だか、また縁を切らなきゃいけないことが、身近にあるような気がして・・・」

乃菊は、昨日までの苛立ちを反省して、国也に謝り、今日の出来事を報告した。

「あ、もう始まりそうだから、帰ったら話します。国也様・・・、愛してる・・・」

乃菊は、携帯電話にキスをして、電話を切った。

「のぎちゃん、始まるみたいだから、スタジオに行こう」

みおんが迎えに来た。

「国也さんに、ラブコール?」

みおんが乃菊の耳元で言う。

「そうだよ!」

乃菊は、隠さないで即答。

「仲直りしたんだ!」

みおんは、からかうように言う。

「最初から、喧嘩なんてしてないよ、大好きだもん!」

乃菊は、虚勢を張る。

「誰が、大好きなの?」

乃菊とみおんの間に割り込んできたのは、IMEテレビの女子アナ、北辺トモ子だ。

「乃菊ちゃん、ホントは、付き合ってる人、いるんじゃないの?」

“土曜っと情報カップ”で司会をしている北辺は、乃菊とみおんが出演するトーク番組の司会でもある。

「違いますよトモ子さん。メンバーが大好きだって、ことです・・・」

乃菊は、話をすり替える。

「そうですよ、のぎちゃんが亜美と喧嘩したけど、仲直りしたって、そういう話です・・・」

みおんも取り繕う。

「ホントかしら・・・?まあいいけど、今日は、いいコメントで私を助けてね」

乃菊たちは、北辺たちIMEテレビの女子アナとは、ずっと交流があり、年齢を越えて仲良しなのだ。

「先輩、私たちこそ、よろしくお願いします。そうだ、のぎちゃん二日酔いだから、期待できないかもしれませんよ」

北辺は、乃菊の肩に腕を回し、臭いをかぐ。

「んー、相当飲んだわね。これじゃ、期待できないかな?」

北辺は、手帳を取り出しメモを取るふりをする。

「私、大丈夫ですから。一生懸命考えていいコメントしますから」

乃菊は、必死にアピールする。

「乃菊ちゃんは、考えなくていい・・・」

北辺が言う。

「わかった!のぎちゃんの天然コメントがいいんですよね」

みおんが言う。

「何よ、天然って!」

乃菊が怒る。

「あら、正解よ。乃菊ちゃんは、ありのままでいいのよ・・・」

北辺とみおんは、二人で頷く。

「何よ、二人とも!天然じゃないよ、私!」

北辺とみおんが早歩きになる。

「天然て、悪いことじゃないよ」

振り返って、みおんが言う。

「そうよ。天然記念物って言うのもあるじゃない」

北辺も言う。

「んん、そうかなあ・・・。違う!ちっとも褒め言葉じゃないよ!」

乃菊は、立ち止まって考えたが、すぐに二人を追いかける。

「乃菊ちゃん、よろしく!」

北辺が、先にスタジオに入る。乃菊は、待っていたみおんのお尻をつねって、スタジオに入って行く。

「おはようございます!」

乃菊とみおんは、元気よく挨拶をする・・・。


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