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ジュリアの本心

「ダルビーさんが、君のことを気に入ってるみたいだね」

国也は、乃菊の寝ている横で、向こう側に居るジュリアと話をする。

「私もビックリなんだけど、でも、私の方がファンなんだけどな・・・」

ジュリアは、自分が好かれていること自体が、おこがましい思いなのだ。

「両想いなんだね」

ジュリアが首を振る。

「そんなことありえない。彼と私じゃ、世間が許さないですよ」

必死に本心を押し殺そうとするジュリア。

「僕は、ステージの上ではない二人は、凄くお似合いだと思うよ」

国也は、本音で話す。

「嬉しい言葉だけど、やっぱり私じゃ、釣り合わないよ・・・」

淋しそうな表情を見せるジュリア。現実を見つめると、自分とダルビーには、余りにも大きな距離があるように思えているのだろう。

「ジュリアちゃんて、ホントは、凄く繊細なんだね」

国也は、控えめなジュリアの心に触れて、改めて大人少女23のメンバーが好きになった。

「おじさんて、やっぱり、優しい人だね。気軽に話が出来る懐があるって言うか、そんなんじゃ、菊野ちゃん以外の人からも好かれちゃうよ」

ジュリアは、国也のの顔を見る。

「僕は、普通に接してるだけで、なんて言うか、好きとか嫌いとかで、人を見たくないだけだよ」

国也は、事実乃菊以外の女性を、恋愛感情で接したことがない。

「じゃあ、私が迫っても、その気にならない?」

ジュリアは、イタズラっぽく言ってみる。

「そ、そんなこと、考えるだけでも間違ったことだよ!」

すぐにムキになるのは、国也の欠点でもある。

「あああ、チャンスなのにな。今の私なら、ふらついちゃうかも・・・」

ジュリアは、自分の布団から、乃菊越しに、国也を見つめる。

「こ、こら、大人をからかうのは、よせ!」

国也は、真顔で言う。

「やっぱり、おじさんだ。みんなに好かれるのは、菊野ちゃんと同じだね。でも、おじさん。菊野ちゃんだって、繊細なんだよ。あなたたちは、夫婦なんでしょ!」

急に説教か?国也は、当然頷く。

「だったら、もっと菊野ちゃんに気を配ってあげてよ!」

何だか急に怒り出したジュリア。

「気を使ってるつもりなんだけどなあ・・・」

その言葉に、カチンときたジュリア。

「つもりじゃ、駄目なんだよ!おじさん、菊野ちゃんを抱いてあげた?」

大胆なお言葉である。

「そ、それは、彼女は、アイドルだし・・・」

国也は、言葉に詰まる。

「そこなのよ、おじさんの行けないところは・・・」

ジュリアの説教は続く。

「そんなことは、わかって結婚したんだから、何を今さら言ってるんですか。女は、好きな人に抱かれて幸せになるのよ。初夜に何もなかったなんて、女にとっては、自分を否定されたようなものなのよ。それを自分本位に気を使ってる気になって、式だけ挙げれば、喜んでくれるなんて思ってるんだったら、おじさんは、男として失格だよ」

国也には、キツイ話しである。しかし、ジュリアにそう言われて、自分が気遣っているつもりのことが、乃菊にとっての気遣いでないことを、今になって知る国也である。

「私、外に出るから、今から抱いてあげなさい。酔っぱらって寝てても、身体は、求めているものよ・・・」

ジュリアは、そう言って部屋を出て行く。

「そう言われても・・・」

取り残された国也は、乃菊のそばに寄ってみる。

「お酒臭い・・・。そんなに飲んじゃったんだ・・・」

国也は、自分の罪を感じて、乃菊の手を握る。

「んんん・・・」

乃菊が、握られた手を引っ張る。国也は、引かれるままに乃菊の横に寝た。

「・・・」

国也は、乃菊に口づけをする・・・。


「起きてたんだ、ジュリアちゃん・・・」

カウンターに一人座っているジュリアのところへ、ダルビーがやって来た。

「ちょっと眠れなくて・・・」

ジュリアは、少し緊張する。

「何か飲むかい?」

ダルビーが、反対側へ回って、グラスを用意する。

「あの、御面倒かけては、申し訳ないです」

ジュリアは、そう言ったものの、せっせと準備するダルビーを見て、それ以上言わなかった。

「3人部屋じゃ、狭かった?」

飲み物を準備しながら、ダルビーが聞く。

「そんなことないです。おじさんとも話してたし、気にされることは、何もないです」

ジュリアは、心配させないように答える。

「おれとも、もっと気楽に話してよ」

ダルビーの本音である。

「無理です。私なんかが、ダルビーさんとお友達になること自体、許されることじゃないです」

ダルビーは、そう言うジュリアの前にカクテルを出し、また回って、ジュリアの横に座る。

「そんなこと言うなよ。俺は、本気で君が好きなんだ!」

ジュリアは、眼を丸くしてダルビーを見る。

「・・・」

ジュリアは、立ち上がり、そのまま外へ出る。

「ごめん、余計なこと言ったかな・・・」

ダルビーも外へ出て来た。

「違います。ちょっと外の空気が吸いたかっただけです・・・」

ジュリアは、腰を下ろす。

「ちょっとだけでいいから、考えてくれよ。出来る限りここに寄って、君と話をするからさ・・・」

ダルビーは、スターの割に謙虚な性格である。

「そうしてください。私もダルビーさんの勘違いだって、ちゃんと見極めますから・・・」

その言葉に、ダルビーは、何かを言いたそうだったが、ジュリアの気持ちを考えて、ここは控えた。

「人に見られるから、中へ入りましょ」

こんな深夜に、人通りはないが、ジュリアは、ダルビーの背中を押して店の中へ入った。


「あの二人にも、縁切りと、縁結びが必要なのかな・・・」

トイレに行った帰りに、店の奥から様子を見ていた国也は、久しぶりに、世話好きの虫が現れたようだ・・・。


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