表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/64

縁結び?

「どうして、あなたなんかが彼を奪って行くのよ!」

顔の見えない女が、ナイフを握って近づいて来る。

「言ってる意味がわかりません。彼は、ずっと私といたんです」

みおんは、後ずさりする。

「あなたさえいなくなれば、あなたさえ・・・」

みおんは、ビルの壁に背をつけ、もう後ろへは行けない。

「死んでちょうだい!」

ズッ!

「うっ!」

みおんの腹に、顔の見えない女の握るナイフが、深く刺さった。

「嫌、やめてください。私たち、結婚したばかりなんです・・・」

涙を流し懇願するみおん。壁にもたれ掛かったまま動けない。

「それも、今日で終わりよ」

ズッ!ズッ!

「や、やめて・・・」

みおんは、膝の力が無くなり、腰を落とした。

「早く、彼の前からいなくなりなさい・・・」

顔の見えない女は、苦しがるみおんの止めを刺すべく、みおんの首に向かってナイフを振った。


「キャッ!」

ソファから落ちそうになったみおんは、床に手をついて起き上がった。

「ああ、なんだ、夢だったんだ、良かった・・・」

ピンポーン!

「羽流希さんだ!」

みおんは、立ち上がって玄関へ向かう。

「お帰りなさい!」

みおんは、チェーンを外して扉を開ける。

「ただいま・・・」

出張帰りの田沢が玄関に入って、扉を閉めて振り向くと、みおんが飛びついて来た。

「羽流希さん、ずっと一緒だよ・・・」

あまりにもきつく抱きしめるため、田沢は、前に進めない。

「どうしたんだ、みおん?さあ、お土産だよ」

それでもみおんは離れない。

「先に、キスして」

みおんは、首に巻きつけた手を離し、半歩下がる。

「よしよし・・・」

田沢は、顎を上げているみおんの口に、そっとキスをする。

「ほら、おがた家の牛丼だよ」

いつもは寄れない、駅前のおがた家に、みおんの好きな牛丼を、寄って買ってきたのだ。

「お風呂先にする?」

みおんが聞く。

「お腹すいてるだろ、先に食べよう」

さっきまでみおんが居眠りしていたソファに座り、テーブルにお土産を置く。

「デザートも買って来たよ」

田沢は、仕事で疲れているみおんを気遣って、時々家事を減らしてくれる。

お土産は、そのためなのだ。

「缶チューハイでいいよね」

みおんは、キッチンで手を洗い、冷蔵庫から飲み物を取り出す。

「何かあったのか?玄関で急に抱きついたりして・・・」

田沢は、ちゃんと気になっていた。

「何でもない。たまにはいいでしょ、新婚らしくて・・・。それより、手を洗って、うがいをしてください!」

心配させたくなくて、あえて夢の話はしなかった。

「わかりました、奥様・・・」

田沢もキッチンへ行き、手を洗う。

「みおん・・・」

今度は、おぼんを持って行こうとするみおんを、田沢が後ろから抱き締めた。

「愛してる?」

みおんが聞く。

「愛してるよ」

もう一度二人は、キスをした・・・。


「あ、来てたんですか、ダルビーさん!」

ジュリアが、奥から出て来た。

「やあ、久しぶり・・・」

ダルビーが緊張気味に挨拶をする。

「あ、こちらは・・・」

ジュリアが、国也にダルビーを紹介しようとする。

「今、話をしてたところだよ」

紹介は、もう必要がない。国也が、ジュリアの言葉を遮る。

「うん、いろいろとジュリアちゃんのことを聞いてたんだ」

ダルビーが笑顔で言う。

「私のこと?おじさん、余計なことを言わなかったでしょうね?」

ジュリアが、そう言いながら、国也の隣へ座る。

「褒めてただけだよ」

国也も少し飲んでいたが、もうすっかり醒めている。

「本当ですか、ダルビーさん?」

ジュリアが、国也越しに聞く。

「そうだよ、何か気にしてることがあるのかい?」

ダルビーも、国也越しに聞き返す。

「ないです・・・」

ジュリアが、瑞恵から出されたチューハイを飲む。

「それよりおじさん!菊野ちゃんを泣かせないでしよ。怒ったり、泣いたり、大変だったんだから、眠るまで添い寝したんだよ」

ジュリアが捲し立てる。

「何も泣かせるようなことしてないけど・・・」

国也には、身に覚えがない。

「やっぱり、大野さんと乃菊ちゃんは・・・」

ダルビーも瑞恵も、直感が当たったのではないかと思った。

「え、あ、違うんです!おじさんのところの仕事で、いろいろあったから・・・」

ジュリアが、苦し紛れに話をすり替える。

「あっ、そうか、この前、うちの仕事で失敗したから、つい怒っちゃった時のことか・・・」

国也もその話に乗り、二人の疑念をかわす。

「ただでさえ、あっちもこっちもで、大変なんだから、菊野ちゃん。気をつけないと辞めちゃうぞ」

ジュリアは、すり替えた話で、国也を叱る。

「わかりました。気をつけます・・・」

しかし、国也には、本当の理由がまだわかっていない。

「そうだったんですか・・・」

ダルビーも瑞恵も、一応二人の話を信用した。何とかかわした国也とジュリアは、二人でホッとする。

「でも、どうしてわざわざ、大野さんのところで働いているんですか?アイドルだけで充分なのに・・・」

また難題を突き付けるダルビー。

「そ、それは・・・。あの、彼女、ああ見えて、古いタイプの考えを持ってて、何と言おうか、一宿一飯の恩義って言うような考えがあって、そもそも、アイドルになる前に、住み込みで働いていたから、着物が好きなんですよね・・・」

まあ、そんなところでしょう。ジュリアも納得する。

「ところで、僕が間でない方がいいんじゃない?」

国也は、さっきから、ダルビーとジュリアの間に居ることが、窮屈でたまらなかったのだ。

「そんなことないですよ、おじさん、気にしないで・・・」

ジュリアは、そう言うが、国也には、二人の間の空気を感じていた。

「それに、どこかのホテルにでも泊まらないといけないから、もうそろそろ・・・」

国也は、立ち上がろうとするが、ジュリアが腕を掴んで引き止める。

「それじゃあ、私も・・・」

ジュリアは、思ってもいないことを言う。

「どうして、ジュリアちゃんは、ダルビーさんと話をしなくちゃ!」

つい、大きな声で言ってしまう国也。

「おじさん・・・」

ジュリアは、恥ずかしそうにして、国也の腕から手を離さない。

「今日は、そのまま泊まっていけばいいわ。あの様子じゃ、もう起きられそうもないから」

瑞恵が国也に言う。

「そうだ。今夜は、何とか、この二人の縁を、少しでも強く結ぼう・・・」

国也は、二人の間に座ったことで、自分の使命と考えようとする。

「いいんですか?」

国也は、一応すまなさそうに言う。

「でも、一部屋だけなんだけど、大丈夫かしら」

一応、気を使う女将。

「おじさんなら、心配いりません。私も菊野ちゃんも、相手にしませんから」

それでも気を使ってるつもりか、とジュリアを見る国也。

「ジュリアちゃんも、停まってくだろ?」

ダルビーが言う。

「はい。だから、おじさんと菊野ちゃんが、二人だけじゃ、心配ですから」

さっきは、心配いらないと言ったじゃないか、と国也は思う。

「家に電話しなくちゃ・・・」

調子のいいジュリアである。

「お母さん、心配しないかしら・・・」

瑞恵の方は、ちゃんと気を使う。

「菊野ちゃんと一緒だって言えば、大丈夫です」

早速、電話をかけるジュリア。

「ご迷惑をお掛けします・・・」

国也は、みんなの分も頭を下げる・・・。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ