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亜美からの電話

「もしもし、のぎちゃん。亜美ちゅあんでうぇーす!」

亜美からの電話だった。

「あ、国也ですけど・・・」

なぜか電話に出たのは、国也であった。

「どうしておじさんが、のぎちゃんの電話に出るの!恥ずかしいから、今の、聞かなかったことにして!」

恥ずかしがっている亜美。

「申し訳ない。乃菊ちゃんは、寝てるんだ・・・」

国也が答える。

「えっ、何処で?病気?」

すぐに乃菊の心配をする亜美である。

「何処でって、自分の部屋だよ。寝てるから、僕が電話番してたんだ」

状況説明をする国也。

「一緒に寝てるの?」

亜美が小声で言う。

「何言ってるんだよ!ぼ、僕は、自分の部屋にいるよ・・・」

歯切れの悪い返事をする国也。

「別にいいんだよ、一緒にいたって・・・」

意味深に言う亜美。

「ち、違うってば・・・。ところで、何か用だったの?」

話しをすり替えようとする国也。

「用って・・・。そうだった、おじさんでもいいか・・・」

亜美は、ロケでの出来事を話し始める。

「今日は、みおんちゃんと一緒のロケだったよね」

国也も、乃菊のスケジュールを見ているから、他のメンバーのこともおおよそ把握している。

「うん、都代田の朝市に行ったんだけど・・・」

友達のように話す亜美。

「朝早くからだったね、御苦労さま・・・」

労う国也。

「それでね、凄い目つきでみおんちゃんを睨んでる人がいたの・・・」

亜美の話し方が変わる。

「睨んでるって、またストーカーみたいなのかい?」

国也も真剣に聞きだした。

「んんん、女の人で、何だか恨みでもあるような目つきだったの・・・」

見た通りに話をする亜美。

「恨みでもあるようなって、気のせいじゃないの?」

一応疑ってみる。

「何よ、その言い方!私の目は確かなの!あの目は、人を恨んでる時にする目付きなの!みおんちゃんだって、視線を感じるって、言ってたんだから、もう!」

ふくれっ面になっている亜美の顔が、すぐそこに見えるようである。

「ごめん。信じないわけじゃなくて・・・」

すぐに謝る国也。

「私は、のぎちゃんがいない時、他のメンバーを守るつもりで、悪人がいないかどうか、いつも目を光らせてるんだから!」

今度は、胸を張っている姿が見える。

「わかったよ。それでも、亜美ちゃんも気をつけなよ。何かあったらすぐに知らせてくれれば、僕と乃菊ちゃんもすぐに行くから」

本当に心配である。大人少女23のメンバーは、乃菊だけでなく、みんな友達のような関係だから、国也も無関心でいられない。

「私は、大丈夫です。人に恨まれるような女の子じゃありませんから」

また胸を張っているのだろう・・・。

「でもね、恨みって言うのは、必ずしもいい人だからって、買わないわけじゃないよ。自分の知らないところで、恨みを持つ人がいるかもしれない。みおんちゃんだって、恨まれるようなことをする子じゃないけど、逆恨みみたいなこともあったから、亜美ちゃんも油断しちゃいけないよ」

国也も、それなりに真剣な話をする。

「はい、わかりました・・・」

さっきまでの威勢のよさが消えた。

「ところで、今日は、加納さんに会ったの?」

元気がなくなってしまった亜美のために、国也は、話題を変えてみた。

「何ですか、急に!やだ、今日は、忙しいって、ちょっとだけ顔を出しただけです!」

会ったんだ・・・。

「ちょっと話をしただけですよ!あ、お茶は飲んで行きましたけど、まだ私の部屋には、入れてません!」

そんなこと聞いてない・・・。

「でも、もう少し話がしたかったな・・・」

また落ち込んだのか・・・?

「そ、そうかい。とにかく、仲良くね」

国也も、長電話に疲れてきたようだ。

「それより、のぎちゃんは、大丈夫なんですか?部屋に行って様子を見て来てくださいよ!」

このアップダウンは、何なのだ・・・。

「大丈夫だよ。今日は、仕事をいっぱいしたから、疲れて寝てるだけだよ」

嘘も方便。

「だからって、のぎちゃんがこんなに早く寝るわけないよ。病気じゃないの?」

疑う亜美。

「いびき掻いて寝てるよ。ホントに大丈夫だから・・・」

嘘の上塗りをする。

「部屋が違うのにいびきが聞こえるの?ちょっと異常じゃないですか?苦しんでるんじゃないんですか?」

さらに心配する亜美。

「あ、今は聞こえないよ。とにかく疲れただけだから、心配しなくていいよ」

これ以上嘘を言いたくない国也。とにかく信じて欲しいだけである。

「あんまり、のぎちゃんをこき使わないでくださいね。大事な私とファンのみんなのアイドルなんですから・・・」

ただただの菊のことを気遣う亜美。有難いことである。

「はいはい、わかりました」

乃菊の話を終わらせようとする国也。

「はいは、1回でいい!」

亜美に怒られる。

「はい、わかりました」

すぐに言い直す国也。

「じゃあ、ちゃんと伝えてくださいね、ロケのこと」

亜美は、念を押す。

「わかりました」

話しが終わりそうである。

「じゃあ、おやすみなさい」

終わった。

「おやすみ・・・」

疲れた・・・。

「おじさん、何だか、元気ないことないですか?」

終わらない!

「いや、元気だよ。おやすみ!」

「おやすみなさい・・・」

切れた・・・。


国也は、隣で寝ている乃菊を見た・・・。

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