リアル=リアル7
愛
【現在進行形ノ僕達】
今日で彼女を誘拐してからちょうど、一週間。
無事彼女は目を覚ました。
多少の事情聴取はあったけど自分の立場を理解した彼女は穏やかだった。
むしろ積極的というか…。
『もぅ!STEP君。インスタン系統は体に悪いから食べ過ぎちゃダメ!』
エプロンまでしちゃってさ。部屋を綺麗に片付けちゃうし。
まぁ労働力確保ということでいいのかな。
風に靡く黒髪は僕の心を映しているのかもしれない。
ずっと一匹狼だったけど、こういうのも―。
悪く無い。
【決戦ノ火蓋ト僕達】
日差しも強くなってきたこの頃。
僕達が家族とも言える存在に成りかけていただろう頃に事は起きた。
BorBの報復。最悪な展開。
『STEP君、逃げて。彼らは私さえ助ければ満足して帰って行くから―』
巫山戯るな。漸く出来た家族なんだ。
捨てられるわけがない。失いたくない。
誰かに奪われるなんて以ての外だ。
『僕は闘うから…』
体の隅々から力が湧き上がる感じ。
『STEP君ッ!』
違う。僕の名前はSTEPじゃない。
―大稀だ!
僕は対象に結蜘蛛と愛用する鋭い針を投擲する。
これには毒が持ってある。
毒と言っても殺せるほど強力じゃないけども、足止め程度には。
BorB内で『火柱』と名の少年と激突する。
相手はバスターソード。此方はナイフ。
明らかに不利だけど有利でもある。
絶対的な力にだって弱点は存在する。
『アイツの得物は連続で攻撃できない』
先ほど投げた結蜘蛛に彼は反応する。
―チャンス到来。
僕は11本のうちの1つ『牙』と名付けたナイフを投擲。
それは投擲専用に作った得物。
結蜘蛛を撃ち落とす様に振るわれた剣は間に合わず
『牙』は確実に対象の喉笛を仕留めた。
僕はSTEP。名前じゃないけど覚えてほしい。
戦うことで存在価値を見いだせる哀れな人間。
動かない少年を見て笑っていた。
着