リアル=リアル4
失
【解ケタ糸】
今日も雨。
酷く静かな家の中、うんともすんとも言わずにナイフを砥いでいた。
時計の針はPM2時を差す。
僕は泣いていた。
独り法師の部屋で深く帽子を被って泣いていた。
泣いた泣いた。久しぶりに泣いた。
体内に泣くための水分があったことにも驚いた。
研ぎ終えたナイフがピカピカになった頃、僕の心はグチャグチャに引き裂かれていた。
人を殺すことに対してこんな感情になったのは初めてだった。
新鮮な空気を吸おうと家を後にする。
無論、ナイフも持っていく。
なんだかとても、人の血が見たくなってきたから―。
【崩レユク感情?】
『フシュゥゥゥゥ』
ちょいと長めに息を吸い吐き出す。
空気が異様に重かった。
路地裏。溜まっていた不良どもを一掃する。
殺してはいないけど骨の一、二本はイカれてるんじゃないだろうか。
冷たい雨が涙のように頬を伝わる。
なんで、こうなってしまったのだろうか・・・。
次の目標者があの子なんて。
あの子。傘を貸してくれたあの子。
どうしてあの子を殺さないといけないのだろうか。
掃除屋が人を殺すのは、当たり前といえば当たり前だけども。
しかし依頼主はどうして彼女を殺せというのだろうか?
神様なんて信じちゃいないが、こんな時にこそしがみつきたくなる。それが人間だ。
僕だってそう。あの子を殺したくはない。
一体・・・どうすれば?
望