リアル=リアル3
不
【雨ノ中デA】
今日は初めてバス停まで散歩に出掛けた。
夜に出かけたものだから肌寒く、視野は昼間に比べて非常に悪い。
でも、それは好都合でもある。
何故かって?
僕はコレでも殺人鬼さ。
あまり顔を他人に見られたくないんだ。わかるだろ?
ポツリポツリ。
空から大粒の涙が落ちてきた。
傘を持って来るべきだった。帰れない。
風邪を引きたくないから無茶しないだけだ。
特にコレといった意味は無い。
隣には同年代らしき少女がいた。
チラチラ此方を見てくるのが鬱陶しい。
普段の僕ならこの場で少女を殺害し少女の服を剥ぎ取るはずだ。
それで、雨を避けながら帰ればいいのだから。
しかしそれは実行しない。
ナイフを持ち合わせていないから。
僕はナイフで殺すことが好き。
手を使えば少女の首をへし折ることは可能だろう。
それでも実行しない。
何て言うか、性に合わないというか…。
そんなところだ。
思い思いに思考していると
膨大な光とともに視野が広がっていった。
少し大きめの車。
少女の迎えらしかった。
車に乗り込もうとしている少女は車の中から傘を取り出した。
『これ、よろしければ使ってください』
キョトンとしている僕を見て少女は笑うと、
礼儀正しく一礼した。
少女が去って五分ぐらい経つと雨は次第に止んでいった。
―この傘、何処に返せばいいのだろう?
受け取った黒い傘は不思議に少し暖かかった。
可