リアル=リアル10
優
【殺人鬼ナ妹ノ今日】
地面を踏みしめる。
黒いスニーカーに黒いパーカー。
何時も通りの服装で、
とてもマイペースに歩いている午後三時の公園。
やっぱりいない―。
私のことなんか忘れちゃったのかな―。
一年に一回の再会の日なのに―。
其処らの自動販売機で買った清涼飲料水を飲み干して、
一杯一杯の力を振り絞って3m程離れたゴミ箱に投げ入れる。
『たくっ兄ちゃんは、だから…』
目から透明で塩っぱい液体が滴る。
この思いは自動で伝わるわけがない。
BorBの管理人として、彼の妹として。
『やぁ、愛しの悪夢ちゃん。待ったのかな?』
諦め帰ろうとした私の後ろ。
一年ぶりの声。
同じ黒色。格好良くない普通の顔。
『―兄ちゃん!?』
【殺人鬼ナ兄ノ考エ】
僕にとって妹とは―、僕を縛る鎖であり僕を守る盾でもある。
一言で言えばややこしい関係と表すべきだろうか。
今日、この再開は彼女から希望されたものであり僕も望んだもの。
そんな日を…
『もしかして、もしかしてのもしかして、悪夢ちゃんは僕が来ないとでも思ったのかな?』
忘れるわけ無いだろう。
彼女の目尻に浮かんだ雫は綺麗に滴れていた。
別に時間を間違えたわけじゃない。
妹のほうが速すぎるんだ。
『イキナリだけど悪夢ちゃん。BorBを抜けてくれないかい?』
いつもと違うキャラの僕はちょいと怪しげな言葉で彼女を惑わす。
『君だって、悪夢ちゃんだって、此方のほうがいいよね?』
僕達は義兄妹じゃないのかい?
だったら、一緒に行動しよう―と、くだらなそうな顔で言った。
【欠陥的ナ備蓄品ト完璧ナ消耗品】
SHOPPINGに付き合わされている。
大きな大きなスーパーマーケット。
衣服やファーストフードやゲームを堪能しながら、満足しながら
人混みの中を駆ける。
『悪夢ちゃん、最近運動してたかい?動きが鈍いねぇ』
お節介な言葉をお節介っぽく言うと、
しょ、しょうがないじゃん―と、彼女。
今の仕事が大変でも無理しちゃいけない。
もっと言えば無理してもいいけど程々に。
体が一番何をするのにも重要なんだからさ。
『兄ちゃんこそ進歩したの?STEP―、進化の天才なんでしょう?』
進化の天才か…当て嵌まっちゃうけど少し違うんだよねー。
適応力が常人を少し上回るだけなんだって。
タネはそんなもんなのに、彼女には羨ましがれていた。
ふと横を見ると悪夢はキスをする体制に入っている。
何この分かりきった死亡フラグ…!?
欠