4話 部屋割りは意外と過こくで・・・
入学式が終わって。わたしたちはクラスの教室に向かっていた。
驚いたことに私たちのクラスは全員一緒で、みんなで仲良く教室に向かっている。
「クスクス。メアリーは結局ずっと眠っていたね。わたしたちが見たフィリアさんの驚きな瞬間を見のがしちゃったね。クスクスッ」
「ううう~。だ、だったら起こしてくれればいいのに~。わたしだって起きようと頑張ってたんだよ?」
「・・・・・・頭の中で。」
「シャ、シャルロットちゃん~~」
みんなで向かうとなれば、話題は当然お姉ちゃんのことか、メアリーちゃんが寝てたことになる。でも、そんなにいじらなくてもいいのにな~。実際、かわいかったからほっといたわたしもいけないんだし・・・うーんと、フォローして上げなきゃ。
「まあまあ2人とも。メアリーが寝ていたのは、僕がほっといたのもあるからさ。それに、2人もあのかわいい寝顔をじゃましたくないって言うのも分かるでしょ?結局の所、2人も起こさなかったんだし・・・。」
「か、かわいい????」
「え?さんづけをしないでよんだ・・・・・・ず、ずるい~」
わたしがメアリーちゃんを呼び捨てにしたのがうらやましいんだ・・・な、何か不思議だな。ティアちゃんは、かなりの頻度でメアリーちゃんにずるいって言ってる・・・うーんと、お年ごろなのかな?わたしも、昔そんなときあったっけ?・・・うん、あったら捨てられてたか・・・
ちょいちょい
「ん?」
わたしが少し考えていると、メアリーちゃんが後ろからわたしの服のすそをちょいちょいとひっぱってる・・・その目は少しなみだにぬれ気味で、上目づかいになっている。・・・か、かわいすぎだよ~ほんっとに、小動物チック。
「えっと・・・どうしたの?」
「うん・・・あのね・・・私の寝顔かわいかったの?」
「え?う、うん。そうだね。僕が見てきた中でもトップレベルだと思うかわいさだったけど・・・」
「ほ、ほんとに!!」
メアリーちゃんはそう言うとほっぺたをおさえてもだえてる・・・い、いや・・・流石にオーバーじゃないかな?
わたしが少し引きつった顔になるのと同時に、両サイドからほっぺを引っ張られる・・・犯人は当然お二人様・・・
「えーと、どうしたの?」
「・・・へー・・・サクヤ君が見てきた中で一番かわいかった寝顔はメアリーのだったんだ・・・へー・・・じゃあ、サクヤ君はメアリーのことが一番好きだってことかな?わたしたち、会ったのは同じ日なのに、あつかいがどうしてこんなに違うんだろう?ねえ?シャルロット?」
「・・・・・・不公平・・・」
・・・こ、怖い。何か2人とも気迫が違うし・・・いや、むしろ鬼迫?かな・・・?・・・でも、そんなに態度が違うかな?かわいいはかわいい。奇麗は奇麗って・・・あ、そか。2人には何も言ってなかったんだ・・・なら、言って上げた方がいいね。少し大げさに。
「えーと、その、一番好きって言うのは分からないけど、2人はかわいいじゃないんだよね。ティアは、かわいさよりも見た瞬間に奇麗な子だなっておもうし、シャルロットは、その・・・清純・っていうのかな?うまく言えないけど、その・・・うーんと静かだけど冷たいんじゃなくて落ち着いた温かさ見たいのが感じられるって言うか・・・」
「~~~~~~。」
「///」
・・・・・・あれ?2人もメアリーちゃんと一緒?う、う~んと、やっぱりこっちの世界だとこれが普通なのかな?
(そんな分けないです。ただ、サクヤが格好いいからですよ。)
(え?そんなにかっこよくないって。)
(はぁ分からないなら、良いですけど・・・)
う、う~んと、アルフィにも何か変な顔をされちゃった。・・・反省
「え、え~と、三人ともそろそろ教室につくよ。」
「「「もう、サクヤ君のバカ。」」」
***
教室内にはもう人が沢山居た。わたしたちは1-7っていうクラスみたい。え~と、席は・・・あっ、指定じゃなくて自由席みたいだね。
その時私は気づいた。
「・・・ねえ、中の人たちの視線があつまってない?僕たち何かしたっけ?」
「・・・気づいてないんだ。」
「うわ~、サクヤ君って鈍感何だぁ~」
「んなっ」
とたんに降り注ぐ三人からの冷たい視線。ううっ、何か心にささるよう・・・だいたい気づくってなにを?って、ああそっか。三人は有名人だったんだ。なるほど・・・
「そうだった。三人は結構有名だから、それはめだつか・・・」
「「「そうじゃない~~~」」」
え?違うの?っていうか意外と三人ってハモることが多いんだ・・・おもしろい!
「はぁ~とりあえず座ろうか・・・」
そういうティアちゃんの声でわたしたちは座った。
そしてその後も話していると、急にわたしは肩をひかれた。するとそこにいたのは・・・ねこ耳君だ!!!
「・・・イクト=グレンタール君・・・」
「・・・・・・隣、座っても良いか?」
「え?ああ、うん。いいよ。」
・・・すっごくかっこいいよ!「隣、座っても良いか?」っていうその声。真っ黒な少し長めの髪。そしてそしてねこ耳!やばいくらいかっこいい。全く、三人とアルフィは知るべきだよ!本当に格好いいのはこういう人でって、わたしは何を考えてるのよ!いくら好み直球だからって・・・
わたしが1人でうろたえている間に、三人とイクト君は自己紹介をしたみたいだ。そして、イクト君が口を開いた。
「・・・サクヤ。お前、この前の試験の時先輩を倒しただろ。」
「み、見てたのかい?」
「ああ・・・」
そ、そっか・・・見られてたんだ・・・なのにわたしはあんなところであんな技を・・・うう、どうせならもっと奇麗な技を・・・
「・・・あの一撃、すごかった。今度、教えてくれ。」
「へ?ああ、う、うん」
・・・・・・。
(あははっ、サクヤがハントされましたね。これは・・・ニヤニヤ)
(ううっ、だ、だって~・・・今までわたしにとって男の子って暴力をふるってきてね死ねとか言ってきて・・・とにかく怖いものだったんだよ?それなのにそう言うこともなくて・・・ねこ耳で・・・)
(・・・あれ?ねこ耳がかんっけいしてるんですか??)
(う、うん・・・ってそんなに驚かなくても言いじゃん!)
(た、大変です。サクヤ七不思議が、8不思議に・・・)
(あと七つは何なの?)
わたしがこんなやりとりを心の中でしていると、みんなが不思議そうにわたしを見てきた。
「・・・大丈夫か?」
そういってイクト君はわたしのおでこに手を当ててくる。ああ・・・
「・・・だいぶ熱いな・・・」
「・・・だれのせいだと?」
「・・・自業自得?」
でも、姿をバらせないわたしはこれ以上は言えない・・・ううっ
そんなとき、教室のドアが大きな音を立ててあいた。いや、ふっ飛んだのかな?
「い、いたたたた。ううっ、もう!」
そこにいたのは美人な眼鏡ッ子教師。その上天然って・・・完全にテンプレだね!そろそろつっこみを入れようかな・・・なんてね。
その先生は、立ってから試行錯誤の末にドアをなんとか直し、教だんに立って自己紹介を始めた。
「えっと~、わたしは~ユーリ=サイファスっていいます~。皆さんの担任なので、よろしくですぅ」
とたんい男子(わたしとイクト君を除く)から、歓声があがる。と、同時に女子が男子をにらみつけて黙らせる・・・こわっ
先生は予想外の歓声に顔を真っ赤にしてたけど、なんとか気を取り直したようで、堂々と話しはじめた。
「ええっと~。この新しいクラスなんですけど~、今からやることがあるんですよ~」
「はい!やることってなんですか?」
一名の男子が手を元気に挙げてる。うん。かかわりたくないタイプかも・・・でも、先生にはよく映ったらしく・・・
「はい!それはコンパートメント決めです!えっと、この学校は寮生活ですよねっ。それで今からそのいっしょに暮らす人を決めてもらいます!あ、ついでに男子は男子同士、女子は女子同士ですからね!」
・・・え?そうなの?1人部屋じゃないの?ど、どうしよう。
「それでは、なりたい人とお願いします!」
するとみんなは決まっていたようでドンドン先生の所にペアになって行ってる。ど、どうしようだれとなれば・・・
「・・・一緒になるか?」
そうわたしに言ったのはイクト君で。他はもう決まってて。わたしは男装している・・・
「・・・決定で良いな?」
「う、うん」
心臓が爆発しそうだった。
***
幸い、部屋自体は一緒だったけど、寝室だけは分かれていた。・・・ただいま部屋の中・・・男の子、それもイケメンと二人っきりで。
(ど~~~~~~しよ~~~~~~~~)
(・・・流石に予想外ですね。かんばれ!)
・・・まさかの裏切り・・・ブ、ブルータスお前もか・・・
「・・・サクヤ、どうした?」
「い、いや、なんでもないよ?」
「そうか・・・無理するな・・・」
オッケイわかった。もう気にしないことにする。そうじゃないとホントにまずい気がするから。
そうこうしているうちに時間は過ぎて夜になった。やっぱり、なにかがあると時間の流れは速く感じる。
わたしは今、学園の中の川に来ている。それは、水浴びをするため。・・・だって男の人がいるところで素肌になるのには抵抗があったからだ。
(いつのまにか男の子から男の人ですね)
(だってさ~、男の子って言うには大人なんだもんイクト君。)
(うまい言い訳ですね)
(うぐっ)
こんな時でもアルフィは一緒だ。今は実体化している。
「ふう・・・。」
わたしは思わずため息をはいた。・・・これまで長かったな・・・。
向こうで道具として生きてきて・・・こっちの世界に来て・・・また捨てられた。でも、ようやくわたしは幸せを手に入れるためのスタート地点に立っている。すごく、すごくうれしい。いつか、本当に幸せになれたらわたしはどんな生活をしているのだろう?疑問がよぎった。
と、そのとき後ろから、声がした。
「なにしてるんだ?」
「え?イクト君?」
わたしはいきなり声をかけられたことで驚きとっさに立ってしまう。
「え?んなっ?ちょっと・・・サクヤお前・・・か、体かくせっ」
そうしてあっちを向いたイクト君。わたしはゆっくりと自分の姿を見て・・・
「い、いやああああああああああ。」
叫んだ。
***
ついにと言うわけでもなくばれてしまったサクヤちゃん。
フツーに女の子なら嫌なバレ方ですよね
えっと、次はカミングアウト大会です。