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Another world/Another HEARTs  作者: sakuya-konoha
学園の貴公子編
10/11

6話 依頼1  クラス内女子紛争

 すいませんおそくなりました


キンッギンッ

 重なる剣撃の音。その音は絶えず1時間も続いていて、相手と自分の技術がどれほど近く、また決定的に何が違うかを教えてくれた。わたしの使う剣は、元が千崎の剣。それの奥義だった技とかを、自分流に魔法と併用してアレンジしたもの。特に向こうと変わった点は、柔軟性にあると自分で思う。元々、「剛の太刀」で知られていた千崎流。だから、女の子のわたしになんて使えるはずもない。だからわたしはこの世界で、アートレッド家の剣にある技術と組み合わせて新しい自分だけの剣を作った。だから、わたしはこの剣に自信を持っていた。絶対に学園の中では、負けないはずだって。 でも、本当はそんなことは全くなくて、目の前でわたしと剣を交える彼は、確実にわたしよりも強かった。

 そんな彼-イクト君がわたしに声をかける。


 「数日剣を合わせたが、お前だいぶ強いな。」


 そんなことを言う彼に、わたしは苦しょうをもらす。全く、もう、そっちの方が数段強いのに。


 「・・・あのさ、イクト君に言われると、、少しイラッてくるんだよね。わたし、これでも剣には自信があったのに・・・」


 「今は強化使ってないから男女差は出てくる・・・だから言ってるんだよ」


 そんなことをあっさり言う彼。その姿はとってもかっこいいんだけど・・・


 「魔法使っても、わたしより強いくせに・・・嫌みかっ!!」


 

 こうして、あの日から続く私たちの日課とも言えるこの打ち合いは、今日も進んでいくのだった・・・



 ***


 「あっ、サクヤ君、イクト君おはよう。ふふっ、今日も2人ともかっこいいね。」


 クラスに入るわたし達。そんなわたしたちにまず声をかけてきたのは、フィリアちゃんだった。・・・かっこいいって・・・わたしは女だから、みんなの言うかっこいい男の子ではないはずなのに・・・この世界の人たちって、やっぱり美的センスがずれ得るのかな?この数日過ごしただけでわたしは今、そんな考えに至っている。なぜか?それは簡単な理由で、わたしが何人もの女子から、告白されたからだ。学園の始まりから今日でちょうど一ヶ月。その間にわたしはかれこれ14,5人の女の子と、うう、・・・・・・・・・3人のその・・・あっちの性癖の・・・いわゆるゲイ?(だっけ・・・あ、あれ?ホモだっけ・・・うーん・・・あっちの世界のことだから忘れちゃった・・・)の方々からも告白された。そんなときに女の子たちはわたしのことを「かっこいいその姿にひかれました。」とか、「その貴公子様・・・」といって告白してくる。しかも「貴公子」について聞いたみたところ、わつぃには「学園の新星」とか「白の貴公子」とかいった名前が付けられているらしい・・・ホントに困ったんな~。だって、女の子に告白されるなんて、思ってもなかったことだし・・・あ、あとわたしが「白の貴公子」なのは、イクト君に「黒の貴公子」とか、「夜の王子様」という名前が付けられているから。・・・まあ、「夜の王子」のほうは、本人が聞いた瞬間に魔力を軽く暴走させたから、以来公の場(イクト君の耳にはいるところ)では言われてないけど・・・

 そんなことを考えつつも、わたしは返事を返す


 「うん、おはよう、フィリア。・・・格好いいって言うのはおいといてだけど・・・」


 「む、そんなことないのに・・・」


 わたしの返答に少しほほを膨らませるフィリアちゃん。そんな仕草が様になっていて、本当に奇麗だ。・・・ううっ、自分の顔とかが恥ずかしいよう・・・

 ・・・そんなやりとりの中でもイクト君は口を開かない。正直言って彼は超絶クール。ホントにかっこよくてそれが似合っていて「夜の王子」っていうのがぴったりだと思えるくらいに、クールで冷たい印象がきまっている。ただ、そんなイクト君も部屋に行くと少し口数が多くなる。・・・もしかしたらわたしと2人っきりだからかもしれない。・・・・・・そうゆう風に考えたくなっちゃっても良いはずだよね?わたしだって女だし・・・


 「ねえ、そういえば今日からギルドに登録していいんだよね?たのしみだな~」 (チラリ)


 フィリアちゃんのギルドって言う言葉にわたしの胸は躍った。

 ギルド。それは冒険者って呼ばれる人たちが、例外なく入っているもの。そこでは、仕事の依頼を受けたり、頼んだり、はたまた魔法を教わったりと色々なことができるところだ。冒険者の人は、そこで依頼をもらってそれをこなして日々の生計を立てている。まあ、う~んと、派遣会社のある意味異世界判って言えるものなのかもしれない。・・・いや、全然違うか。

 ・・・まあ何でわたしたちがそれに登録するかって言うかというと、単に学園が楽をしたいかららしい。どういうことかって言うと、もしも強い魔獣を狩るときに、生徒に何かがあったらすべての責任は学園にいく。だけど、ギルドはすべて自己責任にしているので、学園は責任を問われない。つまり、学園は楽ができ、更に責任をのがれられるというおまけもある。う~ん、なんとも

言えないずるさがはみでまくっている。まっ、楽しみというのは、わたしも一緒だし。


 「なあ、イクト。君はチームどうするの?」


 チームとは、その名の通り数人の人が集まってできたものだ。


 「おれ?サクヤと同じがいいんだが・・・」


 そんなことを言うイクト君。わたしの頭は、一気に温度を上げる。心臓がどきどきしている。イクト君が一緒がいいっていってくれるなん


 「強いしな・・・」


 は、はは・・・乾いた笑みが無意識にこぼれる。・・・そうですよね!わたしを選ぶ利点なんてそれくらいしかないですよね、どうせ!

 しかし、それを顔に出したわたしにイクト君は言った。


 「それに、学園でだれよりも信頼できるしな・・・」


 ・・・・・・ううっ///できれば女の子の心を分かって欲しいものだと心から思う。あとで、言っておこう///


  ***



 「それでは、実際に登録をしてみましょう~。わたしもみてるから、安心してやってくださいね~。」


 今は、ちょうどユーリ先生の説明が終わったところだ。驚いたことに、ユーリ先生もギルドのランクは相当高位なようで入ったとたんに声をかけられていた。ぬすみ聞きしてみると、あんなにとろ・・・え~とのんびりしてて、おっちょこちょいなのにユーリ先生は昔、魔装姫になる一歩手前までいったらしい。・・・・・・20代でなれる人は少ないって言うから、相当な使い手だというのが分かる。なら、どうして今は先生なんてやってるんだろう?ま、それはいいか。


 「サクヤ、次はお前だ。」


 「む、イクトはもうやったんだ。どんな感じ?」


 「一瞬ちくっとする。・・・・・・こわいのか?女の子だし。」


 「んなわけないだろう?・・・それと学園でおいそれと言わないでよ。もうっ」


 イクト君がわたしに怖いのかって聞いたのは、登録するときに血を抜くから。その抜いた血を元に、情報を登録していくらしい。・・・どっかの小説で読んだことなので、わたしとしては「うわっ、本当のことだったんだ・・・」っていう思いが強い。もしかすると、わたしの世界には、この世界から移ってきた人がいたのかもしれないな・・・だったら、わたしはいつか戻ってしまうのかな?・・・絶対にやだな・・・

 そんなことを考えている内にわたしは血を抜かれる一歩手前。少し緊張する。


 「それじゃあ次は、サクヤ君ですね~。少し痛いかもしれないですけど、我慢です~。」


 「はい。お願いします。」


 「あうっ」


 先生は、わたしと話すと今みたいに顔を赤くする。・・・なんでだろう?

 

 「そ、それじゃあ、えい」

 

 先生のかわいいかけ声で針みたいなのが手に刺さった。ちくりと少し痛いけど、耐えられないものな訳がない。だって、あっちでも注射とかには慣れてたし、刀の傷の方がもっと痛いし・・・


 「・・・はいっ、終わりましたよ~。すごいですね、サクヤ君は~、ちっとも痛そうじゃないです~」


 「ん?まあ、慣れですね。」


 「そうですか~」


 先生がそう言ってるけど、こっちの世界では実際にわたしたちの年齢ではあまり痛みに強くない。例えば・・・


 「ま、待った。先生タンマ~!ちょっ、い、痛いい!!」


 なんて言ってるだらしのない人もいる。・・・男の子でもダサイ人は本当にだっさいな~。全く、イクト君を見習いなさい!


 

 そんなこんなで全員が終わると、ユーリ先生は説明に来た。


 「はいっ、え~と~全員終わりましたね~。でしたら、みなさんに課題を挙げちゃいます~。」


 「どんなのですかっ」


 「はい~それは、好きな依頼を一個こなして欲しいんですね~。ただし、自分のできる範囲で、三人で組んでと言う条件付きですけど~」


 「「「「「「さ、三人で?」」」」」」


 三人というところで、女の子たちがうろたえた。そして、しきりにイクト君とわたしを見てくる。・・・どうしたの?

 なんて思っていると、わたしは背中にだれかの手が置かれたのがわかった。今は全員イスに座っているから、チラ見してくる子達には、それがよく見えたらしく少し顔をそらした。ただ、わたしには大事件。だって、その手がイクト君のだから・・・心臓がとくんって跳ねる。


 (あら、分かりやすいですねサクヤ。)


 (ううっ、しょうがないじゃん~)


 「・・・イクト、なんだい?」


 「・・・一緒にやろう。正直、お前とだったら、おもしろいのをやっても大丈夫そうだから。」


 「僕は用心棒かい?」


 そして、先生の説明が終わるとすぐにチーム決めになった。

 そしてわたしとイクト君は目の前で起こっている光景を見て、固まっている。


 「みんな待って、わたしがイクト君たちとなるの!」

 「はあ?サクヤ君たちとあなたが?冗談は顔だけにしなさいよ!」

 「あんたには、言われたくないわ!」


 「・・・・・・女ってこんななのか?」


 「・・・僕に聞かないでくれるかい?一応僕も男だから」


 わたしたちが固まっている理由は、チーム決めにおけるイクト君争奪戦だった。女の子たちは、イクト君となりたい一心で争いを続けているみたい。・・・もはやそこに女の子のしおらしさとかそういった類の遠慮はない。醜い、女の戦いだった。


 「どうする?このままだと僕たちも決まらないよ?」


 「・・・そうだな・・・」


 しかし、そんなときに救いの女神が現れた。


 「みなさ~ん、だめですよ~。サクヤ君も、イクト君も困ってます~。そんなにもめるなら、先生がそこに入っちゃいますからね~。それでこのクラスはぴったりの人数ですから~」


 「「「「「ええ~~!!!!!」」」」」


 ・・・訂正。その後のことを考えると、むしろ先生は爆弾を投下したみたいだった。


 「・・・爆弾娘?」


 「イクト、それは口にしてはならないと僕は思うんだが・・・」



 そんなこんなで、わたしたちの初依頼は先生と一緒に行くことになったのだった。



 ***


 「さて~どれにしますか~?」


 「・・・これ。」


 「んなっ、イクト君~それはちょっと難しいですよ~?もっと簡単なのが・・・」


 「どれかな?・・・え?この依頼の場所のディアーナ島って、たしかここらへんで最も奇麗な魔鉱石が採れるんじゃなかったっけ?」


 「そうですけど~」


 「ボソッ(・・・サクヤにプレゼントされたら、それは良い思い出に・・・)」


 「んなっ!・・・これに決定です~♪♪♪」


 「・・・何を言ったの?イクト君。」


  END


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