TASP001
この小説を読んでいただき、マジありがとございあーっす!
基本的に更新は2週間以上はかけないようにしたいDETH☆
強い太陽の光と、焼け死ぬような暑さが、俺に朝の到来を告げる
正直言って朝は嫌いだ、眠いし、眠りたいしむにゃむにゃするし。
ベッドから手探りでクーラーのリモコンを捕らえ、足で窓を閉めてONにする。すぐにエアコンから冷たい空気が吐き出されるが、それが部屋中にまわるには少々時間がかかる。
俺はこの少しの時間が途方もなく嫌だった。
「ったりぃ~」
今日は休日、特に何をするという予定も無い。テキトーに散歩でも行こうかと思い立った瞬間、机の上で耳慣れたハイテンポな音楽が聞こえてきた。俺のケータイの着信音だ。
ベッドで体を起こし、隣接している机から、充電機に挿しているタッチ式のケータイをつかみ、早朝の発信者の正体を確かめる。
相手は二ノ宮 信司と映されている。彼は俺の数少ない友人であり、いまや卒業した高校のクラスメイトだった男だ。
通話ボタンを押し、それを耳に当てる。
「はい、もしもーし」
「お、銀次?おはよーさん」
「はいはい、おはよーさん」
「あのさぁ、お前今日空いてる?」
「ナンパなら他あたれ。切るぞ」
そういって躊躇することなく切ろうとする。すると、スピーカーにしているわけでもないのに、あいつの「うぉい!待てい、切るな切るな!」という叫び声が聞こえてくる。この距離で聞こえるとか一体どんなデスヴォイスなんだ。向こうではさぞや近所迷惑となっていることだろう。
「あのなぁお前、叫ぶにしたって限度があるだろう、限度が」
「お前が切ろうとすっからだろうが!」
「いや、今の絶対に近所迷惑だから早く謝ってこい、これにて一件落着、切るぞ」
「……なぁ、もしかしてお前俺の事嫌い?」
「なにをくだらんことを、お前は俺の大事な金ズルだ」
「……お前を友達と信じた俺が馬鹿だったよ」
そろそろあっちが切ろうとするかもな、このへんが潮時か。
「悪ぃ、んで、用って何だ?」
「いや、今日椎名ちゃん連れてちょっとオモシロいとこにいこうかと思ってね」
「……何を企んでる?」
「そうこええ声を出すな、手ぇ出したりしねーよ」
「当たり前だ、出そうものならお前の爪と指の間に画鋲を10本ぶっ刺す」
「こえーよっ!」
「つーか、んなのどーでもいい。
で、いつもの教えないパターンか?」
「そのとーり」
「じゃあ移動手段はどうする」
「バイクでよかろ」
「椎名はどーすんだよ、あいつ二輪の免許持ってねーぞ」
「またまたー君ツーリング得意っしょ」
「お前がいつも俺に丸投げしてっからそうなんだろ」
「あ、椎名ちゃんにはお前が迎えに行くって事でもう話し付けてあるよ」
「どのみち行かなきゃならんと」
椎名は空手、柔道、剣道、弓道と、武道と名のつくものは多く会得している。昔約束事をして、それを忘れてった時のことは思い出したくも無い。
「じゃあ、昼飯もかねて、俺の家にこれるか?」
「ちょっと待っとれ」
そういって、ケータイを机に置き、階段を下りる、中ほども降りたところで、母に向かって聞いた。
「母さーん、今日メシ外で食ってきても良い?」
「どーぞー」
OKをもらい、再び自室に戻り、ケータイを手に取る。
「大丈夫だ」
「じゃあすぐに来れるか」
「すぐって……気が早いぞ」
「何言ってる、時計見てみ」
「どれどれ……あ……」
言われて部屋の時計を見ると、11時半を回っていた。
――――10分後――――
ヴン、と音を立てて、黒と赤で塗装されたオフロードバイクが停車した場所は、幼馴染、椎名の家の前だった。
すでに家の前には長い黒髪を後ろで束ねた椎名が待ちくたびれた顔を隠そうともせず立っていた。
「遅い!もう10分経ったけど?」
「最短距離及び最高スピードで来たんだが?」
「それでも遅くちゃ意味ないでしょ」
「もういいから乗れや」
正直な事を言うと、ちょいとばかり燃料が減ってきているので、あいつの家でちょっくら燃料を拝借しようと俺も急いでいるわけであって……
「げふっ……だから殴んな、事故るごはぁ!……」
こんな理不尽に殴られる理由は皆無と思えるんですが、どうぞ!?
とまぁ殴って殴られ殴られ殴って殴られ殴られ殴られ殴られ続けて20分後には、信司の家に到着したが、すでにどっか行こうなんて微塵にも思えないほどの大損害を被っていた。
「やぁ、どうだったかね、ええと…2……5日ぶりのツーリングか、二人とも楽しんでくれたようで光栄だなぁ」
「黙れ腐れ外道が!テメーは毎回毎回この化け物を俺に押し付…ゲバラッ!!!?」
「何か聞こえた気がしたんだけど?」
「「き、気のせいだろ?」」
俺が詰まったのは痛みから。信司が詰まったのは恐怖から。全くとんでもねープレッシャーを叩きつけてきやがる。
「じ、じゃあどうぞ中へ」
「赤十字あるよな……」
「野沢に頼め」
「あとバイクの燃料入れといてくれ」
「全面的にお前が悪いと判断する」
俺の頼みを一蹴すると、ポケットからイヤホンを取り出し、耳に当てる。
「何聞いてんだよ」
「天国と地獄」
「「古っ」」(笑)
「うっせえな、良い曲だろうが」
「悪いとは思わんがなぁ」
「何年前の曲よ、それ」
「初公開は1858年ですから、173年前の曲になりますね」
「野沢さん」(笑)
「詳しい」
「そういやこの曲野沢からもらったんだったな」
「ええ、昔はよく聴いたものです」
昔の事でも思い出しているのか、眼を細めて遠くのほうを見ていた。
「まぁいい、入れや」
「そうさな」
「おなか減った~」
「委細は中で説明いたします」
四者四様の会話をし、東京都心に立っているとしては馬鹿高すぎる豪邸に4人そろって足を向けた。