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魔王の器  作者: 北崎世道
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懇願

 僅かに狂気の混じった茶番はさておき、回復魔法で身体を治療したら、ムッサイはこれまでの被害者ムーブな態度は改め、元の優しさの中に頼り甲斐と筋肉溢れる漢らしい態度に戻った。ただ、怪我は治したものの体力までは戻してないのに、何故だか体力全開、萎びた茄子みたいだった筋肉も艶と張りのある筋肉に戻ってるのだから不思議だ。いや、筋肉は全ての理屈を凌駕するから不思議ではないのか。少なくとも筋肉教に入信しているムッサイは今の状態に一切疑問を抱いていなかった。


 ともあれムッサイが、ムッサイ復活! ムッサイ復活! と連呼されるくらいに完全回復したので、僕は改めてこちらの状況説明を行った。そんでジャントルブーザマに二名が殺された状況について語ってもらう事にした。


「あの事件の犯人を探すのか……大変そうだな…………」ムッサイはやや同情めいた視線を送りつつ、事件について語った。深く詮索してこないのは、優しさの表れだと思う事にしよう。


「さて、前にあらかた話したとは思うが……まぁ、もう一度話しておくか」 


 ────という訳で話。



 ◆



 あの日。ムッサイ達はブーザマの指示のもとナイルを誘拐して、少年漫画みたいな流れで僕たちと闘った。んでムッサイ達は負けて、こちらが連れてきた憲兵たちに連行されてる途中で事件は起きた。


 僕たちと闘った街外れの廃墟から街中に戻る際中。ムッサイ達は手錠で拘束された状態で、分厚い壁の箱で馬車に引かれていたのだが、突然、黒いコートの男が何の前触れもなしに現れた。その箱は特に何の仕掛けもない壁がやたら頑丈に出来た造りで、出入り口も一つしかなく、しかもその出入り口も四方を憲兵に監視された状態だったので、誰にも知られる事もなく出入りする事は到底不可能だった。…………であるにもかかわらず、その黒コートはそれを容易くやってのけた。壁よりも若干内側のところに居空間に繋がるような穴が開いており、そこから現れたのだ。


 黒コートの男はフードを深くかぶって顔を隠していたので、どんな容姿をしていたのかも判らなかった。更にはムッサイ達は馬車の中で椅子に座っていたので、身長とかもはっきりとしない。ムッサイみたいな筋肉モリモリマッチョマンでない事は確かだが、それ以外は一切不明。


 突如現れたその男はブツブツと独り言か呪文か判らない事を呟いた。かと思えば、いきなり場面は変わり、ムッサイ達は連行していた馬車の檻の中から出ていた。周りにたくさんの木々が生えていたから、どこかの森の中だと思った。今にして思えば、そこは廃墟から城に向かう途中にある公園内の林だったのだが、その時は得体の知れない魔界奥深くの森の中のように感じられた。特に空気も淀んだりしてないのに、その男の前では妙に息苦しく、呼吸さえままならなかった。


 男は拳銃のようなモノをブーザマに向けた。その時、彼等の中で何かしらの問答があったようだが、その内容は定かではない。元々あの時のムッサイはラキ師匠に負けて身体がボロボロで、その上得体の知れない謎の男が突然現れて恐怖で頭の中がぐちゃぐちゃだったのだ。もしかしたら魔法が使われて、彼等の問答がこちらには聞こえないよう細工されていたかもしれないし。そうじゃないかもしれない。とにかく彼らのやり取りは全然聞こえなかった。だけど何かしらの問答があったのは確かだった。


 問答の後、黒コートの男は発砲した。発砲音は不思議と小さく、目の前で発砲しているにも関わらず、鼓膜をつんざくような音はしなかった。目の前での発砲は印象深くて、今でもはっきり思い出せるから、音が小さいのは間違いない。むしろブーザマが倒れる時の音の方が大きかったぐらいだ。倒れた後もブーザマはまだ生きていた。だが、苦痛に歪むその顔はもはや生物と死者の中間くらいに位置していたように思う。踏み潰された虫がピクピク痙攣しているのに近い。その後、彼は亡くなった。苦痛に喘ぎながら亡くなるその姿は哀れとしか言えなかった。


 ブーザマが確実に死んだのを確認してから、黒コートはムッサイ達の方を向いた。フードを被り、おそらくは何らかの魔法で不自然なくらいに陰で覆われてたから、顔そのものは見えなかったが、それでも不思議と瞳が見えた。その目は恐ろしいまでに冷徹だった。見た瞬間に殺されると思ったが、黒コートが動き出す前に、何故か隣に居たジャントルの方が動いていた。


 ジャントルは言った。


「あ、あなただったんですね……っ! 私は今日、この日、この時が来るのをずっと、ずっとずっとずっと待ち続けてきました……っ! お願いします。私を殺してください…………っ! 私はあなたに会う為、今日まで生き続けてきたんです…………っ!」


 それは己の殺害を懇願する内容だった。さすがにジャントルの予想外過ぎる懇願に黒コートの男も若干たじろいでいたようだが、やがてジャントルの要求が本気だと悟ると、小さく息を吐き、彼を撃った。ジャントルは幸せそうな顔で、感謝の言葉を捧げながら逝った。


 この時のムッサイは訳が分からなかっただろう。時間が経った今でも全く理解できてない様子だ。ただ、その時は黒コートの男がジャントルに催眠でも掛けたんじゃないかと疑い、自分も催眠に掛けられると危惧していたようだ。「ごめんなさいごめんなさい助けてください」と謝罪と命乞いを連呼し、頭を地面に擦り付けた。どこまでも必死な命乞いをしていたせいで、ムッサイは黒コートの男がいつの間にか姿を消していた事に気付かなかった。それどころか仲間のウェールイも消えていた事に気付かなかった。


 そこに残されていたのはムッサイ一人と、ジャントルブーザマの死体が二体だけ。


 ムッサイはその場でずっと呆然としていた。


 暫くして憲兵たちがやって来て、ムッサイを捕まえた。ジャントル達の死体に驚き、ムッサイが殺したんだろうと詰問してきたが、極度の緊張と恐怖で頭が真っ白になっていたムッサイは憲兵たちの詰問にも応えず、ただただ呆然としていた。後になって、そういえば犯人だと疑われてたなぁ、と気付いたくらいだ。しかしその時にはもう憲兵たちはムッサイを疑っていなかった。ムッサイが呆けている状態が演技ではないと気付いたからだろう。ある意味、自白剤を使われたようなものだ。


 呆然としていた時にも事情聴取は行われたが、我に返った後も同様に行われた。ムッサイはその時の事を一切隠さずに話した。隠す理由もなかったからだ。


 そして、そのまま逮捕され現在に至る。


 いや、それは僕が来るまでの話か。僕が来てから、ムッサイは再び事情聴取が行われ、そして同時に拷問も行われた。既に何もかも正直に話していたから、新たに話す事などなかったが、聴取は念入りに行われた。どちらかというとムッサイを痛めつける方が目的だったように感じられた。



 ◆



 ────とまぁ、そんな感じの話をしてもらった。


 ムッサイの話はあまり脚色を交えず、できるだけ客観的に話すよう意識されていたが、それでも例の黒コート男の恐ろしさと、捕まって拷問を受けた時の苦痛は、彼の主観による脚色が色濃く混じっていた。それだけ黒コートが恐ろしく、そして拷問が残酷だったという事だろう。


 黒コートの恐ろしさについてはともかく拷問の残酷さについては、ムッサイが語るまでもなく、彼の先程までの凄惨な状態が物語っていたから、あえて語られる必要もなかったのだが、それでも本人の口から聞かされるとどうにも胸が痛くなる。なんとなく前世で戦争関係の物語を読んだ時のような感じに似ている。物語かよ、と思われるかもしれないが、前世の場合は、実体験した人が既にほとんど亡くなっており、尚且つ仮に生きていたとしてもかなりの高齢であるせいで話が伝わりにくい事もあって、生の体験話よりも物語の方が伝わってしまうのだから仕方ない。


 それよりも今回の話で気になった事がある。ジャントルの懇願についてだ。黒コートの男が突然現れた事についてはともかく、ジャントルの自分を殺してという懇願は全く意味が解らない。話を聞いた感じでは、まるで神に感謝を捧げるようなものではないか。少なくともいやいや殺された訳ではない。むしろ黒コートの男は最初からムッサイ達を見逃すつもりでありそうだ。


 実際のところは判らない。もしかすると全てムッサイの主観でしかないかもしれない。できるだけ客観的に見ようとしていた事は確かだが、状況があまりに危機的過ぎて、ムッサイの独断と偏見が多分に入り混じってしまうのも仕方ないだろう。


 ともあれ、事件についての話は分かった。後、ここで聞ける事はなんだろう。


 僕は少し考え、「黒コートの男の正体についての心当たりは?」と尋ねた。


「まったく」とムッサイは首を横に振った。ならば、


「三人について、何か知ってる事は?」


「ブーザマについては、奴がガリオス組のメンバーって事ぐらいだな。そこそこ偉そうな立場みたいだが、詳しくは知らん。次にジャントルさんについては…………考えてみれば、俺はあの人の事をよく知らんな。昔から裏の傭兵みたいな仕事をしている事と実力がハンパない事ぐらいだ。じゃないと長い事この仕事を続けてはいられんだろう。孤児みたいな境遇だった話を聞くが、金持ちの家に生まれたという話も聞く。どちらが正しいかは判らん。ただ、どこか気品を感じる振る舞いだったから、なんとなく後者のような気がする。しかしそれだと、昔から裏稼業の傭兵みたいな仕事をする理由が見当たらんな。俺の予想では、昔は血気盛んで家出して裏の道に入ったという線だな。あまり過去の詮索を好まない人だったから知らんままだが。ウェールイについては、あいつが元ファイターで、その前はただの女好きなチンピラだって事ぐらいだ。しぶとい奴だし、悪運も強いし、奴ならきっと逃げ切った事だろう。生きてる事は間違いない」


「ウェールイが行きそうなところに心当たりは?」


「…………」ムッサイは唇を尖らせ天井を見ながら、「あいつはこの街の『■■■■■■』って酒場の常連だったな。そこで酒を飲みつつ、女を引っ掛けるのが趣味だった。あまり女性客が来ないって嘆いていたがな」


「そんな店名じゃ女性が寄り付かないのも当然だと思うが」


 ちなみに『■■■■■■』を隠さずに言うと、女性器の罵倒だ。主に女性を愚弄する以外に使われる言葉……というかそれ以外に使われる事はない。


 バカなのかな、と僕は思いつつ、その店がある場所をムッサイに訊く。ムッサイはこの街に長い事住んでる訳ではなかったが、それでも彼の説明は判りやすく、言葉だけで僕はその店の場所の位置が大体分かった。


 僕はこう見えても五歳児だからあまりそういう系のお店には行かない方がいいと思うが、この際そうも言ってられない。現状は結構切羽詰まっている。そこいらのチンピラ程度なら蚊よりも簡単に蹴散らせるから、行っても問題ないと思うが、一応最低限の警戒くらいはしておこう。


 …………さて、ここで聞ける事は大体聞けたと思うし、そろそろお暇しておこう。


「おっさんはこれからどうするの?」と僕が尋ねると、


「お前さんはどうするつもりだ?」と尋ね返された。


「どうするって、とりあえずウェールイが居そうなその酒場にでも行ってみようかなって思う。そこでウェールイから話を聞いて、それから…………何か手掛かりになりそうなところかなぁ。ウェールイから目新しい情報が聞けなかったら、たぶんブーザマが所属していたとかいうガリオス組になると思う。ま、出たとこ勝負だね」


「って事は、ここから脱獄するって事か? なら、俺も連れてってくれないか? 正直、俺の実力じゃここを脱獄する事はできん。お前の力を借りたい」


「んー、いいよ」


 僕はムッサイのお願いを了承する。ムッサイは特に悪い奴ではない。確かにナイルを誘拐したし、悪い事はしたかもしれないが、だからといって悪い奴とは限らない。これは持論だが、悪いことをする奴は主に二種類に別けられて、一つは悪い奴。でもってもう一つは弱い奴だ。前世ではたとえ後者であろうと、悪いことをした犯罪者が容赦なく叩かれる光景を何度も見てきた。別に犯罪者を擁護したい訳でもないが、正直、犯罪者よりも彼らを無遠慮に叩いている奴等の方に嫌悪感が湧いていた。そういう記憶があるせいか、僕はたとえ犯罪者でも助けを求められたら普通に助けてもいいや、と思ってしまう。特に、今のところ嫌悪感を抱いていないムッサイが相手なら。


 …………いやまぁ、ムッサイは見た目ちっとも弱そうには見えないが、社会的に見れば弱者だ。じゃないとこんな状況に陥っていないだろう。


 そんな訳で、今から僕はムッサイと一緒に脱獄する。一応、自分とムッサイに変身魔法を掛けて、ここの憲兵達と同じ姿に変装してから、檻を出て、部屋を出て、狭苦しい階段を上がる。道中で本物の憲兵が訝し気な目でこちらを見てきたが、特に気にせずに上がり続ける。


 んで。


 出た。外に出た。


 本来は階段を抜けただけならまだお城の中、室内であるのだが、前にリリスさんがリンクした僕の魔力を使って大暴れしたせいで、ここからでも僅かだが空が見える。僅かでも空が見えるならそこは外だ。屋外である。


 日の光と風を感じて、僕はちょっとだけの潜入だったにもかかわらず、解放感が込み上げる。長い事捕まっていたムッサイに至っては、スゥーッと静かに涙を流していた。いい年したおっさんがガチ泣きするのは少し引くものがあるが、今回の場合はあまり茶化す気にはなれなかった。泣き方が「あァァァんまりだァァアァ」とか「あなたには分からないでしょうけどね」みたいな感じではなく、人前でクソを漏らした時のような、悟りを感じるモノだったからだろう。


 念の為に尻を確認したが、幸いムッサイの尻には不自然な膨らみなどなかった。その事に密かに安堵しつつ、僕はそのまま城の外へと向かう。空が見えてもここは室内。決して屋外ではないからだ。 


 そういえば既にあの偉そうなお上様の姿はなかった。お上様に付き従う大ボスさんや拘束の能力者さんの姿もなかった。そろそろこの呼び方も面倒なので名前を知りたいところだが、どうにもその機会が巡ってこない。もしかしたら一生知らないままなのだろうか。


 不自然に思われないよう何食わぬ顔で歩き、今度こそ城の外に出たら、ささっと空を飛んでこの場を離れる。後ろでムッサイが動物病院の看板を見つけた犬猫みたいな顔でこちらを見上げてきたが、今更彼を連れに戻るのも面倒なので、無視して飛び立つ。大丈夫。彼ならどこでもやっていける。きっと。


 がんばれー。


 そんな訳でお城を離れた後、僕はムッサイにさっき教えたもらった『■■■■■■』というお店へと向かう。僕が飛び立った後、複数人の憲兵に背後から取り押さえられつつあったムッサイ。その彼が教えてくれた場所は、街の中でもそこそこ治安の悪いスラム街みたいな場所だった。しかしスラム街と呼ぶにはやや趣が異なる。どちらかというと歓楽街、いや娼館街かな。表向きは酒と色気、裏では金と暴力がひしめく夜の街だ。そんな二面性のある場所だが、今はまだ日の落ちてない時間帯なので、活気が少ない。これもまたある種の二面性。大抵のお店は閉まってるか、もしくは田舎の駄菓子屋みたいにただ開いてるだけの状態で、奇妙なくらいに静かだ。通り行く人々も、男は暴力、女は色香を身にまとっているが、今は寝起きかってくらいにテンションが低い。


 シャッター街みたいな通りを歩いていると不意に声を掛けられた。「やぁ、おにいさん。こんなところを独りで歩いてたら危険だよ。さっさと引き返しな」


 黒のベビードールを着た、ダウナーな女性だ。目に隈があって三十代くらい。閉じかけの扉に寄り掛かりながら、タバコを咥えている。


「忠告ありがとう。でも今は訳あってお店を探してるんだ。いや、人かな。『■■■■■■』というお店に入り浸っているらしいウェールイという男だ。お姉さんは知らない?」


「知らないね。あたしはちゃんと忠告しといたからね」


 そう言って女性が背を向け、今はまだ営業してないお店の中に戻ろうとする。と、その時、またしても不意に声を掛けられた。お姉さんではなく僕に。


 振り向くとそこには大柄な男が立っていた。ムッサイよりは一回り小さいが、僕と比べたらかなり大きな男。そいつがこちらを行く手を遮るかのように、僕の真ん前に立ち塞がっている。


「やぁ、兄ちゃん。ここは初めてかい?」と男が言った。「残念だがここから先は有料なんだ。この先に進みたいなら俺に一万支払う必要があるのさ」


 あーあ、と頭を抱える女性を尻目に、僕はこちらの行く手を遮る男の股間を蹴って、悶絶させる。そしてそのまま何事もなかったかのように男の脇を通り抜け、先へと進む。


「ちょいと、あんた!」またしても声を掛けられる。ベビードール三十代さんの慌てた声。「今、あんたが蹴った男はここいらでは危険な男なんだよ。あんた今のうちに謝っときな。なんならあたしが話を付けてやるから」 


 どうやら心配してくれてるらしい。だけどこの程度のチンピラが僕の脅威となり得る訳がないので、「大丈夫大丈夫。こう見えても強いから」と言って、ベビードール三十代さんを安心させる。


「…………」


 安心してくれなかったけど。


 だけど彼女に構ってる暇もないので、僕は一応「心配してくれてありがとう。ごめんね」と礼と謝罪を言ってから、その場を離れる。えっと、たしかムッサイのおっさんが言ってたのは、この先の角を右に曲がったところだっけか。俺のムスコと同じで右曲がりとか要らん情報も与えやがったけども、一応説明は判りやすかった。


 右に曲がって、今度は左。ウェールイのムスコと同じで左曲がり。そんでそのまま真っ直ぐ。性根のように真っ直ぐだとかなんとか。そしたら右手にピンクの看板を掲げた酒場が見える。店名も書いてあるし、ここで間違いない。


 だが、残念ながら扉が閉まってる。まだ開店時間ではないようだ。


 ノックしようかと思ったが、あくまで目的は店ではなく客であり、店側の機嫌を損ねたら探せるものも探せなくなると判断し、ここはひとまず後回しにする事にした。


 だから次に行くべき場所は…………どこか。えっと、ガリオス組だ。ブーザマについて尋ねるんだったか。


 今回の事件。犯人は正体不明だが、被害者の方ははっきりしている。ブーザマとジャントル。ムッサイの情報によると、ジャントルは犯人の標的ではなさそうだった。あくまで標的はブーザマで、ジャントルはついで。ならばブーザマに恨みを抱いてそうな人を訊ねてみようという算段だ。


 ジャントルはジャントルで、黒コートの男を知ってそうだからジャントルの関係者に訊ねてみるのもよさそうだが、今のところジャントルの関係者についての情報が皆無だから、結局はブーザマの方になる。ブーザマが何をやらかしたか。誰をやらかしたかについて調べてみよう。


 そんで、ガリオス組の本部がどこにあるかはさっぱりだが、ガリオス組の関係者には一応心当たりがある。今回の件に巻き込まれる前、僕はアパートを借りて、そこに名前も知らない女の子を匿い、そんでもって暴れて意識の無いリリスさんを預けている。


 が、まぁそこら辺は、今はどうでもいい。大事なのは、そこの隣の部屋の住人とひと悶着を起こしているが、その隣の部屋の住人がどうしようもないチンピラで、そいつがたしかガリオス組に所属しているとかほざいてた点だ。


 そういう訳なので、僕は飛行魔法でアパートの方に飛んだ。


 


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