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魔王の器  作者: 北崎世道
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逃走

 人を殺すのは悪い事である。


 どうして悪い事なのか、という問いについては実際に人に訊ねてみるとおそらく、悪いことは悪い事だから、もしくはめんどくせぇなこいつの二通りの反応が返ってくるだろう。実際その通りだからだ。


 そういう事を平然と尋ねてくるのは大体ガキで、それも自分の言ってる事が筋の通ってない事に気付いてないおバカであるくせして、自分は頭が良いと勘違いして筋の通ってない屁理屈を捏ねたがる、頭にクソが付くタイプのガキだ。そういうクソガキ相手に大真面目に返すのも馬鹿らしいし、そんな事に耳を貸すくらいなら己の放屁に耳をすませてた方がが万倍マシだから、結局はそういう答えになる。


 めんどくせぇなこいつ。


 だから、どうして人を殺すのが悪いことになるのかについては、誰も聞いてない時に考える方が良い。一見、無駄な行為にも思えるし、実際のところ無駄だ。だから悪い事は悪い事だから、という言葉遊びにもならない、どこぞの政治家みたいな答えで満足しておいた方がいい…………のだけど、中にはそれだけじゃ満足できないって人もいると思うので念の為に言わせてもらうと、悪いのは都合だ。人間社会にとって都合が悪いから、人殺しは悪い事とされている。倫理なんてのは後付けだ。むしろそれ以外に何があるって感じだ。社会にとって、もしくはお上に立つ人にとって人殺しは都合が悪い行為なので、禁止にしてしまおう、いやもう、それが倫理的に悪い事だと思うように洗脳、教育してしまおう。みたいな感じだ。


 まぁ、そこら辺の思想関係の細かいことはどうでもいい。とにかく人殺しは悪い事とされており、やったら当然捕まってしまう。逮捕だ。逮捕。殺ったら、連行され、収監され、罰を受ける。


 この世界は命が軽く、元の世界に比べればヘリウムくらい軽いので、殺人級の罪を犯せばそれこそ政治家が嘘を吐くくらい簡単に死刑に処される。政治家も処されればいいのに、なんてのは思っても口に出さない方が無難か。


 なんてのはともかく、僕は殺人罪で捕まった。


 捕まってしまった。


 そう。


 捕まってしまったのだ。


 ────という訳で現在、檻の中。


 街中で憲兵に手錠を掛けられ、そのまま街の中心地辺りにあるお城の地下まで連行され、薄暗くてジメジメしていて、ときたま鼠が足下を通り過ぎていくような地下への階段を手錠に繋がった縄を引っ張られながら連れていかれた。


 四方を煉瓦で埋められた、一見、低層辺りのダンジョン通路みたいだが、ダンジョンに比べて狭いし、臭いし、汚らわしいし、まるで年頃の娘にとっての父親の評価みたいで、こんなのがよくもまぁお城の地下にあるものだなぁ、と逆に感心してしまいそうになる。


 一応、地上のお城の部分はどこもかしこも綺麗で華やかな印象があったような気がしないもでないが、普段あんまり通らないのでちょっと自信がない。なんとなくそういうイメージがあっただけ。


 とりあえずお城の地下は汚い。


 ピラミッド内の通路よりもどちらかというと下水道に近い。


 そんなお城のケツ穴みたいなところを降りて、そのまま印象の変わらない鉄格子の部屋に「オラぁッ」と押し込められ、鍵を掛けられる。一応、捕まった時は、違う人違いだ、僕は何もしていない、と喚きながら否定したのだが、私服姿の非番憲兵の方が「まぁまぁただの事情聴取ですから」と宥められたので、仕方なく従った。しかし、いざ連れられたと思ったらこれだ。問答無用で檻の中。これが憲兵のやる事かよぉ。


 泣きそう。


 とまぁ、そういう訳で檻の中(二回目)なんだけども、入れられたかと思ったらそのまま放置されてしまった。前世の春じゃないんだから、すぐに来るだろうと思ったら来なかった。


 そんでそのまま一時間経過。


 時計がないので体内時計参照だが、一応冒険者である僕はそこそこ時間間隔には自信があるので、エッチな事に意識を取られてない限りそ時間感覚はそれなり正確であり、お空が真っ暗になっているのはほぼ確実。もしかして忘れられた? 入れられた時にあった恐怖心やら緊張感はすっかり消え去ってしまって、コンクリくらい硬くて冷たいベッドの上で寝そべりながら屁をこいて、ぼりぼり尻を掻く始末。緊張感は欠片もない。


 どうしよう。このままここに入れられても退屈なだけなんだけども。


「それよりもじゃ。お主、今晩リリスの娘から夜のお誘いがあったんじゃなかったか?」とアウルアラ。


 そうだった。いや、忘れてはなかったけども。


「今晩は流石に童も自重して、お主に夜のお仕事を任せようと思ったのじゃが、こうなると少し難しいのう」


「そうなんだよねぇ」誰もいないので、声に出してアウルアラの言葉に賛同する。「今頃リリスさんが待ってるから、どうにかして誤解を解きたいんだけど、そもそも話を聞いてくれる人が来ないし」


 僕はネタ切れの作家みたいに両手を後頭部で組んであーだこーだ考えてると、アウルアラがこの状況のきっかけとなる者の名を訊ねた。


「ところでお主が殺したとされてるブーザマという男は一体何者じゃ?」 



 ◆


 ブーザマ。


 この男と初めて会ったのは、教会兼孤児院が借金の取り立てにあってる時だ。リリスさんが困ってるところに僕が出くわし、その場の勢いで借金返したると言ってしまったのが最初だった。


 その後、マジュ師匠達の協力もあって借金返済はなくなったのだが、次にブーザマは自分の部下であり、僕の両親やマジュ師匠の知り合いでもあるゴルドフを射殺し、それから僕に復讐する為、ジャントル、ムッサイ、ウェールイ達を雇ってナイルを誘拐した。誘拐はナイル父にキラレキ、それとラキ師匠の協力のもと無事解決して、ブーザマ達は憲兵にしょっ引かれた…………筈だがどういう訳か、僕が殺した事になっていた。


 ブーザマだけではなく、ジャントル、ムッサイ、ウェールイも。


 という訳で、僕は四人もの人間を殺した事になっている。


 四人の殺害容疑で檻の中に入れられている。


 名前も知らないチンピラ達なら、絡んできた時にやっつけて、僕の知らぬ間に死んでたかもってビビッてしまったかもしれないが、その四人に限っては間違いなく僕はやってないと断言できるので、ビビッてはない。これは冤罪だ。完璧な冤罪だ。僕は絶対やってない。それでも僕はやってないのだ。


 しかし、しょっ引かれる時にそれを訴えても全然話も聞いてくれなかったし、一度檻の中に入れられたら話をする機会くらいあると思ったのだけど、その機会は全然こなさそうで、どうしようか迷っている。見たところ、今日中に解放されるのは無理そうだ。


 どうしよう。リリスさんが待っているというのに。あと、家出をしたとはいえ両親も心配しているだろう。それなのに檻の中にぶち込まれて、身動きが取れないこの状況。


 ここは一度、外に出たいのだが、誰も来ないとなると、説得のしようもない。


「殺された男達については思い出したが、こやつらは悪党ではないのか? 殺したところで誰も困らんだろうに。何ゆえ捕まっておるのだ? お主が殺さずとも憲兵共が処刑するじゃろうに」


 心底不思議そうにアウルアラが問う。


 一応魔王である彼女は人間と価値観が根本的に異なり、知識で理解できても感覚では理解できてないようなので、偶にこういった事を本気で言ってくる事がある。


 仕方ないので、僕は彼女の疑問に対し、こう答える。


「いいかい? たとえ悪党でも人の命は尊いんだよ?」


「百合の花よりもか?」


「…………」


 なんか一発で完全論破された気分だった。


 いや、別に論破されてはないけども。


 まぁ、言っちゃなんだが、僕も悪党の命を大事だとは露ほども思ってない。


 ブーザマはともかくジャントルやムッサイ、ウェールイに限っては悪党でもそこまで憎めない感じががするので、本心から人の命は尊いんだよと言い切れるのだけど、ブーザマはちょっと無理。あいつなら死んで当然だと思ってしまっている。


 悪党じゃなくても嫌いな奴なら死んで当然と思うくらいには僕も狭量であり、そこに大した信念も倫理観もない。


 けどまぁ、それを大っぴらに言うほど愚かでもないので、表面上は嫌いな悪党でも殺しちゃ駄目だと主張するのだけど、相手は僕の内面に住むアウルアラなので、建前が通じず、つい本音で話してしまう。


「うーん」と僕は寝ころんだまま背伸びをする。考え事をし過ぎて疲れてしまった。そのまま僕は足を上げ、勢いをつけて起き上がる。「うっし。精神論は終わり。それじゃそろそろ動こうかな」


「というと?」アウルアラが合いの手のように尋ねる。分かってるくせに、とは言わず、僕は素直にこう答える。


「脱獄しよう」


 

 ◆



 鉄格子をひん曲げるのは違法奴隷として捕まった時以来で、二回目だ。あの時よりも鉄格子の強度が高く、ひん曲げるのにかなり力んだが、曲げられない事はなかった。


「ぐぎぎ」と縦の棒をくの字に曲げて、人一人分の隙間を開ける。そこを通り抜けて、檻を出る。隣の檻にも囚人がいたようだが、僕を見て目を丸くしていた。僕は人差し指を唇に当て、しぃーっと静かにするようお願いする。囚人は素直に黙っていてくれた。


 どうやらこの部屋には檻が複数あり、そこに数人の囚人が収容されているようだが、今の僕にはどうでもよかった。このままさっさと出て、リリスさんと両親に今日は戻れない事を伝えよう。携帯電話があれば出なくても伝えられるのだが、この世界にそんなものはない。というか逮捕されたらそんなものはすぐに没収されるだろうから、このたとえは意味がなかった。


 十個くらいの檻が並列する汚らしい部屋を出て、そのまま外へと向かう。


 つもりだったが、部屋を出た途端、憲兵と出くわした。


「あ」

「あ」 


 と、ぶつかり合う視線。時が止まる瞬間。こんな状況でなければ恋に落ちるシーンに見えなくもないが相手が鎧姿のおっさんなので、やはりそれはないと断言しておこう。


 ともあれ、脱獄しようと部屋出た瞬間、終わったわ。


「だ、脱獄だぁ────っ!」


 憲兵が大声を出したと同時に僕は彼の腹を殴る。鎧越しの拳だったが、予想外の状況だったので手加減が充分でなく、気絶させるにはちょいと過剰な威力を出してしまった。


 鎧越しの衝撃に憲兵は吹っ飛び、石壁にぶつかり、そのまま床に崩れ落ちる。


 骨はいくらか折れたかもしれないけど、死んではいないだろう。「か、家内の拳を耐えた俺ならこの程度の拳など…………ぐふっ」


 念の為、回復魔法を放って、それから急いで外へと向かう。


 外への通路は狭くて長い一方通行みたいな階段のみ。それを駆け上がるしかない。時々、分かれ道がなくもないが、おそらく外に出られるのは上へと続く階段のみ。他の道はここと同じように、別の収容部屋に続くやつだけだろう。


「逃げ道を多くする必要はないじゃろうしな」


 アウルアラのお墨付きも戴いたので、自信を持って階段を駆け上がる事にする。


「ぬぉおおおおっ! 階段を恐れぬ若さをなめるなぁああっ!」


 最初のうちはまだ誰も応援に来なかったのですいすい上れたが、半分を超えた辺りでガチャガチャと喧しい鎧の金属音が鳴り、応援が駆け付けたのだと悟る。これからが本番だ。


「動くな脱獄犯!」「逃げられると思うなよ!」


「「ぐぇえっ!」」


 まずは二人をぶっ飛ばす。


 狭い階段での戦闘はやり辛い。下から上へは尚のこと不利だが、そこらの憲兵程度なら位置関係で覆される実力差ではないので、ガンガンぶっ飛ばす。


 拳を振るう必要さえない。ラグビーの小学生チーム相手にプロのラガーマンが特攻するようなものだ。雑魚モンスターみたいに次々と出てくる憲兵たちを、体格差など無視して突っ走る。


「ぬぉおおおおっ! 鎧姿といえど、おっさん達に抱きつかれるの気持ち悪いぃいいいっ!」


「と、止まらないっ!」「なんだこいつ、化け物か……っ?」「気持ち悪くないもん」


 狭い通路の中でおっさんに抱きつかれながらもひた走る僕だったが、流石に十人以上にしがみ付かれると動きにくく、速度が徐々に落ち、次第に足が止まり始める。


「くそ……ここまでか…………」


 おっさんの塊が狭い通路内に詰まり、いよいよ動けなくなったところで、


「魔法で吹っ飛ばせばよくね?」とアウルアラの助言。


「その手があったか!」


 僕は無詠唱の風魔法で憲兵のおっさん達を吹っ飛ばし、スッキリ解放されたところで脱獄を再開する。


「ぬぉおおおおっ! 叫びながら走るの純粋に疲れるだけだぁあっ!」


 なので黙って走る。


 いよいよ汚らしい階段を上り終えて、地上へと出る。


 まずは物置みたいな小部屋。特に物が置かれてる訳でもないが、なんとなく物置っぽい雰囲気。


 そこに糞デカイ力士みたいな男が立っていた。


 なんだこいつ。


 今までの憲兵とは雰囲気が違う。


 本来。憲兵が纏ってる筈の鎧は身にまとってないが、代わりにムッサイみたいな筋肉の鎧を身にまとっている。


 狭い部屋の中でそんなクソでかい男が立っていたら、そりゃもう圧迫感が凄い。


 一人だけでぎゅうぎゅう詰めだ。


「脱獄者だな」


「チガイマス」


「そうか。なら通ってよし…………ってなる訳ねぇだろ、ボケぇっ!」


 ノリツッコミみたいな勢いでクソでかい力士みたいな憲兵が拳を放ってきた。


 いや、拳じゃなくてこれは腕だ。プロレスラーが使うようなラリアットだ。


 力士じゃなくてレスラーだったか。なんて思ったが、それよりも思いのほかラリアットの威力が強くて、さっきまで無敵のラガーマンみたいだった僕が簡単に吹っ飛ばされてしまった。折角駆け上がった階段を転げ落ちてしまった。


 が、途中で踏ん張って、なんとか止まる。


 それなりに戦闘経験があったので、落ちたのは精々十数段程度。これならすぐに駆け上がれる。


 しかしなんと巨大レスラーが階段の上から体重全乗せドロップキックを放ってきやがった。


 百キロをゆうに超えるであろう質量が上から勢いよく降ってきたのだから、そりゃあ当然、吹っ飛ばされる…………ってのは元の世界での話。


 魔力のあるこの世界ではその程度の質量は根性出せば簡単に止められる程度のもので、僕は根性でその場に踏みとどまった。


 んで、そのままレスラーの胸にチョップ。「くんにゃろぅ!」


 ボコンッ、とレスラーが壁にめり込む。


 心もとない足場での腕だけチョップでさえ、石壁に穴を開けるくらいの威力を繰り出せるのだ。


 ここは力の大きさがそのまま身体の大きさに現れる世界観ではない。漫画とかでよく見るタイプの世界観なのだ。


「ぐはははははっ! 貴様程度、敵ではない!」


「どんなキャラじゃ、お主」


 アウルアラから冷ややかな視線を浴びて我に返る。何事もなかったかのように平静に振る舞い、そのまま階段を駆けあがる。


 物のない物置みたいな小部屋を出て、ザお城の廊下みたいなレッドカーペットの廊下を、道も判らないので適当に進む。


 そしたらすぐに開けた場所に出た。


 豪華な内装。やけに広いのでバドミントンくらいなら無理なくできそうだ。


 ここが何の部屋かは判らない。ただ、この広い部屋の中央にまたしても男が立っていた。憲兵は憲兵だが、さっきのレスラーみたいに只者ではない雰囲気が滲み出ている。レスラーが中ボスなら、この男が大ボスだろうか。体格は巨大レスラーよりも一回り小さいが、それでも格闘選手くらいはある。


 巌のような男だ。


 大ボスさんは、精悍な顔つきでこちらを睨んでいる。


 金属の鎧に身を包んでいるので、彼の筋肉がどんなのかは視認できない。が、おそらくはかなり鍛え上げられたものだろうと推測できる。


 威圧感はさっきの中ボスよりも上。つうかたぶんこれ、ジャントルよりも強いかもしれん。


「脱獄者だな」と大ボスが言う。「犯罪者は逃がさん。覚悟しろ」


「犯罪者じゃないもん。いきなり無実の罪で捕まえられただけだもん。話も聞いてくれないから、一度外に出るだけだもん」


「言い訳無用。…………覚悟っ!」


 二回目の覚悟で大ボスが突撃してきた。


 僕は大ボスが抜いた剣を後方に飛んで回避する。


 剣速が鋭いので、横への回避はちょいと危険な気がしたのだ。


 アウルアラが「その判断は正しい」と僕の心を読んで、褒めてくれる。「この男は只者ではない。横への回避じゃったら、おそらくどこかしら斬られてたじゃろう」


「ヤバそうだな……」


「とはいえ、真面目に戦ったらお主の敵ではないな。まぁ、頑張れ。応援しとるぞ」


 他人事のように言われて、僕は少し反応に困るが、それよりも今は戦いに集中すべきだと思って、大ボスに向き直る。


 大ボスの男は既に次撃を抜いていた。


 反射的に身体を傾け、ぎりぎりで躱す。


「おぉっ」と、これはアウルアラの感心する声。僕も、避けられるとは思ってなかった。


 脳みそを使わない本能的な動きだったからよかったのだろう。


 技量こそ相手に劣るが、スペック自体は僕の方が圧倒的に上だという自覚があるので、咄嗟の動きならこっちに分がある。


「ぶぇっ!」


 とはいえ、あんまり本能を過信するのもよくないのだけど。


「どうした? その程度か?」


 大ボスさんが煽ってきやがったので、芸人並みに煽り耐性の低い僕はそれに乗っかる。


 真っすぐ向かって、真っすぐパンチ。あ、いや、違った。この場合は真っすぐいって ぶっとばす。右ストレートで ぶっとばす、だ。


 実際にやってみたら原作通り、いや、原作に近い結果となった。


 といっても、原作は三分の力で寸止めなのに衝撃波で倒してしまったのに比べて、今回の僕は普通に全力パンチを直撃させて吹っ飛ばした。力の差は歴然。暗黒武術会は勝ち抜けそうにない。


「そうは言うな。立派な勝利じゃろう」 


 と、何故かアウルアラがフォローしてくれる。


「お主が思うよりもこやつは強かったぞ。ただ、こやつは避けるタイプではなく受けるタイプだったからな。お主にとっては相性がよく、こやつにとっては相性が悪かったんじゃ」


「そうなの?」


「うむ」


 壁まで吹っ飛んでバタンキューしている大ボスさんを見て、アウルアラが頷く。


「防御力に自信があったのは良いが、アルカが規格外の攻撃力を持ってる事を見抜けんかったのが敗因じゃな」


「なんか相手の方に寄り添ってない?」


「……そうじゃな。結果が伴わない実力者じゃったから少し同情しとる。本来じゃったら一発で決まる相手じゃなかったぞ」


「本当だった苦戦する筈だったか。運が良かったんだな……」


 まぁ、勝てたならいいかと、すぐに脱獄の方に気持ちを切り替える。


「うっし。それじゃこのままさっさと外に出よう」


 ふと見ると後ろの方からまたしてもうじゃうじゃと憲兵たちが追っかけてきた。


「やっべ。逃げよう」 


 僕は急いで駆け出した。



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