お肉とゴブリンの気配
「次は捕まえるよ。一緒にね」
スノーの言葉を胸に、私は雪の絨毯を踏みしめた前回のズルッが頭をよぎるけど、今度は落ち着こう。
鼻をくんくんして『野生の勘』を、唱える。全身が熱くなり、視界がクリアに。雪の塚の近くで、またあの半透明な影――雪トカゲだ。
「スノー、見つけた……!」
「よし、ゼロ。ゆっくりだぞ。肉球でそっと踏みしめて」
息を整え、雪を蹴らないように慎重に近づく。トカゲが雪に潜る前に、マズルを低くして飛びかかった。
ガシッ! 肉球で押さえ込むと、トカゲがピタッと止まる。三度目の正直だ!
「やった! スノー、捕まえたよ!」
「おぉ、上手いじゃん! お肉ゲットだな!」
スノーが頭から飛び降りて、私の横で羽をパタパタ。私はトカゲをそっと持ち上げ、スノーに半分を手渡す。
「スノーも食べてみて」
「ん、ありがとな。どれどれ……」
スノーが小さな口でパクッとかじる。私はマズルでかじってみると、パリッとした食感に少ししょっぱい味。雪の葉より硬くて、なんだか貝っぽい?
「これ、貝みたいだね」
「お、お前、貝知ってるのか!? 俺はもっとスジっぽいと思ったぜ」
「ふふ、スノーって面白い」
二人で笑いながら、雪トカゲをぺろりと平らげた。お腹が少し満たされて、しっぽがゆらゆら揺れる。
「なぁ、ゼロ。狩猟したってことは、経験値が貯まったはずだ。ステータス見てみ?」
スノーの言葉に『ステータス』を唱えると、頭に数字が浮かぶ。経験値: 5/10。半分まで来た!
「5だよ、スノー! あと5でレベル2だよね?」
「おうよ。レベル上がればもっと強くなるぜ。あと少し狩れば――」
その瞬間、全身がビクッと震えた。『“獣の本能”』が勝手に発動したみたい。鼻がひくついて、耳がピクピク動く。遠くの雪原から、湿った土と何か臭い匂いが漂ってきた。視界の端で、雪の塚の向こうに緑っぽい影がチラッと動く。
「スノー……何かいる」
声が小さくなる。スノーが羽を止めて、私の額に手を置いた。
「ゼロ、落ち着け。あれは……はぐれゴブリンだ。雪山に迷い込んだやつだな」
ゴブリンの気配が近づく。しっぽが下がって、心臓がドキドキしてる。でも、スノーの手が額にあって、逃げたい気持ちを抑えてくれた。
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