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雪の葉を分け合って

 「いけそうか?」

 「ちょ、ちょっと待ってね」


 恐る恐る、先に進めなかった雪の絨毯にあんよを乗せる。触れた瞬間、ふわっと沈むけど、私の体重が軽いのか埋もれすぎない。歩ける! しかも、この肉球、寒さに強いみたい。スノーは飛ばずに私の頭にしがみついてる。


 「じゃあゼロ、スキルを使ってみよう。目を開けたまま、“ステータス&スキル”を頭の中で唱えてみ」

 「頭の中で、唱える……っ」


 目に力を込めて『ステータス&スキル』を思う。すると、先ほどとは違い、スキルの項目だけが頭に浮かんだ。身体がふわっと揺れるような感覚がして、慣れない。気持ちが少しグラつく。


 「ゼロ、見えてるスキルがあるだろ? 『野生の勘』を頭の中で唱えてみ」

 「分かった……」


 慣れない感覚で返事が遅れる。でもスノーの言う通りに『野生の勘』を唱えると、揺れがスッと消えて、全身がほんのり熱くなった。   

 視界がクリアになり、鼻がやけに敏感に。風の匂いまで吸い込まれそうで、スノーの返事を待たずに巨木の下へ小走りで向かった。ここ掘れワンだ!


 掘る、掘る、掘るっ!


 数分後、雪の絨毯に穴が開いて、巨木に寄り添うようにガラス細工みたいな結晶の葉っぱが少し生えてた。ファンタジーな形に目を奪われる。鼻がひくついて、マズルを近づけると、草の香りがした。


 「お、それは『雪の葉』って呼ばれる植物だよ。雪山にしか生えない不思議なやつで、そのまま食べられるぞ」

 「食べられる……?」


 自然と口が開いて、はんむっと頬張る。結晶の葉は崩れやすくて、口の中でパリッと良い音がする。

 味は……ほうれん草の苦くないやつみたい。犬っぽい私には全然抵抗ないかも。ふと頭の上のスノーを見上げて、小さな葉を一枚、マズルでそっと摘んで差し出す。


 「スノーも食べる?」

 「ん? お、おう、ありがとな!」


 スノーが頭から飛び降りて、私のマズルから葉を受け取る。小さな手で持って、パリッとかじると「お、意外と美味い!」って顔で頷いてる。可愛い。


 「よし、スノー! もっとスキル使って食べ物探すよ!」

 「おっととと、待て待て。スキルを使うのはいいけど、体力の減りに気をつけろよ。次は植物だけじゃなく、狩猟もしてみようぜ」


 狩猟! お肉だ! スノーの言葉に背筋がピンと伸びる。でも、しっぽが下がっちゃう。不安がチラッと頭をよぎる。


 「……私にできるかなぁ」

 「んー、何事もチャレンジだよ、ゼロ」


 スノーの言葉に、小さく頷いた。

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