表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

鼻先の相棒

 白毛のミニコウモリが、まっすぐ私の鼻先に飛んできた。マズルにしがみつく形で止まると、ふわっと小さな重みが伝わる。柔らかい毛と軽い羽の感触に、思わず目を細めた。


 「ふー、無事に会えて良かったぜ、転生者さんよ。で、どこまで思い出した?」


 高く澄んだ声で質問され、私はとりあえず口を開く。


 「貴方が、私の相棒?」


 低い唸りのような声で答えた。自分でもびっくりするほど犬っぽい響きだ。不思議な気分で、つい質問を返してしまった。


 「あぁ!すまねえ、その説明が先だったな」


 スノーはそう言うと、鼻先から私の頭の上にぴょんと移動する。そして、自己紹介を始めた。


 「初めましてだ。俺は神の使いで、これから君の相棒になるスノーだ。君は名前、思い出したかい?」


 「えっと、私が思い出したのは――」


 その瞬間、頭の中の砂嵐が静まり、神様の声が響いてきた。


 『昔の名前は使えない。だから君はゼロだよ』


 「神様が、昔の名前は使えないから……ゼロ。私の名前はゼロだ。思い出した」

 「なるほど、分かった。ゼロよ。記憶が戻るのはまだゆっくりで、時間がかかるはずだな」


 スノーの言葉に、私は大きく頷く。その通りだ。記憶が戻る感覚は、頭の靄が晴れるようで、でも少しずつしか進まない。そして今、急に眠気が押し寄せてきた。

 眠い。瞼が重くなり、頭がふらふら揺れ始めると、スノーの慌てた声が聞こえた。


 「おいおい!記憶が戻るたび、体力や精神力がガクンと減るからな。この世界の説明とか色々は明日からでいい。今日はこのまま寝ちまおうぜ」


 スノーがそう言うと、もしゃもしゃした羽が私の頭を撫でてくれる。柔らかくて温かい感触に、思わず体が緩む。私は自然と伏せの姿勢になり、目を閉じた。すると、スノーの羽がそっと私の目を覆ってくれて、そのまま深い眠りに落ちた。

書き直して、投稿しています。お気入りや評価して頂くと活力になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ