顔も知らない恩人に感謝して恩返し目的とする旅
こんにちはいずしょーと申します。
普段は他所での作品投稿をしてます。
ご興味有りましたらE’zSHOWで検索してみてください。
波打ち際。
1人多量のデコポンを抱えて佇む黒髪の男。
言わずもがな。
この男は異世界転生組である。
異世界についての情報は全く無いのにも関わらず、出会う人出会う人が彼の事を知っていた。
どういうことなのか。
実を言うとこの山のようなデコポンも知り合いだとかいう農家のおばちゃんから貰ったものだ。
なんでも昔黒髪のブサイクに助けてもらった恩があるのだとか。
この世界では黒髪は珍しく、人違いだと訴えてもその時の礼がしたいと半ば強制に渡されてしまった。
食糧事情がなんとかなってしまったので有り難いが、人違いで礼をされても人知れず己の業というのを下げているような気がする。
やめてくれ。
こちらも押し付けられただけの被害者なのだ。
というか、黒髪のブサイクとは酷い覚えられ方だ。
異世界基準の顔面偏差値で見たら自分は平均を下回るらしいが、日本に居た頃と変わっていないし平均だと思う。
けど、おばちゃんは思い返せば若く美人な人だった様に思う。
……やめよう。
自分はこの世界の顔面偏差値を下げているなんてネガティブ考えるだけ損だ。
一先ずの目標としては、元の世界に帰るにはどうしたら良いのかを探そうと思っている。
ドラGONボールもワンPースもまだ完結まで見届けていないのが心残りなのだ。
家族?
友達?
恋人?
サブカルのが興味有るよ。
2次元嫁に会いたいまである。
願うことはパソコンのHDDの破壊。
戻れない現状はそれを切に願う。
任せたぞ妹よ。
「さっきの村に戻るべきだろうか」
出会う人出会う人が礼をしたいと言ってくるのが凄く不気味だ。
「キザな野郎のせいでいわれのない感謝を受け取る事になるとは……なんだよ本当に心が痛いだろうが」
助かってるけど。
人の感謝の心につけ込んでるみたいで。
『名乗るほどの者ではありません』とか言って名乗らなかった恩人なんだそうだ。
いつか俺もそのそっくりさんに出会う事があったら今回助かった事への礼をしようかと思う。
それと、今度からちゃんと自己紹介させよう。
近くの村というのが海岸に居ることから察するに漁村なのだということは言わずとも察するのは容易だろう。
村に名前は無いらしく、それだと今後同じような名前の無い村があった時に困るから仮にポンノマリン村としよう。
デコポンの主張が強すぎるが山程抱えているからしょうがない。
ポンノマリン村は民家は少なく、5つの建物があるのみだ。
1つが村長が暮らすという平屋で旅人をもてなす宴会をすることもあるそうで客間が幾つもある。
今日はそこに泊まる事になっている。
デコポンのおばちゃんはその村長の奥さんなのだそうだ。
「ええ!?行くとこが無いの?だったらウチにおいで!ミカンもアンタに会いたがってたよ!ほーら、あの時のちっちゃかったミカン覚えてない?ウチの娘のミカン綺麗になったのよ?アタシに似てね!あらもうやーだ!!アハハハハ」
誰?
というか、おばちゃんのクセが強い。
1人で一生話し続けられるんじゃないだろうか。
相槌しか打っていないのにこれだけ一方的に話せるものなんだな。
平屋の敷地……庭の明確な区切りがなく、敷居を跨ぐというのはどこからなのだろう。
不法侵入罪で近隣トラブルとかにこんなんでならないなんて不思議だな。
「あら、ミカン!こっちこっち!この人恩人のホラ!鬼を素手で倒しちゃったあの時の!」
オレンジ色の短髪。
明るい笑顔が映えるのはこの異世界基準の顔面偏差値が成せる技なのかもしれない。
「え、誰このブサイク」
「やめて?」
面と向かって言われると傷つく。
お疲れ様でした。
次の話が書けましたら随時更新していきます。
千文字程度の場合編集途中にバックアップを取る目的で保存をしている段階だと思うので、時間を置いたらまた続きから読めると思います。