表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/12

5話 強襲せし者

「俺の誘いを断り、味方も居ない怠惰に引き込まれるとは。悲しくならないのか?」


「ならんな。私は主に全てを捧げると誓っている」


「何…つまり、まだという事か。なら、俺にもチャンスはあるよなっ!」


「おい、待てよ…主は俺だ。勝手に手出してくるじゃねぇよ。それに、話を勝手に進めるな」



俺はカルラと相手の間に割って入る。

全く、俺の周りの女はすぐ俺を置いていくんだから…



「あぁそういえばお前も居たな、怠惰。お前にはかなり興味がある」


「俺には無いぞ」


「お前に無くてもだ。俺にはある。お前という存在そのものにな」


「…」



なんて重い魔力だ…ここから一歩でも退いたら、負ける。死ぬ気がする。



「はっ…今日はお前達を見に来ただけだ。まだ戦う気は無い。尤も、今のままでは結果は見えているがな。では、俺はもう帰るとしよう。カルラ、俺の元に来たくなったらいつでも来るといい。歓迎するぞ」



そう言うと、奴は自分の魔力が込められた龍の鱗を置いていく。

俺が動けたのは、奴が完全に去ってからだ。



「はぁ、はぁっ!」


「大丈夫か、主!すまない、相手について話しておくべきだった…」


「大丈夫、聞かなかった俺のミスだ…あいつは?」


「…ひとまず、戻ろう。話はそれからだ」



◇◇◇



『情けない、あんな小娘に気圧されるとは…』



うわっ…。久しぶりに話し掛けてきたと思ったらなんだよ…



『吾の身体を奪っておきながら…その程度か、弱いな』



うるさいな…分かってるよ、そんな事。



『力を貸してやってもいいぞ』



なんだよ?急に。



『この戦いが始まった以上、最早鍛錬の時間など無い。が、吾がお前に力を与えれば、お前は今以上に強くなる。まぁ、それを扱えるかどうかはお前次第だがな』



……



『どうする。早く決めろ』



…分かった。力を貸してくれ。でも、今俺が使える分の力が欲しい。



『それは別に構わん』



◇◇◇



「主、大丈夫か?急に倒れたと思ったら眠っているから…驚いたぞ」


「あぁ…大丈夫だ。心配かけて悪かった」


「うん…?主、魔力が先程と違くないか?」


「あ〜…実は、アルバトロスに力を貸してもらったんだ」


「成る程。肉体に本来の力が戻ったという事か」


「そうなのかも…?とにかく、次にあいつが来るまでにこの力を使いこなせるようにならないと」


「では、私が訓練相手になろう」


「よろしく頼む」



その後、街に帰った俺達は、早速訓練を始める事にした。

あのゼノという奴がいつ来るかも分からないし、他の七龍のやつもやって来るかもしれないからだ。



「はっ!」



俺の蹴りを掌底で払うカルラ。だが…



「強いな」


「うん?何が?」


「今の蹴りだけでなく、攻撃の全てに魔力が籠もっている。これは自分で?」


「いや、無意識だな。俺はそんな事してるつもり無かったし」


「そうか…それを意識的に行えるようになると、更に良くなると思う」


「あとさ、こんなのどうだ?魔力を拳に集中させて、叩き込む!」



俺は近くの木に向かってそれを実演してみせる。

殴った場所に穴が空いてしまうが、その直後にその箇所から幾重ものヒビが入り、木を粉砕させる。



「おぉ…魔力を帯びた攻撃より先に、魔力を使った攻撃が出来るとは…」


「違うのか?」


「かなり。主が無意識にやっていた攻撃方法は、帯魔力という技術だ。これは攻撃特化の身体強化に近い。そして今行ったのは、魔力撃に分類される。自身の魔力を流し込む事で、内部破壊を起こす方法だ」



へぇ…そんなのもあるのか。全然知らなかったな。



「しかし、見張るべきはその膂力の強さだ。私と戦った時もかなりのものだったというのに、今は更に強化されている。主は魔力抜きの近接戦なら、龍の民でも最上位に値するだろう」


「そっか。よし、続きだ!」



俺は再度構える。カルラも応えるように体勢を整える。



「あぁ。何度でも相手になろう!」


「早速行くぜ、帯魔力ってのをさ!」


「来い、主!-龍爪-」



お互いの魔力が激しくぶつかろうとした、その瞬間ー。



「こらー!いつまでやってるの!」


「うおっと…ヘレン…」


「ヘレン…」



俺達を止めたのは、他ならぬヘレンだった。

いつの間にか、日が落ちてきている。



「ごめん、日が落ちる前に戻るって言ったのに…」


「すまない、ヘレン。私のミスだ。主との戦いに熱中してしまった」


「それは良いんですけどね〜?ジェイドは大分強くなったし?そうじゃなくて、私ともやってよ!」


「そうだよな、悪かった、ヘレー」


「カルラ!」


「「え!?」」


「俺じゃなくて…」


「…私?えっと、それは構わないが、ヘレンは戦えないんじゃ…?」


「ふふーん。違うよ?命を取るのは確かにあんまり出来ないけど、組み手なら少しは自信あるんだー!」


「ほ、ほんとかよ…」


「ジェイド、ちょっとごめんね?」


「へ?」



気が付くと俺は、天地が逆になっていた。



「どう?これでもまだ言える?」


「はは…これ程とは知らなかったよ。ごめんな」


「良いよ。私も黙ってたし。だから、カルラ。私とも、少しでいいから、戦ってくれる?」


「えぇ、やりましょう。これに向き合わないのは、失礼ですから」



俺の鍛錬の筈が、二人の戦いになったな…。やっぱり、俺は置いていかれるのね。ま、もう慣れたけどさ。

他も更新したいな…と思いつつ、これが書きやすいので、書いてます。まず、日曜更新します!

閲覧ありがとうございます。

感想、誤字脱字等の報告よければお願いします。

ブクマや下の評価いただけると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ