4話 怠惰対策会議
「それで…こんな場に呼んで何のつもりかね?傲慢」
警戒した眼つきでレイラを見る憤怒の長、ノヴァ。
「とぼけんなよ、オッサン。気付いてんだろ?怠惰が現れたって」
そこに割り込むは、強欲の龍の血族、ソアラ。
「…それはお主たちも同じことだろう。あのような魔力、気付かぬ訳があるまい。だからこそここに来る事に応じたのだ」
「で、レイラさんよ。色欲と嫉妬が居ねぇけど俺らを呼んだ理由はなんだい?」
「我々、傲慢の血族は嫉妬を傘下に入れた」
「「なっ…」」
二人ともその先の言葉が続かない。つまり、彼女の発言の続きはー。
「そこでだ、素晴らしい提案をしよう。一種族同士で戦うなど面倒だろう?憤怒、強欲、我の傘下に入れ」
「…断る」
「はっ、あり得ねェな。そもそも、それは俺が決める話じゃねェ」
「まぁ待て。今なら死なずとも傘下に加えてやるぞ?嫉妬も目的の為にそうしたぐらいだ」
「断ると言った筈だ。それなら、お主と戦った方が余程ましというもの。やはり、来るだけ無駄だったか」
「俺も、話聞きに来ただけだからな。じゃ、帰るわ」
「本当にそれで良いんだな、お前達。後悔するぞ、その選択は!」
叫ぶレイラを横目に、ノヴァとソアラの二人は自陣へそれぞれ戻っていく。
「あんたとは、また会いそうだ」
「うむ、かも知れぬな」
◇◇◇
「あーあ…あれから暇だな」
俺はギルドへ向かう途中、そんな事を口に出しながら歩いていく。
「私が主の下に付いたからな。バランスが変わった。恐らくは今、主に付いて話し合いでもしている事だろう」
「…言わなきゃ良かった。億劫だわ…お、着いた。ほら、ここだよ」
「ここがギルドか…」
今日、俺がカルラをギルドに連れて来たのは、冒険者登録をして、パーティに入ってもらう事と、ギルドカードが身分証明になるからだ。
「すみません。彼女のギルド登録と、パーティメンバー追加の申請をしたいんですが」
「はい、それではまず試験を行いますので、この紙を記入した後、あちらへどうぞ」
「あっちに試験してくれる人が居るからー」
「つまり、その人物を倒せば共に行動出来るという訳だな。分かった」
…うん。説明の手間省けるし、ありがたいから良いんだけどね?
俺が居る意味ってやつよ…。
その後、難なく試験をクリアした彼女は、俺のパーティメンバーになった。
「これで主と共にもっと居れるという訳だな」
「まぁ…合ってはいるよ…」
「じゃあ、せっかくだし何か受けるか。これなんかどうだ?」
俺が出したのは、山に増えた空山羊の討伐。
こいつは空中を踏んで突っ込んでくるという、恐ろしい攻撃をしてくる奴だ。
「よし、主。それをやりに行こう」
「良いのか?まだ説明が…」
「大丈夫だ、見れば大体分かる」
そう言ってそのまま山の中間部へやって来た。
山羊の魔力反応がある。
「うわぁ、結構多いな…」
「なら、丁度いいのがある。私が一掃してもいいか?」
「良いんじゃないか?やってみてくれよ」
「行きます。風よ、刃となって舞うがいい!-旋風回刃-」
彼女は飛び上がり、魔力反応の方へ的を絞ると、複数の風の斬撃を放っていく。
次々と魔力反応が消えていくが、幾つか取りこぼしたものがこちらへ空を渡って向かってくる。
「身体強化-腕重点化-」
俺は腕に重きを置いた身体強化で山羊を殴り飛ばしていく。
先程のカルラの攻撃で粗方倒しているので、俺は気絶させる程度だ。
そして、街へそろそろ引き返そうとした時ー。
「甘い、甘いぞ、怠惰ぁっ!!」
「何?」
「まさか、奴は…」
そいつは着地すると、地面に大きな凹みを作り、辺りを揺らす。なんてデカい魔力だ…
「何の用だ…ゼノ!」
「はっ、わざわざ聞くなよ、カルラ。決まってるだろ?」
俺達の前に現れたのは、紅い髪を胸元まで伸ばしたカルラと同じ龍の角を持つ女性だった。
今の所2日に1話出てますが、偶々です。他のやつと違って個人的に作りやすいので出してます。
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