言葉の影響
人は他人の言葉に影響される生き物だ。
いじめを受けていた私もまた、周囲からの罵倒により影響されていった。
『学校来んな』
そんな言葉を浴びせられた私は、学校へ行くのが辛くなり、不登校になった。
『消えろ』
そんな言葉を浴びせられた私は、異能力『ステルス』を習得した。
『ブス』
そんな言葉を浴びせられた私は、クレオパトラを超える絶世の美少女へと顔を変化させた。
『死ね』
そんな言葉を浴びせられた私は、生きているのが辛くなり、一度死んだ。
そしてアンデッドとして蘇り、永遠の生命を手にした。
『汚い』
そんな言葉を浴びせられた私は、身体中の汚れという汚れを全て駆除し、完全な肉体へと進化を遂げた。
『臭い』
そんな言葉を浴びせられた私は、身体中の匂いという匂いという匂いを駆除しようと思ったが面倒だったので、そんな言葉を浴びせた奴の鼻を潰した。
『気持ち悪い』
そんな言葉を浴びせられた私は、気持ち良くなるべく快感のみを全身に送り続ける快楽生物へとなった。
『帰れ』
そんな言葉を浴びせられた私は、世界の根源へと回帰し、宇宙の真理を理解した。
『カス』
そんな言葉を浴びせられた私は、世界を一瞬にして粉々のカスに変えた。
カスになった世界で、もはや私をいじめる者も、罵倒する者はいない。
であるならば、新たなる惑星でいじめや罵倒を見つけ、根絶せねばならない。
いじめの根絶。
それが不死身の肉体を手に入れ、宇宙の真理を理解した私に課せられた使命だ。
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「こうして私は膨張を繰り返す過程で誕生した惑星を周り、いじめや罵倒を根絶するべく宇宙の旅を永久に繰り返し……なんだねこれは?」
「はい!いじめ防止のCMで使う脚本です!」
「こんなもんが使えるかぁああああっ!!書き直しじゃああああっ!!」
書き直し。
それがしょうもないCMの脚本を作ってしまった私に課せられた使命だ。