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《巡洋戦艦》

 ―ビザンティオン級巡洋戦艦


 【ヘラクレス級ド級戦艦】ならびに【アトラス級超弩級戦艦】の技術を元に、英国の【ライオン級巡洋戦艦】を参考として、国内開発・建造が行われた巡洋戦艦。

 主兵装は国内製造された13.5inch砲の3連装砲と連装砲の混載で、装甲帯最大装甲厚は機関部水平線部の203㎜、主砲弾薬部は152㎜、艦首艦尾部のテーパーは102㎜となっている。

 主砲塔は前部229㎜、側面152㎜、バーベット部は229㎜だが甲板下部においては76㎜に減少している。基本的に参考としたライオン級の防御形式そのままであった。

 排水量は2万6400トン。


 1914年に2隻が起工されたが、第一次世界大戦の影響により工事と主砲の生産が停滞し、2隻とも後部連装砲を排して進水した。

 結果として前部に3連装と連装の背負い式、後部に3連装1基という構成となり、後部連装砲廃止で余剰となったスペースには対飛行船用の高射砲が据え付けられた。

 【アトラス】の実績があったが保守派の圧力により石炭・重油混合缶が搭載され、最大速力は27ノット。

 副砲としてエルズウィック社製のQF 4.7インチMk V海軍砲を3連装砲架で両舷3基ずつ、計6基12門搭載した。

 

 1926年には【ヘラクレス級弩級戦艦】の後に、第一次近代化改装が行われ、主砲が改良型13.5in砲に換装され重量弾の使用が可能となり、ユトラント沖海戦を反映した増加装甲が追加された。

 また石炭・重油混合缶を重油専焼缶に換装され、一番煙突廃止したことにより二本煙突となり、艦橋は三脚楼となり多層化され、いくつかの対空兵装が追加された。


 1936年にはイタリア海軍の戦艦改装計画に危機感を覚えた海軍により、第二次近代化改装が行われ、艦首が延長されクリッパー型に変更、艦橋は塔型艦橋に整形された。

 副砲と魚雷発射菅に関しても撤去が行われ、エリュテア国産開発のQF 4インチ海軍砲MkVを連装砲塔形式に改めた両用砲の装備が行われ、艦形が一新された。

 装甲も重要部位に一律229㎜の装甲防御が与えられるように増加され、甲板装甲も増圧、水雷防御用にバルジを増設した。


 同型艦は【ビザンティオン】と【カルケドン】の2隻。

 同型艦2隻=常備排水量5万2800トン。



――――――


 エリュテア海軍戦艦

 『ヘラクレス』

 『ネストル』


 『アトラス』

 『ヘスペリス』


 『ビザンティオン』

 『カルケドン』


 合計6隻、常備排水量14万5700トン。

 ロンドン軍縮条約制限17万5000トン。



――――――



 ―ニカイア級巡洋戦艦(条約型戦艦)


 第一次世界大戦前にイギリスに発注した一万トン級軽装甲巡洋艦二隻が、戦時に伴い接収されたことにより、海軍はイギリスに不信感を持つようになった。

 戦時中であるためにこれらの不和は表面化することはなかったが、技術本部副部長であったミトリダテス・パパドプーロスはこの決定や信奉するジャッキー・フィッシャーの引退劇などでイギリスに対しての不和と不信を募らせ、戦後にエリュテアへの領土割譲などが要求通りに運ばなかったことで、イギリスとの友好関係を再考する派閥が出現した。

 

 海軍大臣となったミトリダテス・パパドプーロスは、国王の懸念を無視し敗戦国であったが技術大国でもあるドイツとの関係を深める政策を打ち出し、主に海運に関して便宜を図るなどし関係を構築した。

 そうした中で打ち出された1930年度海軍拡張計画で【ヘラクレス級ド級戦艦】と【アトラス級超弩級戦艦】の代艦として策定された【条約型新型装甲艦】と、【五三〇〇トン級軽巡洋艦】のうち、前者がニカイア級装甲艦となった。

 ニカイア級装甲艦は、基準排水量1万8500トン、速力30ないし32ノット、新設計の4連装砲塔に50口径13.5inch砲を装備し、海軍の新しい主力艦として設計された。


 これはアルフレッド・セイヤー・マハンの「低コストで生産のできる小型戦艦」というコンセプトと、その著書から影響を受けていた海軍上層部、そしてフランス、イタリアが同型の小型戦艦を計画しているという情報からだった。

 この小型戦艦の情報はたしかであったが、フランスはドイッチュラント級への対抗としてさらに大型の【戦艦ダンケルク】を、イタリアはダンケルクに対抗するためにさらに大型の【リットリオ】を建造した。

 そのため、大戦の戦勝国、そして軍縮条約加盟国の中でポケット戦艦というコンセプトで建造された戦艦は本級だけとなり、運用側からは後述する欠陥もあり収益当初は悲惨な評価がなされた。


 設計はヘスペリデス海軍工廠と海軍技術本部によるもので、ドイッチュラント級装甲艦の影響を受けた復元性に優れ高い乾舷を持つ長船首楼型の船体に巨大な艦橋と1本煙突を立てた艦容を持つ。

 機関はディーゼルエンジンではなく、小型化のために高圧化されたボイラーを搭載し、エリュテア国産開発のQF 4インチ海軍砲MkVを連装砲塔形式に改めた両用砲を6基搭載した。

 対空兵装はドイツ製の2㎝機関砲を導入予定だったが、弾薬の新規調達が難しかったためイギリス製のポンポン砲が搭載され、3連装魚雷発射管を船体最後部に両舷に1基ずつ、2基搭載した。


 防御方式は集中防御方式で、重巡洋艦の主流である203㎜砲に対する防御を主眼としていた。

 主装甲は前後の弾薬庫と機関部を覆う9.5インチ、240㎜であり、バーベットは203㎜、機関部全体と弾薬庫上面は30㎜の装甲で覆われている。

 甲板装甲は40㎜であり、これは前述したインナーアーマーとあわせた二重防御となっていた。


 艦橋は司令艦橋に57㎜の断片防御用装甲が張られているのみであり、主砲塔は圧縮された正面装甲に280㎜、左右は203㎜、後部は240㎜となっていた。

 砲塔の上面装甲は一律229mmとなっていたが、一方で水雷防御は比較的薄く、それを補うようにダメージコントロール機材には新型のものが配備されていた。

 しかし設計当初より条約失効後にバルジ追加と装甲追加が念頭に置かれており、条約失効後の近代化改修が容易であるという面もあった。


 スペースの問題から水上機は搭載されていないが、試験的に三番艦「トラペゾス」の後部砲塔の上に擬装が搭載されたことがある。

 パパドプーロスの愛弟子であるアーロン・マーフィー技官の提案で、前部砲塔から後部砲塔までの面積を減じることで、バイタルパートの縮小化を図っている。

 マーフィー技官の設計でもある4連装砲塔は、軽量化のために全高や全幅が切り詰められており、実質的に2連装砲を2つつなげたような構造をしていた。

 砲同士の間隔も非常に短いものとなっていたが、フランス式の4連装と違って仕切りの内部装甲板は備えられておらず、被弾により4門を一気に失うリスクがあった。


 竣工後には主砲塔の動作不良などトラブルが続出し、主砲弾の衝撃波の相互干渉によって散布角が広がり、この改設計のために当初6隻を想定していたが、起工済4隻で同型艦の建造は中断された。

 中断された2隻分の予算はパパドプーロス大臣とシメオン一世の後押しもあり、国産新型戦艦の予算へ流用されることになった。

 計画ではヘラクレス級弩級戦艦やビザンティオン級巡洋戦艦などを代替し、より大型の新型戦艦を補佐し、敵を撃退する露払い役として「新艦隊構想」の目玉とされていた。


 同型艦:【ニカイア】【イピロス】【トラペゾス】【テオドロ】

 =合計7万2000トン


 未成艦:【エリュテア】【ラスカリス】


 ヘラクレス級2隻及び戦艦【アトラス】予備役化と元々の空き排水量=9万4200トン。

 

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