≪駆逐艦≫
プラグマ級駆逐艦(準同型含19隻)
イギリス海軍のアドミラルティV型をタイシップとして1917年から建造された駆逐艦。排水量は1188トン。
533mm三連装魚雷を装備したこの艦により、エリュテア王国海軍の駆逐艦は近代化を完了したが、プラグマ級が完全に置き換えられることはなく第二次世界大戦においても主力として使用された。
当初はイギリス海軍の要請を受けて建造したが、終戦によりそのすべてを自国海軍に編入したという経緯があり、のちにQF4インチ海軍砲Mk.Vを連装砲架で二基搭載する形式に改設計された。
旧式駆逐艦の更新用として戦後も建造が続けられ、第3グループまで続く合計で16隻が建造された。
内訳は初期型3隻、戦時建造グループ8隻、戦後建造グループ5隻。戦後建造グループは建造初期から連装砲架仕様である。
エリュテア海軍水雷戦の権威であるディミトリウス提督はこれらの艦を「海軍の愛しい16姉妹」と呼んだ。
同型艦
・初期型(1917年)
「プラグマ」
「ピリア」
「ストルゲー」
・戦時設計(1917~18年)
「ルードゥス」
「マーニア」
「フィローシャ」
「アガペー」
「エレウテリア」
「カロン」
「アンブロシア」
「ネクター」
・戦後建造(1920年)
「エウロペ」
「アステリオス」
「ミノス」
「ラダマンテュス」
「サルペードン」
オネイロス級嚮導駆逐艦(3隻)
プラグマ級駆逐艦の嚮導型で、シェイクスピア級嚮導駆逐艦をタイシップとして1917年より建造が開始された。
主力艦の整備に予算があてられたために、建造されたのはオネイロス・ヒュプノス・タナトスの3隻に留まる。
武装は10.2mm連装砲が後部に1基追加され、魚雷発射管も4連装が2基となっており、より火力が向上した。
「オネイロス」「ヒュプノス」「タナトス」
ティグリス級駆逐艦(5隻)
地中海艦隊向けの偵察艦としてアンサルド社に設計協力を仰ぎ、1923年に建造が開始され1925年に就役した駆逐艦。
45口径12.7㎝連装砲を4基備え、3連装魚雷発射管を2基備えるなど、経緯の似通ったイタリアのレオーネ級と酷似した兵装配置が採用されている。
一方で速力は30ノットに留まり、このため同型艦5隻はいずれも駆逐艦としてというよりも、後のカタフラクト級のような小型巡洋艦として運用された。
排水量は1830トン、乾舷のみ高い短船首楼型船体で、酷似しているレオーネ級とは異なり煙突の高さが揃っている他、前部マストと後部マストの高さも揃えられている。
また艦首はクリッパー・バウとなっており、レオーネ級との見分けることのできる点となっている他、機雷敷設装備ではなく艦尾に爆雷投射レールを2本備えている。
同型艦は「ティグリス」「ガゼラ」「ヤグアロス」「キネルロス」「パンティラス」の5隻。
アネモイ級駆逐艦(13+1隻)
日本の特型駆逐艦、フランスの大型駆逐艦の出現により設計された砲戦型駆逐艦。
それまでの10.2mm砲では完全に威力不足だという判断から、12.7㎝砲を搭載している。
水雷兵装は3連装を両舷に1基ずつの2基だが、主砲に45口径12.7㎝連装砲を3基6門備え、2基は前部甲板に背負い式で、1基は後部甲板に配置している。
排水量は1,750トン、速力は37ノット。航洋性重視の船首楼型で、二本煙突の手堅いイギリス式の設計であるが、連装背負い式のため艦首浮力がやや不足しているという問題があった。
そのため改設計がなされ艦首が延長された第二ロットは排水量が1800トンに増加している。
プラグマ級配備後も艦隊に居残っていたアメリカ製の旧式の平甲板型駆逐艦と順次入れ替えがなされた。
13隻が建造されたが、ゲン担ぎと更なる大型駆逐艦の実験艦兼嚮導艦として45口径12.7㎝連装砲5基10門の排水量2250トンの「ホロロゲイオン」が(名目上)準同型艦として存在する。
「ホロロゲイオン」のみ3本煙突で、大型化したわりには速力は37ノットをキープすることができた。
同型艦
・第一ロット(1925年)
「ボレアース」
「ノトス」
「エウロス」
「ゼピュロス」
・第二ロット(1927年)
「アクィロン」
「セプテントリオ」
「アウステル」
「ウルトゥルヌス」
・第三ロット(1928年)
「ファウォニウス」
「カイキアス」
「アペリオテス」
「スキロン」
「リプス」
・大型駆逐艦「ホロロゲイオン」(1928年)
ティーターン級駆逐艦(12隻)
イタリア海軍のナヴィガトリ型駆逐艦の就役に対抗し、アネモイ級の設計をやや大型化して建造された駆逐艦。
船体が大型化したため燃料搭載量が増加し航続距離が伸びただけでなく、居住性や凌波性が向上したため運用側からの評価は高かった。
武装配置や船型などは前級のアネモイ級とほとんど同じだが、ほぼ唯一の識別点としてエリュテア海軍駆逐艦としては初の天蓋付き艦橋となっている。
ほとんど代り映えのしない設計であったため、海軍上層部側からは「焼き増し型」などと呼ばれたが、余裕のある設計は後の北海や極地航海で大いに役立った。
排水量は1860トンで、後のティフォーナス級駆逐艦は完成度の高い本級の設計を手直ししたものであるとされる。同型艦はティーターン神族から取られていた。
同型艦
・第一ロット(1930年)
「オケアノス」
「クレイオス」
「ヘリオス」
「ムネモシュネー」
「ポイベー」
・第二ロット(1931年)
「テーテュース」
「メノイティオス」
「パラス」
「ヘカテー」
・第三ロット(1933年)
「ヒュペリオン」
「レア」
「テミス」
ティフォーナス級駆逐艦(6隻)
1930年のロンドン海軍軍縮会議に適応する形の排水量1850トン級駆逐艦として開発、建造された駆逐艦。
前級のアネモイ級駆逐艦と大型駆逐艦「ホロロゲイオン」の運用から、装備配置の見直しや雷装の近代化がなされている。
まず艦首背負い式は廃され、艦橋前には45口径12.7cm連装砲が1基、艦橋の背後には2本煙突が並び、4連装魚雷発射管が2基中心線上に並ぶ。
艦尾には簡素な後部マストの後ろに連装砲が1基、そこから1段甲板が下がって連装砲が1基の背負い式となっている。
艦首の背負い式を排したことで前級で問題になった艦首浮力の不足は解消されたが、今度は水雷兵装の追加でトップヘビー気味になってしまったとされる。
2軸推進で速力は前級と同等の36ノット。防空兵装は4連装ポムポム砲が1基、マドセン20㎜連装機関砲が4基。
4番艦の「ガルンビース」は高温高圧缶を搭載し、連装砲を試験的に14㎝単装砲に換装、操砲のための張り出しが追加された。
高温高圧缶は比較的許容範囲内の性能を発揮し実用化のための改修やデータ収集が行われたが、一方で軽巡並みの主砲の運用結果は芳しくなかった。
また増産をするにしても大恐慌の影響は少なくなく、沿岸・船団護衛にはDR1級水雷艇を使用することとして駆逐艦戦力の穴埋めを行うこととした。
第一ロット(1934年)
「ティフォーナス」
「シフナス」
「アエラーキ」
第二ロット(1935年)
「ガルンビース」(14㎝砲3門搭載)
第三ロット(1936年)
「アモシエラ」
「シロコス」
サルバトル級駆逐艦(2隻)
1936年にイタリア海軍がソルダティ級駆逐艦の建造を開始したことに対抗し、エリュテア海軍の次世代新型駆逐艦として開発、建造されたエリュテア海軍の駆逐艦の集大成。
嚮導艦としての任務も兼ねて排水量は2650トンに大型化し、雷装は新設計の5連装魚雷発射管を中心線上に2基配置、高温高圧缶の採用で39ノットを発揮することができた。
艦橋前に50口径12.7㎝連装砲が1基、艦橋の背後には1番煙突があり2番煙突との間に5連装魚雷発射管が1基、2番煙突の後ろにもう1基が配置されている。
その後ろには簡素な後部操舵室と単脚マストがあり、駆逐艦としては異様なピラミッド配置された50口径12.7㎝連装砲が3基並んでいる。
ピラミッド配置された連装砲の真ん中の3番砲塔には空中線用の小さく簡素な三脚楼が設置されており、外見的特徴となっている。
これにより仮想敵であるソルダティ級やイタリア駆逐艦に対して2倍の砲力を発揮することが可能で、その速力で通商破壊も可能だと考えられていた。
しかしながら1939年にドイツがポーランドに侵攻し、なし崩し的に連合国と枢軸国の戦争に発展すると、サルバトル級駆逐艦は2隻で建造を打ち切られた。
理由としては予算的な問題があったが、実際にはシメオン1世とエスカンダリヤン提督による英米との秘密協定によるもので、サルバトル級のための造船所の余裕がなくなったためである。
この秘密協定は海軍独裁の中心にいたパパドプーロスは知らず、1941年8月にその真意を知らされたパパドプーロスは心臓発作により死去したとされている。
同型艦は「サルバトル」「メテオラ」の2隻のみ。