表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

エイトの申し出

ルミナ、お願いだ。

どうか僕と結婚しておくれ。

身分違いだとかそんなことは全く気にしなくていいから。


確かに僕の実家は田舎では名の知れた名家だ。

けれど、僕の両親はすでに亡くなっていて、年の離れた後見人の兄がいるだけだ。

僕のことを困った放蕩息子さんと呼ぶ兄が。


その兄は僕が都会のカフェで働くキュートな女の子と結婚したいと申し出た時、そらおいでなさった、と言うような顔をした。

遊び人と噂が立って久しい僕には最近お見合いの話も来なくなっていたのだ。それ相当に相応しい家柄の娘さんとの。

だから、兄夫婦はエイトはきっとある日突然不良の女の子を連れてきて、兄さん僕この人と結婚します!なんて言い出すに違いないなんて話していたらしい。


あ、誤解しないでくれ。

僕は君のこと不良だなんてちっとも思ってやしないよ?

なにせあのお堅い叔父夫婦だって君のことを気に入ったんだからね。

特に叔母が君の履いていた靴を見てあの子は信頼していい娘だわって言ってくれたんだ。

決して新しくないけれどとても丁寧に磨かれた靴を履いていたって。


叔母の実家は大きなホテルを経営していて、彼女は娘時代道楽でフロントに立っていたことがあったらしい。

そこで彼女はきちんと手入れをされた靴を履いた人物にとても品が良い人間が多いことに気づいたんだって。

たとえ最上級の部屋に泊まっている客じゃなくても。


あの日磨きこまれたあの靴を履いていた君はなんとも上等な人間に見えたって叔母が言うんだ。

カフェで働いているような娘には見えないって。

あ、どうか気を悪くしないでくれ。

上流社会の人間はどうも人を見下す癖がある。

良くないね?

でもその叔母が兄を説得してくれたんだ!

エイトにはあの娘が相応しいと思うって。

あの娘と結婚したらエイトも少しは落ち着いて真面目に家業の手伝いをするようになるなるんじゃないかって。

エイトは少し変わった子だから無理に良い家柄の娘と結婚させても長続きはしないだろうなんて、僕のことをけなすことも忘れなかったらしいけど。


それで…

兄夫婦も君との結婚を頭ごなしに反対しないって言ってくれたんだ。

兄たちはとりあえず君に会わせろと言っている。

だから僕の田舎に一緒に行ってもらいたいんだよ!


ああ、そうだよね?

その前に君に僕のプロポーズにイエスと言ってもらわなきゃ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ